SBCT関係論文翻訳
1999年10月AUSAの昼食会にて時の米陸軍参謀長エリック=シンセキ大将は演説を行った。陸軍の変革・再編・革新の道程標となる出来事であった。
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山高帽橋の防御
出典 the regimental rouge
URL http://regimentalrogue.tripod.com/bowler/bowler_bridge.htm
原題 THE DEFENCE OF BOWLER BRIDGE A Study in Minor Tactics
筆者 H.E. Graham
日時 1930年刊行
サイト 不明
発行所 London William Clowes and Sons, Ltd. Axtell House, Warwick Street, Regent Street, W.I.

内容


#目次開始


山高帽橋の防御(The Defence of Bowler Bridge)
 序論
全般状況(General Idea)
  特定状況(Special Idea)
第一の夢
  第一段
  第二段
  第三段
  第四段
第二の夢
  第一段
  第二段
  第三段
  第四段
結章

#目次終了



かなり前に筆者は素晴らしい小本或いは冊子を入手した。題名は"Dufferの急流の防御"で"後知恵深慮"という筆名で正体を隠して書かれたものである。今では少将E.D.Swinton卿、K.B.E, CB, D.S.O., M.A.佩用であることが分かっている。

この小作に出会ったことの無い者の便宜のために説明すると、ボーア人(Boers)或いは同様の敵に対して渡河点を保持するにあたっての小戦術の原則を巧妙に描いたものである。

"後知恵深慮"少尉(lieutenant)は一連の夢をみるのだが、その夢で少尉は同一の任務、つまり50名の下士官兵でDufferの渡し(Duffer's Drift)を保持するのを課せられる。最初の5つの夢では少尉は戦術的誤謬を犯し、毎回失敗する結果となる。しかし、それぞれの夢のあとで少尉は確実に内省し失敗の原因、そしてそれに含まれる戦術原則を突き止める。少尉は二度と同じ誤りを犯さない。最初の5つの夢ではありとあらゆる誤謬を犯すが、6番目の夢では問題の適切な解決策を見出す。

時代は流れ、戦争を遂行する術も変わった。おそらく最も大きな変化は装甲戦闘車両の登場であろう。偶然にも"Dufferの渡し"の著者はその初期からの信奉者であった。

戦争の原則は変わってはいない、が、その適用は変わった。小数の砲を伴う乗馬小銃兵(mounted riflemen)からなる敵に対して成功した方法は装甲車(armoured car)および戦車(tank)の敵に対しては必ずしも有効ではない。

今日(およびさほど遠くない将来の)若年将校(junior officer)が実戦において装甲戦闘車両を相手に孤立した渡河点を保持するのを求められることはありえる。若年将校の多くが平時の訓練においてそう求められることはかなり確かであろう。

筆者が試みたのは、"後知恵深慮"が用いたのと同様の方法により、いかに渡河点(river crossing)を保持し道路阻塞(road block)を構築し防御すべきかについての見解を伝えんとすることであった。

ここで示される方法が最良で無いということは大いにありえる。合理的で健全であると主張するのみである。

敵の戦力をみるに、Smithと彼の小隊は不可能事を成し遂げたという向きもあろう。これは正当かつ根拠ある批判である。しかし、楽観は兵にとって望ましい資質であり、夢の中ほど楽観的となれるときはあろうか?

さらに、物語が伝えるのは普遍的にあてはまる重要な事実である。つまり、装甲戦闘車両のみで構成される部隊は実際には非常にはっきりした限界を抱えていること、また決意に満ち適切な装備を持つ敵が保持する物理障害に対したとき、極めて困難な問題に直面するということである。

この物語が掲載されたのは、続き物という形で"The Army, Navy and Air Force Gazette"であった。筆者は編集者に多くを負うものである、彼は再掲を許してくれたのみならず、出版に当たって親身に援助して頂いた。



山高帽橋の防御(THE DEFENCE OF BOWLER BRIDGE)

序論(PROLOGUE)

全般状況(GENERAL IDEA)

ルリタニア(Ruritania)、大戦(#第一次世界大戦)後成立した多数の新国家の一つは強盛なる隣国インダストリア(Industria)から攻撃を受けている。大英帝国(Great Britain)は盟約を果たすべく、ルリタニア救援に遠征軍を派遣した。インダストリアは戦車および装甲車を保有することが知られている。

特定状況(SPECIAL IDEA)

ウエセックス連隊第1大隊(the 1st Battalion Wessex Regiment)は英国援護軍(British Covering Force)の一員としてある師団を編成して装甲車とともに1930年8月1日ロブスターブルグ(Lobsterburg)にて陸揚げ(disembark)した。


第一の夢(FIRST DREAM)

第一段(PHASE I)

ウエセックス連隊第1大隊第4小隊を率いるAugustus Sydney Smith少尉(lieutenant)は疲れ果て空腹だった。傭船Prince Rufus号はロブスターブルグに早い時間に着き、下船やその他三級海港での陸揚げに付き物の様々な任務が舞い込み、大隊が夕方遅く宿舎に落ち着くまで休みはほとんど取れずほとんど食べることも出来なかった。

部下たちが安楽に寝床についたのを見てから、スミスや他の少尉たちは隣の食堂へとくり込み、街の名物であるロブスターマヨネーズを沢山と白ワインで精気を養った。

午後10時にスミス少尉は宿舎に戻り、ほどなくして深いが些か悶々とした眠りに入った。

ドアを鋭く叩く音がして少尉は眼が覚め、申し分ない従卒であるPinchin一等兵が入室してきた。"副官がただちにとの仰せです、上官殿"

スミス少尉はなんとか眼を覚まして何と言われたかを理解すると、急いで衣服を纏い大隊事務室(the battalion orderly room)として使われている食料雑貨倉庫へ向かった。大隊長(the C.O.)と副官(the Adjutant)、そして少佐(the Major)に同じ中隊の少尉二人がいた。

大佐(the Colonel)はそれぞれに地図を与え単刀直入に切り出した。

sketch1.gif


"知ってのとおり、ルリタニア軍主力とインダストリア軍はここから北の国境(Frontier)沿いで交戦している。英国遠征軍本隊の到着は明後日からだ。師団長(the Divisional Commander)はルリタニア軍参謀からインダストリア軍機甲部隊がロブスターブルクを西か北西から突き、英国遠征軍(B.E.F.)の陸揚げを妨げるべく大きく旋回運動中と聞いた"

"地図を見ればわかるように、当地から西におよそ20マイルをthe Raspberry Riverが流れている。同川のケルン(Koln)より下流の渡河点は三箇所のみ。山高帽(Bowler)、中折れ帽(Homburg)、シルクハット(Topper)である。ケルンはルリタニアの部隊が保持している(第一図参照せよ)"

"司令官(G.O.C. general officer commanding)は旅団1個を出して敵を河川線で遅滞(delay)し、可能ならば渡河を阻止(prevent)することを決意した"

"本官は山高帽、中折れ帽、シルクハットそれぞれにバスで1個小隊を送り敵の装甲車を阻み、橋を確保し敵の渡河を防ぐことを命じた。いかなる場合も橋梁は破壊してはならない、総司令官(C.-in-C.)が後日必要とすることがありえる"

"ルリタニア陸軍のため機械力による輸送はほとんど使い尽くされているが、ロブスターブルグ市長が1時間のうちにバスを6台用意する手配をしている。また市長は信頼できる道案内を見つけてくれる。旅団は行軍せざるを得ぬから、少なくとも24時間は到着しない。各小隊には対戦車砲(anti-tank gun)1門をつける。糧食は二日間分を携行し直ちに出発準備に入れ"

"スミス少尉は山高帽へ、ロバーツ(Robertts)少尉とゴードン(Gordon)少尉はそれぞれ中折れ帽とシルクハットへ向かえ"

"需品の蓄えから糧食、装備、土嚢その他を受領せよ。道の向かいの倉庫に入っている"

"旅団長(the Brigadier)は本官にバイク伝令(motor-cyclist despatch rider)3名を与えてくれた。各員に一人づつ付ける。民間電話を諸君らが使う手筈は整えたので、本官に情報を送るように"

"さて何か質問はあるかね。無いか。よろしい。幸運を祈る。一刻も早く橋に到着せよ。ただいま2時である。3時には出発し、明朝曙光には到着するように"

少尉三名が部屋をでようとするとき、副官が呼び止めた。

"言っておく。兵卒を電話口に付けて我々がいつでも貴官らを呼び出せるようにしておけ"

続く1時間は騒然としたが3時には我らが友は小隊をバス二台に乗せ必要な装備、土嚢、弾薬、糧食を積み終えていた。また対戦車砲も用意した。これは小型の全装軌車両に砲が載せられているものであった。こぢんまりとした小さな車両である。搭載の砲(#原文 the ?8 gun)は車載のままでも、卸して据えつけても撃つことができる。

車両は小さく乗員5名に砲弾50発を積んでいるため、さほどの装甲はなく、エンジン重要部が防護されているのと正面の小火器射撃から乗員をいくばくか防護できるだけの小さな防盾が付いているのみである。

道案内役は快活な人物でルリタニア正規陸軍で勤務して今は郷土予備役の者であった。同男性はロブスターブルグにて英国貿易会社に数年勤めているため英語をかなり話せたのも長所であった。彼は山高帽の生まれである。

スミス少尉は最善案は自分が先頭のバスに道案内役を脇にして座ることだと考えた。かくて彼は出発し、続くは対戦車砲、そして小隊軍曹が担任する二両目のバスである。

少尉のバスが50ヤードもすすまぬうちに大声で叫ぶのが聞こえた。バスに止まるよう命じて少尉が飛び降りると中隊長が走って追ってくるのが見えた。

"おーい、頓馬野郎、一体(伏字)何をしているか分かってるのか? 最初に出くわした装甲車に撃ち竦められたいのか?"

スミス少尉は些か当惑した。"ですが、上官殿。嫌らしい奴(the beastly things)がこちらを撃つのを止めることはできません"

"できないだと、脳なしめ! 対戦車砲を先に立てれば、装甲車を撃ち竦めることができるだろう。お願いだからしゃきっとしてくれ。戦争だということを分かってくれ。ちょっとピクニック(blinking picnic)にいくんじゃないんだ"

がくっと意気消沈して、スミス少尉は"すみませんでした、上官殿。対戦車砲を先頭に置くことを思いつくべきでした"と呟くようにいうのが精一杯だった。弱々しい答えに怒りもそがれてしまった。

"よろしい。丸ぽちゃ君(Chubby)。常識を働かせたまえ"

対戦車砲担当の伍長から砲を対戦車車両の上で扱うには二名で十分だと聞きだして、スミス少尉は乗員のうち2名を先頭のバスへ移し、自身と道案内役が代わりに乗った。

明るくなるころ、少尉たちは何事も無く目的地に着いた。


第二段(PHASE II)

sketch2.gif



山高帽は小さくてありきたりの村である。唯一重要なのはロブスターブルグからの本道が木苺川(the Raspberry River)と鋼製の桁橋で交差していることである。

木苺川は幅およそ40フィートの緩やかな流れの川である。東岸に山高帽村があり、高地で地面はしっかりとしている。西岸は低くて湿地となっており、この湿地は川から大体300ヤードのところまで広がっており、フィドルトン(Fiddleton)へはこの湿地の間を土手道として抜ける。

ケルン(Koln)および中折れ帽(Homburg)までは木苺川左岸を良好な道路が走っており、距離はケルンまで10マイル、中折れ帽まで8マイルである。

山高帽村の店は全てロブスターブルグからの道沿いにある。住家は川に面して立っており、道からは間をおいて並んでいる。各家には前庭があり、低いおよそ3フィートの煉瓦壁に囲まれており、飾り鉄柵が塀の上に巡らされている。

スミス少尉は到着するなり、作戦会議(council of war)を開き小隊軍曹、対戦車砲付き伍長を招いた。道案内役も協力者として加わった。

小隊軍曹のバス(Bass)は誇り高きD.C.M.にM.M.の佩用者であり、大きな布袋腹の主である。前二者は大戦での勇敢により授けられたもので、後者は軍曹食堂(the Sergeants' Mess)の酒場への絶えずの精勤により授けられたものである。彼は1918年に軍曹で、1930年になっても軍曹のままであった。あるときBass軍曹は勇気を掻き集めて指揮官(C.O.)になぜ常に昇進では先を越されるのか聞き、大戦での赫奕たる戦功に触れてみた。"あぁ、装だな"と指揮官は返答した。"我々は皆、君が大戦で何をしたかを知っているとも。しかし、君は大戦以来何をしたかね? 私に言えるのは君は軍曹食堂の酒場を支援する以外は何もしていない"

しかしながら、上級将校(the senior officer)の覚えは悪いが、二つの栄えある大戦徽章を佩用していることから若輩の兵にはある種の魅力が映り、スミス少尉もバス軍曹を平時には些か頼りないが、戦時には巨人であったし、またそうなるであろうとみていた。

ワッズ伍長(corporal Wads)は若手で経験を欠いている。彼はビールを飲まず紅茶、レモネード、巻きパンに給料を使う世代である。

スミス少尉自身も在役2年のみで、その大半を小さな守備隊町で過ごした。平均的な能力の若者であり、思い出せる限り"おんぶだっこ"で育てられてきており、独力でやるのはこれが初めてだった。

これがまさに山高帽橋の防御を決せんとする御前会議(the Aulic council)の顔ぶれであった。

バス軍曹は戦歴と年齢に照らして、最初に意見を求められた。

"言わば朝飯前ですな! ここには橋は一本だけです。この野郎が言うに近くには渡し場は無いし、こことケルンや中折れ帽までにも橋は無い。上官殿、橋に砲を据えたら我々の残りは朝食を少々とって休むとしましょう"

ワッズ伍長はこの意見について何も言わなかった。伍長は橋に何らかの障害を設けるべきと言い、そうすると伍長が説明するには、敵車両を停止させてやすやすと撃てる可能性が出てくるとのことだった。

道案内役は付近には渡渉点は無いと確認し、付け加えることは無かった。

スミス少尉は問題に思いを巡らせ、これらの策で良いし十分に思えた。

そこで少尉は対戦車砲を車両に載せたままで橋の手前岸まで進むよう命じた。小銃班2個が荷車(cart)、農具(farm implements)その他を集めに回った。橋の対岸にきちんとした路上阻塞を作るためである。

郵便局(the Post Office)もロブスターブルグ道に面していることが分かり、その隣はかなりまともな宿屋で大きな中庭ときちんとした離れ(outbuilding)が付いていた。

一名が郵便局に詰めるため派出され、小隊の残りは宿屋の中庭に集合し、朝食の準備が始まった。

午前6時30分、スミス少尉は小隊軍曹とともに検閲巡回に出た。2個小銃班は路上阻塞を作り終えていた。田舎の荷車二台が道に引き出され何本かの鋤が荷車の間を埋めるように投げ出されていた。

対戦車砲を載せた車両は橋の上に居り、荷車二台の間から路上を瞰制して射撃できる位置であった。

小銃班2個は宿屋に朝食のため戻るように命じられた。バス軍曹に対戦車砲の乗員のもとへ朝食が届けられるようにせよと指示したあとで、スミス少尉は宿屋に検閲に非常に満足して戻り、どんな装甲車が現れようと"首根っこを捕まえ"られるとの自信を抱いた。

宿屋に着くと、忠実で思慮深いピンチン(Pinchin)従卒がロールパンにバターとオムレツ、美味い珈琲は好きなだけ注げる素晴らしい食事を持ってきてくれた。

つまるところ、戦争もそんなに悪くないな、それに独力であることには良い点もある。古き良き木苺川は良い奴だ。敵の野郎は橋梁で渡るほか無く、渡ったら驚くことだろう。少尉は敵が渡ってくることを本気で願った、山高帽橋の守護者とはなるほど功名なことだろう。そうとも! 彼は確かに敵が来ることを願っていた。

そして、彼らは来た!

最後の珈琲を飲み干し、煙草に火をつけたとき、まがうことなき機銃音が橋の方角から聞こえた。スミス少尉は対戦車砲の発砲音はと耳を澄ましたが空しかった。通りに急いで出ると、あやうくバス軍曹にぶつかりかけた。軍曹も多々欠点はあろうが、個人として勇気に欠けるところは無かった。砲声のするところへ向かえという格言が彼には徹頭徹尾染み渡っていたのである。二人で橋へと駆けると、角を曲がるか曲がらぬかのところで装甲車が曲がってくるのが見えた。自己保存の本能から両名は開いていた戸口へと飛び込み、装甲車の機銃の連射からからくも逃れた。装甲車は通りを走って行き、すぐにもう一度連射が聞こえた。正面の部屋の窓から眺めて、彼の小隊の多数の兵らが宿屋から飛び出て装甲車からの銃撃に捕えられたのをみてスミス少尉は慄いた。彼は戸口へ急いだ。が、がっしりした軍曹が止めた。"今出て行っても無意味です、上官殿。何も出来ませんし殺されるのは確実です"

"そうできたらいいのに"と哀れなスミス少尉は答えた。"このひどいざまは私がやったんだ。ここに留まって部下が撃たれるのを見ていられない"

幸いなことに、敵車はその日の仕事に満足したのか、道の行く手に急な用事があるようだった。スミス少尉は宿屋へ駆け戻り、軍曹が続いた。二名が戦死し、四名が負傷していた。死傷者は宿屋に運び込まれ、中庭への門を閉ざし、スミス少尉は宿屋と離れを守るべく小隊を配置につけた。ここでバス軍曹が役に立つ助言を多くできることがわかった。軍曹にとってお手の物の事柄だったのである。

準備が完成する間もなく、二台目の敵が来た。ルイス機銃(Lewis gun)の連射と小銃の射撃の歓迎を受けると、気に入らなかったのか、忽ち後進して通りから出て、角を回って来た道へ戻ってしまった。

スミス少尉はやっと考える時間を得られた。気は重かった。彼が失敗したのは確かであるが、どうやって敵装甲車が橋を渡ったのか分からなかった。彼はバス軍曹に聞いてみた。"ワッズ伍長と大した対戦車砲に何が起きたんだろう?全く撃ってないように思える。この畜生な装甲車が走り回っていてはあそこまで行って突き止めることもできない。伍長が無事だと良いが"

"そうは思えません、上官殿"と軍曹は返答した。"しかし、それにしても私はああいったレモネードと紅茶を飲む青二才の手合いは大して高く買っておりませんでした"

結末がどうなるか、スミス少尉には見当も付かなかった。どうにか切り抜けることができればだが、それも疑わしいが、司令(C.O.)が彼やはたまた副官や中隊長のピンクジン(Pink Gin)になんというだろうかと思った。少尉は自身を哀れむばかりでなくが彼らの期待を裏切ったのは確かでありすまなく感じた。

突如として、東からさらに機銃音が聞こえた。最初にみた装甲車が後ろへ向かって撃ちながらすごい早さで戻ってくるのが見えた。宿屋を過ぎるところで、この装甲車は守備していた兵からしこたま射撃を受けた。前を通り過ぎるかというところで、突然大きな音が二回して装甲車は舗装路上で揺らいだかと思うと家の壁に突っ込んだ。この装甲車に続いて見誤りではなく、英国の装甲車が二両追って来た。そして、僅かな間をおいて、さらに二両来た。

敵車が完全にやれらたのをみて、先頭の英国車二両は交差点へとまっすぐ進んだ。後ろの二両は宿屋の外で止まり、バス軍曹は二、三名とともに他の者に先んじて敵車の者を捕虜を取った。調べた結果、敵車はルイス機銃と小銃射撃のためタイヤが二本パンクしたことが判明した。

少尉は中隊長が装甲車から下りてくるのを見て喜ぶべきかどうか分からなかった。

すぐに喜ばないことに決めた。

古強者のピンクジンは開口一番、"さて、何をしていたのかね?"である。"一体どうやって敵の装甲車はここに来れたんだ?"

"橋を越えてきました"、少尉はそう言うのがやっとであった。

"しかし、君は彼らが橋を渡るのを阻止するため遣われたと思っていたが。対戦車砲はどこかね?"

"分かりません、上官殿"とスミス少尉は答え、そして知る限りを話した。

話を聞いて、少佐(the Major)は装甲車の車長と談じた。車長は村から敵は追い払われたようだと告げた。

少佐は次いでスミス少尉を連れて橋で何が起きたのか見に向かった。

二人は砲も対戦車車両も完全で無傷なようであるのを見つけた。ワッズ伍長は腕に雑に包帯を巻いており、乗員二人が砲と車体を調べていた。残る乗員二人のうち一名は戦死し、もう一名は負傷していた。

ワッズ伍長は小さな切り傷のみであった。彼は手じかに何が起きたかを説明した。スミス少尉とバス軍曹が検閲を終えてまもなく朝食が届けられた。彼らは路傍に座って食べ始め、一名を車両に見張りにつけておいた。朝食の半ば頃に、砲に付いていた兵が敵車両二台が近づいてくると叫んだ。ほぼ同時に敵車が機銃を撃ち始め、叫んだ兵は戦死した。

ワッズ伍長とその他の三名は砲へ急いだが、うち二名が撃たれ、彼らは道路から斜面を降りた、そこなら物陰となっていた。

彼らは先頭車両から一人が降りて荷車の一台に牽引ロープを繋ぎ、敵装甲車が引いて路を開けるのを見た。二台は橋を渡った。彼らは何も出来なかった、というのも小銃を対戦車車両に置きっぱなしであったからである。伍長は小銃を携えていれば、牽引ロープを付けに車から出てきた奴を撃てたのにと思った。

少佐はスミス少尉を傍らに連れて行った。"ごろうじろ、若者よ。君は大変なことをやらかしたわけだ。装甲車を1個班、橋に送って、しかもまさにこのときに着いたのは幸いだったな。私は諸君らがどうしているかみたかったので装甲車に同乗する来る許可を貰ったのだ。常識を働かせろと言ったろ。君のとった処置はこれ以上悪いものはほとんど無いものだったぞ。一体全体、対戦車砲を車体に乗せたままで射的の標的にするなんてことがあるかね? 車両がほとんど装甲を施されていないのは知っているだろう。それに誰が考えても明らかだし、君ですら分かると思うが、装甲車は物騒な場所に近づくときは中で機銃の引き金に指を掛けている奴がいるし、路上阻塞を見た瞬間、弾を放つだろう。かなり程度の良い防護が無ければ、装甲車に乗った奴らと対抗するのは望めん"

"奇襲についてはお分かりかな? わかって居るだろうとも! さて、砲を隠して奇襲を仕掛けられるようにしてくれたまえ。一個完全小隊を与えられて何をしようと思っていたんだね、宿屋に腰を据えて朝食を取ることか?"

"大佐は対戦車砲一門でこの仕事には十分と考えられたので、そこで一門だけを送られたのだ。ここらの家々に部下を潜ませれば敵装甲車の奴が外に出て路上阻塞を取り除くのを阻止できたはずだ"

"私は装甲車班と行かねばならん、ロブスターブルグに戻るまえに中折れ帽とシルクハットに寄ってな"

"この有様の責めの一端はバス軍曹にもあるとは思う。部下に頼りすぎるな。自分で考えろ。古強者のバスは豪傑のビール飲みだ、だがそれだけだ"

"他の者の立場に身をおいて何をするかを考えるんだ"

"さぁ、煙草を吸ってしょげるんじゃない。もう一度機会を得られて幸運なんだ。最大に生かせ。学んだ教訓を活用しろ"



第三段(PHASE III)



最初にすべきことは路上阻塞を作り直すことである。この仕事を与えられた班の伍長は閃いた。兵に番線を探して来させ、届くと荷車二台に農具を結び、取り除きにくくした。

スミス少尉は対戦車砲の適地を探した。少尉は川に面した家の一軒に入れることを考えたが、しかし、窓縁が高いため難しく、木床も土台としてさほどふさわしくなかった。

庭に据えることに少尉はやっと決めた。道路と隔てる煉瓦塀は掩蔽として絶好であり、上に土嚢数個を置けば天蓋になる。あとになって土嚢がやや目立つことが分かったが、近くの庭から茂みや植物を持ってきて全体をうまく偽装できた。

しかし、少尉は対戦車砲に頼りすぎるをやめ、虜となった敵装甲車の運命が彼に教えたのはルイス機銃と小銃射撃も装甲車に対して完全に無意味ではないことであった。

古強者のピンクジンはなんと言ったっけ? あぁ、そうだった! "かなり良い防護が無い限り、装甲車の連中に抗するのは望めない"だ。

少尉はワッズ伍長が、小銃を持っていたら装甲車から出てきた奴を撃てたのに言っていたことを思い出した。良い考えだ! 数名を林において路上阻塞を取り除きに車両から出てきた奴を撃たせるのはどうだろう? 格好の場所が橋から下流側の林の中、下生えがある程度あるところに見つかった。兵には防護を与えねば。勿論だ。そこで少々掘り下げて土嚢で頭上を覆い、全体を慎重に偽装した。伍長勤務上等兵(lance-corporal)他二名でこの配置には十分だと判断した。

さて、小隊の残りはどうしようか。彼らがやるべきことは無いように思える。けれど、防御を強化するため家々のうち一軒、路上阻塞と橋を瞰制できるのにルイス機銃一個班を配置した。その他は宿屋に送り返し、ほどなくスミス少尉も戻った。

損害がゆえ、再編が必要だった。対戦車班に数名が貸し出され、小銃班一個が暫定的に解体(disband)された。

状況を検討して、少尉は彼の措置が前回よりも良いと満足し、しかし手ひどい失敗を一度したあとでは、今回は完全に自信を持てなかった。

努力はしたものの、陣地をより強化する方法は思いつかなかった。けれども彼は宿屋を守るほかは未だに何もしていない2個半の班が気がかりだったのである。

鉛筆を取り出すと、彼は帳面に前回の失敗の原因と学んだ教訓を書き留めた。

1.対戦車砲が開けた場所に置かれたままであった。

教訓 隠蔽は常に重要である。

2. 対戦車砲が失敗したら、路上阻塞を守る者は無かった。

教訓 (a) 常に弓には二本の弦を準備しておくこと。
   (b) 路上阻塞は守る者がいない限り役に立たない。いない場合、敵は車両から出てきて牽引ロープをつけて引き剥がしてしまう。
 

3. 機銃を装備した装甲車の敵は油断なら無い客である。敵の弾薬は豊富であり、気ままに使えるようだ。

教訓 路上阻塞を守る者は隠蔽される必要がある。可能ならば射撃から掩蔽されるべきである。

少尉が学んだこと、あるいは学ぶべきことは多いが、紙に書き付けるのはさほど容易ではなかった。役に立たない青二才のワッズ伍長は敵装甲車が出現したとき備えていなかった。伍長と部下は朝食をとっていたのだ。然り、少尉自身も朝食をとっていた。畜生! ナポレオンや誰か専門家も人はすきっ腹では戦えないと言っている。

突如、少尉は閃いた。警報を発する見張りを立てちゃどうだろう? つまるところ、かわいそうな部下たちも一日中、指を引き金に掛けて待っているなんてことは期待できない。

スミス少尉は立ち上がり、バス軍曹を探しに行った。軍曹に閃きを説明するために、である。バス軍曹もその考えは素晴らしい思いつきだと同意してくれた。どこに見張り所を設けると良いか続いて話し合い、軍曹は橋の向こうの道筋数百ヤードのところが良いという意見であった。何らかの敵が近づいたら小銃を撃つよう命じておくのだ。

はじめのうちはスミス少尉もその意見が良いように思えたが、さらに考えると反対意見もあるという結論となった。第一に、橋から400ヤードか500ヤードは道沿いに見通せるから見張りを置くとなるとさらにその先となる。それ以上に沼地でないところでさえ、地形は開けており平坦である。見張りに適した場所を見つけるのは容易ではなく、敵に発見されたら殺されるだろう。河川は装甲車両に対してはかなり良い障害であり、少尉は避けられるものなら部下を危険に晒す(commit men out into the blue)のは気が進まなかった。

" どうでしょう、上官殿" と軍曹は述べて、"ここらに見張り塔があるとは見えません"

スミス少尉には考えがあった、"教会はどうだろう?"

そこで両名は教会へゆき、容易に角塔へ行けることがわかった。塔の天辺からは一帯を数マイル先まで見渡せた。塔から見られずに橋から2、3マイルまで近寄るのはどんな車両にも無理である。残る問題は見張りがどうやって敵車両が見えたとき警報を出すかだ。

小隊軍曹の意見が役立った、空の油缶を置いて見張りに何か叩くものを持たせるのはどうだろう?

こうして、橋のそばで配置についている小銃班の残りは教会の塔に見張りとして置かれ、フィドルトンからの道を油断無く見張り敵が見えたら即座に警報を出すよう命じられた。

試してみたところ、短い鉄棒で灯油缶を叩くと全員に聞こえる以上の音を出せることが確かめられた。

措置が完成したのは10時のことだった、少尉は再び宿屋に戻った。

少尉の次の仕事は各配置を30分毎に回ることだった。少尉と軍曹が代わる代わる行った。だいたい10時30分、少尉が最初の見回りにでたとき、教会の塔から警報が聞こえた。1分もしないうちに少尉は教会塔の天辺におり、興奮した見張りが装甲車四台が橋に近づくのを指差した、先頭の二台は橋からおよそ1マイルか1.5マイルのところであり、残る二台はその後ろ大体800から1000ヤード離れていた。

非常に興奮しつつも、少尉は事態をみるにここよりも良い位置は無いことに気づいた。計画はなり、いまやそれが試されるのを見守らねばならないのだ。

装甲車は橋からおよそ400ヤードから500ヤードの曲がり角に先頭車が着くまで迅速に進んだ。そこで一分か二分の間止まった。少尉は引き返すのではないかと気が気でなかったが、突然、先頭車がこちらへ動き出し、橋からおよそ300ヤードのところで機銃のタタタタタという音がはっきりと聞こえ、路上阻塞のまわりに着弾するのが見てとれた。

ドン! そして数秒後、ドン! 対戦車砲が撃った。

"どんぴしゃだ、神掛けて" 少尉は叫んだ。"でかしたぞ、ワッズ伍長!!"

たしかにどんぴしゃだった。最初の一発で敵装甲車は止まり、バックし始めたところに二発目がまともに当たった。三発目と四発目は外れたが、五発目は命中した。その間、二台目の敵は分別も勇気のうちと考えて、あたう限りの速度で逃げ出し、後ろの二台と合流すると三台で消え失せてしまった。

喜びいさんで、少尉は塔をたちどころに降りるとワッズ伍長と砲側班を祝福しに急いだ。

敵先頭装甲車の乗員のうち1名が戦死、残りは負傷したことが判明した。車自体は完全に行動不能であった。

やっと、なにか良い報告をできるようになった、橋は守られ、敵装甲車一台を撃破し一切損害を出さなかった。災厄が全くの思いがけぬ幸運により避けられた午前早くの話とは違うのだった。

ロブスターブルグに連絡をすると、副官は事務室にいなかったが、大佐が出て、上長は喜んだばかりか口をきわめて褒め、前回の遭遇を報告したときの副官でもこうは言えないほどであった。

"よくやったぞ、スミス少尉"と大佐。"部下たちに私が諸君を誇りに思うと話してくれたまえ。が、油断してはならん。これまでは偵察車両だけを捌いていればよかった。敵は明らかに山高帽橋に関心を示している。より断固とした行動に出てくるであろう。旅団は当地ロブスターブルグを大体2時ごろに出発する予定だ。我々が到着するのは真夜中頃になる"

次の検閲巡回で大佐の言葉を全員に伝えて警戒を緩めぬよう注意した。ワッズ伍長には特に褒めた。

"よくやったな、ワッズ伍長。出来る限り待って撃ったのが嬉しい。早めに撃ち始めていたら、あの車を仕留められなかっただろう。スミス少尉は自分が経験を重ね成功した指揮官のように感じた。

宿屋に再び戻ると、少尉はバス軍曹を談話室(sitting-room)に呼んだ。

"バス軍曹"、と少尉は切り出した。"思うにこれは機会だ、最もふさわしい機会だと思う。ビールを飲んだことはあるかね?"

"何度かございます”、軍曹は微笑みながら答えた。

"ではこの宿屋の自家製がどうかみてみようじゃないか"

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第四段(PHASE IV)

正午12時にスミス少尉は再度守備隊を検閲した。対戦車砲が全てよしであるのを確かめ、ついで橋を眺めるルイス機銃班へと回った。眺めはさほど良くなかった、というのも木苺川左岸の木々に遮られているためであるが、しかし路上阻塞ははっきりと見え橋の向こうの道路を500ヤードほど良好な射界に収めていた。

スミス少尉が立ち去ろうとしたちょうどそのとき、警報が再び鳴り出したのがはっきり聞こえた。彼は今いるところに留まることにし、ルイス機銃が覗いている窓の一つ隣から事態を見ることにした。

かなりの間、警報の音のほかは何も見えたり聞こえたりしてこなかった。

そして数分後、橋の向こうの角のあたりに何か見えた気がした。角一帯には木は無かったが、茂みがいくらかあった。それ以上に道路がそこで僅かに窪んでいた。少尉は教会の塔へ行っていれば良かった、あの場所がはっきりと分かるところに居たらな良かったのにと思ったが、そのとき道の角の方向から激しい連射が来た。これにルイス機銃が応じた。状況はいささか不快ではあるが、さほど警戒すべきでもないように思えた。とどのつまり、敵車二台(機銃二丁が撃っているように思えた)では川越しにあてずっぽうで撃つほか大したことはできず、機銃弾は家々の壁にあたり対戦車砲にかなり近かったが、砲はよく掩蔽されており砲側班もかなり安心であった。

対戦車砲はまだ撃っていなかった。おそらく砲員は敵車があまりにも低いところにいるので見えないのだろう。少尉は砲のところまで安全にいける手立てを探り始めた。家の裏口から出て隣の家に裏手から入れることに少尉は気づいた。手と膝ではらばいで進み低い庭壁を防護に使って砲のところまで安全にたどり着くことができた、とはいえ、頭上を機銃弾がうなりをあげて飛び越えて背後の壁に当たっているとあっては緊張する道行きであった。

ルイス機銃も恐ろしげな音を放っており、敵装甲車の機銃とあいまって少尉を些か興奮させた。

"敵の野郎をどうして撃たないんだ?" 少尉はそう叫んだ。

"見えないのです、上官殿" ワッズ伍長が返事する。

"どこにいるか教える"、スミス少尉はそう叫び、立ち上がると破れ口を覗き込んだ。が、彼が覗き込まんとしたときにぶつかるように地面に身を投げ出した。敵装甲車が機銃を彼にまっすぐ向けて、路上を進んできているところだった、来たのはケルンの方角からだった。どういう奇跡か彼は丁度壁の下に倒れこみ、連射を逃れることができた。しかし、この連射で砲側班全員がなぎ倒されてしまった。壁は当然ながら正面からしか守ってくれなかったのである。スミス少尉は臆病者ではないが、動けば即座に死ぬことは分かった。そのまま敵装甲車が動くのを聞くまでは彼はじっとしていた。すぐに誰かが少尉に異国の言葉で、しかもはっきりと好意のこもらぬ調子で話しかけるのが聞こえた。見上げると、がっしりした悪漢が彼に輪胴式拳銃を突きつけているのが眼に入った。彼が立ち上がり後に続けと命じているのは明らかだった。

少尉は路上へと連れ出され、そこでルイス機銃班の生き残りと合流した。付き添っているのは同じように不愉快な奴だった。身振り手まねで逃げようとしたらどうなるかをはっきりと叩き込まれた。

村は敵の装甲車で一杯なようだった。スミス少尉はケルンからの道に二台、中折れ帽への道に二台、橋への道を二台が動いているのを見、さらに橋に向かって三、四台の装甲車が対岸を進むのが見えた。木苺川右岸の先頭の車両は橋のすぐ手前まで寄せて停車した。男が車内から飛び出て路上阻塞を絡めている番線を切ろうとした。

パン! パン! パン! 道左手の林から小銃が三発響いた。路上阻塞のところの男は顔を埋めるように倒れて動かなくなった。

少尉は喜びの声を思わず抑えられなかった。"ジョンストン(Johnston)伍長、素晴らしい、良くやったぞ、我がつわものよ" 少尉を連行していた奴は彼の喜びに同調せず、少尉がこの瞬間に気づかなければ殴りかかっていたであろう。

捕虜達はいまや無力な観客として路上阻塞を守る勇敢な小陣地と半ダースばかりの装甲車との間の不釣合いな戦いを悔やみつつ見るほか無かった。敵装甲車は直ちに三発の銃撃があった林に弾を送り込み始めた。撃ち返す銃撃が無いので装甲車は射撃をやめたが、敵将校はそれ以上の危険を冒そうとしなかった。路上阻塞の両側に一台ずつできる限り寄せて装甲車を停め、銃撃の源と道の反対側の茂みとに向けられる機銃は全て向けてからもう一度障害の取り除きに掛かった。

スミス少尉にはジョンソン伍長と部下二名に何が起きたか見当もつかなかった。ただ彼らが逃れたことを望むのみであった。また、宿屋にいる小隊の残りの運命もさっぱり分からなかった。そちらの方向からは射撃音は一切聞こえてこなかった。そうすると今のところは健在かもしれない。

捕虜はやがて橋に面した家々の一軒へと連れてゆかれ、スミス少尉がある部屋に、他の者は別な部屋に入れられた。どちらの部屋も階上であり通路が間を通っていた。連行していた奴は通路に残った。

スミス少尉はいまや考える時間ができた、彼の思いは心地よさとは程遠かった。一体どうやって敵装甲車はケルンの方角から現れたんだろう? 道案内役は少尉に山高帽とケルンの間で川を渡れる場所は無いと請合ったじゃないか、それに少尉も地図をみて橋が無いことは分かっていた。道案内役が間諜だったのか? ありそうにもないな。彼は古株の兵士であり、まともな奴に見えた。それ以上に彼のことはロブスターブルグの市長が保証している。いずれにせよ、あの畜生な装甲車はどうにかして木苺川を越えて私は哀れにも失敗したわけだ。ひょっとしたら他の奴が失敗したのかもしれない。それで敵が来れて、備えをひっくり返したわけだ。敵はひそかに渡し船か筏で渡ったのかもしれない。少尉は勿論、村への道を封じるべきだった。しかり、少尉には対戦車砲は一門のみであったが、路上阻塞を作り守らせることは出来た。敵装甲車の連中は確かに馬鹿じゃない。あれはなかなかのやり方だった、車を盾代わりにして降りて路上阻塞を動かすというのは。路上阻塞を守りに遣わした部下は、両側から敵を妨害できていれば啓開を防ぐ可能性がもっとあったはずだ。次回はそうしよう。次回? 次回はありそうに無い。少尉は戦争の残りの期間を不潔な捕虜収容所で過ごすことになりそうだ。

彼の思考は部屋の外での騒音で妨げられた。外を見ると多数の車両が橋を渡っており、見渡す限り並んでいるのが見えた。明らかに軽戦車(light tank)だった。その光景は少尉の失敗をまざまざと見せ付けた。少尉は自分が阻止するために送られたまさにそのものを見るのに耐えられなかった。なんと彼は全くの役立たずであったことか!

部屋の反対側へと戻り、そこなら彼の愚考の結末を見ずに済んだ、彼は再度憂鬱な反省へと沈潜した。

道を塞いで守らせるのを除くと、少尉には他に手酷い失敗をしたり、彼が当然すべきことを省いたようには思えなかった。何が起きたのだろう? 敵のやり口はどうだったろうか? おそらくは数台が橋が守られているかと守られているならばどうやってかを探りに来た。一台を引き換えにして敵は山高帽橋が守られているが、村は木苺川左岸での側翼機動には開け放たれているのを知った。数台の装甲車で橋に西から守備側の注意を十分にひきつけるまで近づき、射撃で釘付けにし、その間に他で渡ったのが忍び寄り守備側を側面と背後から襲う。対戦車砲を家に入れておいたほうがつまるところ良かったんじゃないだろうか。側面からの攻撃にも安全だったはずだ。

スミス少尉はもう一度窓際へいき対戦車砲がここにあったら射界はどうかをみてみた。外を見ると、奇妙な見かけの車両が橋を渡っているのが眼に入った。よくみると、それは軽砲(light gun)が半装軌車両に載せられているものだと分かった。つまり、敵は撃ち放せる砲を持っていたのだ、必要ならば投じる構えがあったのだ!

砲については何といわれていただろう? 沢山あるな、その中でも、砲撃を受ける恐れがある場合、目立つはっきりした建物を占めるのは賢く無い、というのがあった。然り、問題の建物は村に沢山の家々があるのでさほど目立っては居ないが、橋を見下ろしており対戦車兵器の場になりそうな点では確かに眼につく。いかん! 少尉は思い直した、砲撃を受けないとかなり確実で無い限り少尉は対戦車砲を家に入れることはあるまい。簡単に見つからぬほかの場所を探したほうがよさそうだ。

スミス少尉は一晩中起きていて日中は忙しく興奮していた。彼は些か疲れを感じ、敵が彼をどうするんだろうと考えた。何か食べるものが欲しかった。また彼はとても喉が渇いていた。部屋には飲み物は全く無かった。ひょっとしたら看守役が飲み物を持ってきてくれるか、取りに行くのを許してくれるかもしれない。奴は危ないように見えたから、扉をあけるときは用心しないと撃たれかねない。

彼は穏やかに扉を叩いてみた、返事は無かった。

少尉は再度もっと強く叩いてみた、それでも返答は無かった。

慎重に扉を開けてみると、廊下は空っぽだった。頭の中に考えが閃いた、逃げよう。

廊下を忍び歩いて反対側の扉を開けた。他の捕虜達が居た。手早く、しかし静かに少尉は考えを説明した。その場に留まるように彼らに伝え、少尉自身は階下へ忍び降りて様子を探ってくる。少尉が丁度階下についたとき、看守役が彼に突進してきた。少尉が身を守ろうとする間も無く、あごに痛い一発を受けて床に伸びたのだった。

転がり、彼は眼を覚ますとベッドから落ちてそのときに椅子に頭を打ち付けたのだと分かった。

"なんてこった!" スミス少尉はひとりごちた。痛む顎をさすりながら"思うにロブスターマヨネーズの食べすぎだな"



反省(REFLECTIONS)

ベッドから落ちて完全に眼が覚めて、スミス少尉はしばらく寝付けなかった。彼には夢あるいは悪夢をどの細部に至るまでも思い起こせた。彼はきわめて容易に山高帽村の見取り図を書きそこで起こったことを正確に記すこともできるほどだった。さらに奇妙なことには、少尉はその時々の考えも完全に思い出せた。何よりも彼は学んだ教訓を思い出すことができた。

職業への鋭い関心が無いわけではない若者として、少尉はこれらの戦訓を思い返し、仮に彼が現実に夢の中での状況と同様に橋を守るよう命じられたらと考えた。

その結果、少尉はしばらくの間眼が覚めたままでおり、また寝入る前に戦争の巡り合わせで古代ローマの橋を守り抜いたあの勇敢で、かつ見事なるホラティウス・コクレス(Horatio Cocles)の立場になったらどうするか克明に心に刻み付けたのだった。



第二の夢(SECOND DREAM)

第一段(PHASE I)



スミス少尉が時計を見ると1時だった。1時間以上も起きていたことになる。これはやってはならないことだった。忙しい日を控えて、彼は眠らねばならない。体を横にすると、少尉は先ほどの夢をなんとか振り払い、すぐに舟を漕ぎ始めた。しかし、少尉ははっきりとした意識の主である若者が当然期待するような穏やかで力を甦らせる眠りには入らなかった。ともあれ、健康な若者はロブスターマヨネーズを途方も無く平らげるべきではない。

意識が落ちる間もなく、彼はまた生々しい夢に囚われた。

彼の第二の夢が第一の夢と多くの点で同様であったことは説明しておくべきだろう。ある程度まで細部も同一であった。夢の間中、彼は以前にも起きたという感じがしていた。勿論、少尉はそれが単なる夢であるとは分かっていたが、人々も場所も見覚えがあった。

しかしながら、はっきりとした違いがあった。第一の夢では少尉は何も分かっていないという感じで問題に向かったものだったが、今は安んじて自信を感じ、全く同一でないにせよ、同様な状況で橋を守ったことがあるというぼんやりとした感覚があった。何にもまして、彼はある程度のこの問題について役立つ教訓を学んでいることを明確に思い起こせた。これらの教訓は彼の心に確固として刻み付けられていた。

再び、彼は大隊事務室に招集された。そして再び司令(Commanding Officer)から同一の指示を受けた、そして再び彼は山高帽村へと入る己を見出したのだった。

"たいした場所ではありませんな、上官殿"、バス軍曹がそう口にした。

"違うな"、スミス少尉は短くそう返答した、彼は山高帽村の美しさと便利さについて議論するよりも、やるべきことに集中していた。

"小隊伝令に道案内役と一緒に郵便局に行くように伝えてくれ。大隊に到着したことを伝えておきたい"

"道案内役に住民に質問して装甲車をここらで見かけていないか知らせてくれるよう話してくれ"

やるべきことは余りに多く何から手をつけてよいか迷うほどだった。しかし、橋が最も重要な場所に思えた。小隊軍曹のバスに、ワッズ伍長を伴いスミス少尉は橋へと向かった。

"角を曲がったところで敵の装甲車に出くわさねばよいですな"、ワッズ伍長は快活に言った。

"同感だ"、スミス少尉は答えた。"考え直したぞ、偵察は君の対戦車車両でやることにする。バス軍曹と私のために二人分場所を空けてくれたまえ"

橋につくと、少尉は衝撃に見舞われた。どうしてだ、なぜだか、確かにこの場所は以前みたことがあるぞ? 絶対にそうではないのだが、勿論、以前に見たことがあるはずがない。けれどもそれにも関わらず、沼地の中の土手道に続く橋、木苺川左岸の木々、小さな庭が前についた川に面した家々、全てがとても馴染みあるのだった。

"交差点に砲を置いておくのが良いな"とスミス少尉。"できるだけ生垣の後ろに隠すように。しかし、橋を瞰制できるようにな。1個小銃班で橋の向こう側に路上阻塞を作らせる、そしてほかの処置も終えたら砲を降ろして据えて使える場所を探すつもりだ"

"砲側班の残りが着いたら、適切な場所を自分で探すように。しかし、私が君が良いと思う場所を見た後でなければ砲は動かしてはならない。部下には油断するなと念を押してくれ、いつなんどき敵装甲車が来るか分からない"

スミス少尉と小隊軍曹は橋を取り急ぎ調べた。

橋のほかに、道路を塞ぐべき箇所が三箇所あった。路上阻塞毎に一個班を遣わすと考えてみた。小隊全部が使い切られてしまい、予備が残らない。それに少尉は見張りも設けたかった。

少尉はこのことについてバス軍曹と相談した。

"私には分からないのです、上官殿。どうして道路を塞ぐかかです。道案内役はここいらを良く知っていますが、ここ山高帽村とケルン、反対側の中折れ帽のどちらの間にも橋や渡渉点は無いと言っています。部下には朝食を取らせて、少し休ませたほうがいいと思います"

"ここを固めた後でも朝食と休憩の時間はたっぷりある。私はいかなる危険も冒したくない。かなり先まで他に橋は無いかもしれないが、敵はケルンか中折れ帽の橋を渡る可能性もある。それ以上に敵がどこかで筏で数台を渡してくるかもしれん"

"それに加えて、木苺川のこちら側に既に敵装甲車がいるかも分からん。橋へ一個小銃班を直ちに連れて行き路上阻塞に取り掛かってくれ。他の者には私が命令を出しておく"

スミス少尉は小隊軍曹に操られるつもりはまったく無かった。

軍曹はかすかに驚いて少尉をみたが、争うことなく命じられたことをやったほうが良いと心に決めたようだった。

次は見張りを設けることである。手早く調べた結果、教会の塔は理想的であると分かった。兵二名を天辺の部署につけて注意深く見張り、いかなる車両であれ接近したら警報を出すよう命じた。警報を鳴らすため古びた錫の浴槽と短い鉄棒を与えた。

残る三個班の班長を集めて防御計画を彼らに説明した。

ルイス機銃班二個はそれぞれケルン道と中折れ道に路上阻塞を構築するよう命じられた。残る小銃班はロブスターブルグ道の路上阻塞にあてられた。事を容易にするため、四箇所の路上阻塞に名前をつけた。おのおの橋阻塞、ケルン阻塞、中折れ帽阻塞、ロブスター阻塞である。

三個班を材料を集め路上阻塞を作るよう遣わした後、スミス少尉は橋に戻った。ここの班は路上阻塞をうまく作り上げているのが分かった。重い荷車二つが集めてこられ、番線で結び付けられていた。

"出だしは上々だな、伍長"と少尉は担当している下士官に話しかけた。"しかし、見つけられる古い鋤や鍬なんかでさらに固めたほうがいいな。装甲車でも体当たりで壊せるかもしれんし、戦車なら確実にそうだろう。阻塞は厚すぎ、頑丈すぎということは無い"

ワッズ伍長がこのときにやってきて、対戦車砲の位置についての問題をまた持ち出した。

"あそこの家、本道沿いにあって橋に面したのに入れるか、それとも低い庭壁の背後にするか決心がつきません。家の中で砲を据えるのは難儀ですが、やれると思います。壁の後ろなら据えるのも楽ですし、土嚢で頭上を覆うこともできるでしょう。来て見ていただけませんか、上官殿?"

二人で彼らは家と庭を調べた。

"庭には気がさほど向か無いな"とスミス少尉。"橋の方角からの防護は万全だが、もし装甲車がケルンか中折れ帽から来たら危険な縦射を浴びることになる。家のほうがまだ良いな。側面が両方とも守られている。しかし、家もさほど気が進まないのだ。敵がここで本気になって渡る気なら、砲も持ってきているだろう。そしてどの家から対戦車砲が撃っているのか気づくのにそんなにかかるまい。この家は向こう岸からもはっきりと見える。ここで砲撃を受けたら君はきわめて危ないだろうね。どこか他を探さねばならないな"

ケルン=中折れ帽の本道は川と平行におよそ100ヤードのところを走っている。木苺川左岸は木々が濃密に茂り帯となっている。木々の間と道にはかなりの茂みや下生えがある。道自体は村のあたりのほかの全ての道同様に両側にかなり密な生垣が続いている。ケルン=中折れ帽本道の木苺川側には二戸建て住宅が二つあり、それぞれフィドルトン道の両側に位置している。

スミス少尉とワッズ伍長はまず橋に面して左手の二戸建て住宅へと歩いていった。この住宅はほぼ完全に木苺川西岸から木々や背の高い茂み、そして家の裏手の庭を巡る密な生垣により隠されている。そしてちょっと調べただけでここに対戦車砲をおけないことは十分に分かった。山高帽橋も橋から西へと走る道も全然見えなかった。フィドルトン道を挟んで反対側の二戸建て住宅へといくとたちどころに求めていたものが見つかったことが分かった。ここも木苺川側の庭は密な生垣に囲まれているが、生垣の狭間から道が斜めに川へと続いている。道両側数フィート分だけ下生えが刈られており、この道は木々の帯の間を、倒れたのか或いは切り倒されたかした二本の木のため隙間の生じたところで抜けている。

かくて橋の向こう側とそこから西への道路ほぼ100ヤードまで良好な射界に収めている。

スミス少尉はただちにここが対戦車砲にとって好適な配置であると決した。ここは視界からも良く隠蔽されていた。少々鍬で作業し土嚢を用いるとほどなくして機銃に対する砲側員の掩蔽は十分となった。

再び橋へ戻ると、ジョンストン伍長と、対戦車砲が撃破されたり或いはそのほかの理由で機能しなくなった時に路上阻塞を取り除かれないようにするため、配置について話し合った。

ほどなく手ごろな位置が下生えの中の小さな土盛りの背後に見つかった。フィドルトン道の南側であった。路上阻塞がはっきり見えかつ射界も得られたが、道路からは実際の位置を掴みにくいのである。この配置に三名を付けて、直ちに機銃弾に耐えられるよう必要な作業を開始せよと命じた。

手じかに彼の考えを説明したのちに、スミス少尉は伍長に同様の場所をフィドルトン道の向かい側にも見つけさせた。そのとき対戦車砲の位置には近づき過ぎないようにと触れておいた、さもないと対戦車砲を狙った砲撃が降りかかってくる可能性があるためである。

その後、彼はこの配置を調べて、選ばれた位置でよいと承認した。

かくて少尉は敵が橋に殺到することはできまいし、押し通ろうとすれば頑強な抵抗にあうだろうという自信をえたのであった。



第二段(PHASE II)


さて、他の路上阻塞の番である。少尉はまずケルン道のを先に調べることにした。既に敵装甲車が渡河し終えているならばもっとも来る可能性のある方向だからである。

ケルンへの道は山高帽村の中心から北へおよそ400ヤード進み、そこで鋭く右へ折れてさらに200ヤード進んだところで今度は左へ折れている。道を歩いていくあいだ、スミス少尉は誰かが作業している徴候はみかけなかった。角までくると小隊がロブスターブルグから来るとき乗っていた大型バスが角を曲がってすぐのところに停車しているのを見て少尉は驚いた。

"一体これは何だ?" スミス少尉は叫んだ。"馬鹿者どもは僅か数百ヤードも歩けないほど怠けているのか?"

丁度そのとき、ルイス機銃班を率いるウェブスター(Webster)伍長が姿を見せた。

"おい、伍長! 君は一体何をしているんだ? どうして君はバスでここに来たんだ? そしてこのバスはこんな風に道を塞いで何をしているんだ?"

"はい、上官殿"、伍長は丁寧に答えた。"路上阻塞の材料を集めるのに時間が少々掛かるかもと思いましたので、バスを道路をよぎる様に停めて一時的に阻塞に使うのが良いとおもったのです。我々の用意が整う前に装甲車が来た場合に備えてです。ルイス機銃に二人ほどつけて守らせてあります"

"全く持ってその通りだな、伍長。確かに良い計画だ。考えても見なかった。さて、どこに阻塞を置く積もりだ?"

"角を曲がってすぐのところを考えております、上官殿。そこなら不意打ちになります。角を回った先だと敵は200ヤードほど先からみえますから停車して引き返す余裕があります"

"ウェブスター伍長、君には頭脳があるな、それになによりその頭を使っている。まさしくその通りだ! 続けたまえ。路上阻塞を守る配置は視界からばかりでなく射撃からも守れるようにな。気ままに撃ってくる装甲車ならば陣地目掛けても連射してくるだろうから"

スミス少尉はこのような有能な者には物事を任せておけると感じた。少尉は次に中折れ帽阻塞に行こうと歩みを返した。100ヤード行かないうちに少尉の目に村の反対側にある中折れ帽阻塞が見えてきた。道路は完全にまっすぐなのだ。少尉の頭に突然、ケルン阻塞と中折れ帽阻塞が互いに700ヤードか800ヤードを隔てて見えるということが閃いた。そうだとすると、敵装甲車がどちらか一方を取ると、もう一方には背中から撃てることになる。然り、配置は路上にあるわけではないが、正面ばかりでなく背後から撃たれる可能性があってはことは複雑となる。考え直すに、おそらくケルン阻塞は角を回った先に置くほうが望ましい。

ウェブスター伍長のところへ戻り、考えを説明し、角を回った先に路上阻塞を作るよう指示を与えた。

次に彼はロブスターブルグ阻塞を訪ねた。ここを担当する下士官もまたかなり有能で常識にも恵まれているようだった。彼の任務は比較的単純なものであった。両側に家並みのある道を塞ぐだけでよく、守る者のために良い掩蔽を探すのは容易であり、家の中であれば装甲車の機銃手に見つかる可能性はほぼありそうに無かった。スミス少尉はかくも良き班長たちに恵まれたことを内心祝いつつ、中折れ帽阻塞に着いた。

中折れ帽への道はしばらくの間、完全にまっすぐである。ジョーンズ(Jones)伍長が選んだのは家並みが丁度尽きた地点であった。路上阻塞の材料の問題は全く無かった、というのも手近なところに農場があったからである。

スミス少尉のみたところ、阻塞が良く作られており装甲車のみならず、軽戦車の通過すら阻めるほど頑丈であった。

道の両側には幅4フィートほどの茂みが続いており、そのさらに両外を大体2フィートか3フィートの溝が走っている。少尉がぞっとしたことにはルイス機銃に三名がついて、路上阻塞の後ろおおよそ30ヤードか40ヤードのところの道路右手の茂みの中では位置についていた。道路の反対側には班の残りが居た。

"来たまえ、ジョーンズ伍長"と少尉はいい、班長を傍らに連れて行った。"君の措置はよろしくないな。部下を路上に置くのは全く無用だ。君が山高帽村へ進まんとする装甲車の車長だったと考えてみたまえ。自分が時速30マイルで道を進んでいて、突然、路上阻塞を例えば、400から500ヤード先に見つけたと思い描いてくれ。君はまず最初に何をする?"

"停車して引き返します、上官殿"

"さて、君はそうするかもしれんし、そうはしないかもしれん。それは君が受けた命令次第だ。いずれにせよ、阻塞とその直後に向かって撃てと機銃手に命じるとは思わないかね、仮に機銃手が既に撃っていなかったとしての話だが?"

"はい、上官殿。そうすると思います"と伍長は同意した。

"では、部下達を装甲車から降りた奴らが阻塞を取り除けるのを妨げられるが、装甲車からの機銃弾からはかなり安全なところへ配置したまえ。付いて来たまえ、あの農場を見てみよう。かなり有望そうだ"

調べた結果、農場の主棟の北側に好適な配置がみつかった。壁に近く置くことで、ルイス機銃はちょうど路上阻塞を瞰制することができ、しかもその外側数ヤードのところにいる装甲車の射撃からは守られるのだった。敵装甲車が阻塞すぐのところまで来た場合に備えて掩蔽を作る材料は沢山あった。

"敵が阻塞を突破すると決意を固めたら、装甲車の一台を路肩まで寄せてここからの射撃の盾にして誰かが降りて阻塞を片付けることもありえる。そこで君は道路の反対側にも二人ほど配置するほうが良い"が、スミス少尉の去り際の指示であった。

ジョーンズ伍長に指示を実行するのを任せて、少尉は道を歩いて戻り次に何をすべきか考えた。すきっ腹が朝食の時間だと伝えてきた。時計をみると午前8時すぎだった。そこでスミス少尉は宿屋に戻り、自分の朝食をとり、部下のを手配することにした。宿屋につくとバス軍曹も同じ考えだったことが分かった。軍曹は紅茶を淹れさせ、糧食を班ごとにわけて、小さな地元の配送自動車を徴発して朝食をもって回らせるにしていた。

朝食後、スミス少尉はバス小隊軍曹を宿屋の小さな談話室へといざなった。

"バス軍曹"、そう少尉は話を切り出した、"できるかぎりのことは全てやったか確認するのを手伝ってくれ。橋はかなり安全になったと思うし、山高帽村へ入る道路三本とも塞いだ。私が唯一気がかりなのは予備が無いことだ。小銃班の一つから既に二人抽出して見張りにつけている。これ以上どうやって取ればいいのか分からない。各路上阻塞にはそれぞれ配置二つで守っている"

"そのことについては私も考えておりました、上官殿。ご存知のように、問題は対戦車砲が一門のみであり、これを橋に置いたことにあります。勿論、橋が最も重要だと分かります、しかし、私が指揮をとっていたらば、そして指揮官があなたであって、私で無いのはよろこぶべきことであります、上官殿"

"私であったら、砲を車両に載せて、どこから中央に控えておき予備として使います。路上阻塞は装甲車を締め出すには良いでしょうが、損害を与えることはできません。そこで砲を車体に載せておけば敵の来たところへ走って行き少々の損害を与えられるでしょう"

"そうだ、軍曹。君の言ったことは筋が通っている。しかし、私のみるところ最大の危険は対戦車砲車両は完全に装甲されておらず、装甲戦闘車両のように用いれば他の完全に装甲を纏った装甲戦闘車両(A.F.V.)に対して非常なハンデを負うということだ"

"勿論、敵が正面からのみ撃って来るならかなり安心だが、しかしここに二、三方向から同時に攻めてきたとしよう。そうなると動くと側面や背後から撃ち竦められることもありえる。総じて、対戦車砲は最も重要な場所に置いておき、敵に奇襲を仕掛けられると期待するのが最善だと思う。良い意見だった、他にも無いかね?"

"他にも意見というほどのものかはわかりませんが、上官殿、敵装甲車班を私が木苺川のこちら側で指揮して路上阻塞に行き当たったらどうするか考えてみました。取り除けないと分かったら、私は考えを少々めぐらすでしょう。勿論、敵装甲車に何名乗っているのか正確なところはわかりませんが、しかし各車から小銃を持たせて一名割くことは出来ると思います。数名を匍匐して路上阻塞の配置の背後へ回らせない理由はありません"

"なんと、軍曹、君の言う通りだ"、スミス少尉は叫んだ。"それで予備を持たねばならぬというのをはっきりと悟ったよ。しかし畜生一体どうやって予備を手に入れられるか分かればなぁ。言葉が汚くてすまない、軍曹"

"それは大丈夫です、上官殿。少々問題であります"

"問題だな"、少尉は続けた、"敵はまさにそのために各車に歩兵を二人ほど詰め込むさえするかもしれん。一つ確かなのは、路上阻塞はどれも諦めるわけにはいかない、そして一個班で二つの路上阻塞の面倒を見れるとは思えないことだ。しかし、射撃線(the firing line)をまばらにせざるをえないな。一緒に来てくれ、何か出来ないか見てみよう"

彼らが最後のたどり着いた手立ては、各配置は二名のみとすることであった、残り三名は班長のもと局所予備(local reserve)として用いる。少尉の従卒と対戦車砲車両の運転手が教会塔の見張りの交代に送られ、道案内役もこの勤務に加わることを申し出てくれた。有利な陣地であることをかんがみて、ロブスターブルグ阻塞は二名のみで守っても十分に安全とし、一名ずつ道の両側に配置して、班の残りは宿屋にて中央予備(central reserve)とした。

これらの変更がなされるまでスミス少尉は彼が成功を確実にしうる全てをしたとの自信を本当に感じることは無かった。それでもなお、かれはある一点について若干の不安を感じていた。橋は装甲車に対しては安全だと考えていたが、あるいは砲撃に支援されて中戦車(medium tank)や重戦車(heavy tank)が押しのけるのに使われたらば結果はどうかとかすかな危惧を抱いていた。橋を丸ごと吹き飛ばす許しを得られていたらはるかに気楽だったに違いないだろう。

午前10時。スミス少尉とバス小隊軍曹とともにケルン阻塞を調べに向かっていた。二人が着くかというところで、教会塔から警報が響いた。スミス少尉にはどの方角から敵が迫っているか全く分からなかったが、路上阻塞の近くや路上で敵に出くわすのは望んでいないので、少尉と軍曹は道路から外れて茂みの背後に身を潜めた。ほどなく警報は誤りだったことが明らかとなった、一分か二分後に二両の装甲車、疑いなく英軍のものが、角を回って阻塞に近づいた。

スミス少尉は彼らに会うために駆け出した。

"驚いたね、こりゃ" 先頭の装甲車の将校が叫んだ、"それで丸ぽちゃスミスは公道を塞いで何をしているのか伺ってよいかね?" "どうも! ポーカーシモンズかい?" スミスは返事をして、"僕が何をしているかって、僕は今のところ山高帽村の王で、君の奴みたいな敵の臭い車をこの心地よい田舎の町から締め出すよう任じられているってわけさ。ところで、ここを通りたいんだろ、えらく邪魔っけだが、数分間待ってくれれば落とし格子をあげて、中へ入れられるよ"

"分かったよ、ご同友。君がどうやっているのか見に送られたんだが、中折れ帽まで行かなきゃらないんだ。だけど君の集めた戦利品をわざわざ動かす手間はいらないよ。2、300ヤードも戻ると小道があるからぐるっと回ってくる。少ししたらまた会おう"

装甲車二両は道を戻っていった。

"アーグストゥス・シドニー・スミス(Augustus Sydney Smith)よ"、完全に打ちのめされた山高帽の王は呟いた、"ありとあらゆる空っぽ頭で、役立たずで、能無しの愚か者で、お前が断トツでびりっけつだ。せっかくの路上阻塞を迂回できる道があるか調べてみないとはね。勿論、その小道は北農場(the North Farm)へ続くに違いあるまいて"

このとき、装甲車が一両、阻塞のところへ戻ってきた。

"おい、丸ぽちゃ。 あの小道に対戦車地雷(anti-tank mine)を敷き詰めてないといいがね。吹き飛ばされるのはごめんだ"

"対戦車地雷だって! もちろん使っていないよ。そこら中に地雷を埋めて回るため袖に馴らされた野外中隊(Field Company)を入れてるとでも思ったのかい? その道を回って全く安全だよ、それどころか、敵の装甲車も同じく安全に行けるんだがね"

"分かったよ、相棒! そうがっかりするなって。古馴染みからの助言を受け入れられないほど狭量じゃなければだが、ここの阻塞を道沿いに先へ動かして小道が交わっているところにするのが良いよ。それと対戦車地雷を忘れないでくれ。うちらはひどくあれが嫌だね、とりわけ埋め隠されててほとんど見分けがつかないときはね。副官(Adjutant)にいくらか送ってもらうといいよ。路上阻塞に幾つか混ぜ込むか、その直前だったら、より守りも堅くなるし何かを仕留められるいちかばちかの可能性もでてくる。さて、じゃ元気でな! 行かなきゃならない、この助言は無料だよ"

スミス少尉は助言を受けられぬほど狷介でなかった。まずもう一つ阻塞を道のこの先の曲がり角のすぐ手前に作るよう命令を出した。そこならケルン道ばかりでなく小道も守れる。ついでバス軍曹に他の路上阻塞二箇所が迂回できないか調べて報告させるよう命じた。少尉はすぐに元気を取り戻した。地雷があれば阻塞を戦車からも安全にするという問題が解決するかもしれない。

地雷が必要だということについて副官を説得するのはある程度骨が折れたが、最後には工兵(sapper)と連絡を取って何かできないか約束を引き出すことに成功した。副官は旅団は午後14時に行軍開始で大隊が山高帽村に着くのは真夜中頃だと教えてくれた。

正午頃、工兵軍曹(sapper sergeant)と三名を乗せたトラック一両が到着した。彼らは対戦車地雷について専門家の立場から助言するそなえがあり、対戦車地雷を60個携えていた。午後14時までには阻塞の前に浅く掘られた溝に地雷を敷き終えた。金属はできるだけ不審のないように慎重に埋められて、山形鉄材を雷管に取り付けて装甲車が乗り越えても確実に起爆するようにした。数個は橋の阻塞の中に混ぜ込まれた。

sketch4.gif


スミス少尉はかくてようやくのことで措置が完成した、そして攻撃を受けてもかなりやれる、そのためできることは全てやったという安堵感をえた。仮に失敗したとしても、彼が座り込んで何もしなかったからではなかった。少尉は自分を肉体的にも精神的にも、使うのを許された全ての人員と資材を用いて防御をあたう限り強固とするため全く惜しまなかったと確信して言い切ることができた。こうして、スミス少尉は昼食と大きなジョッキ一杯のビールを飲みつつそれだけのことはしたと思うのであった。



第三段(PHASE III)

食事が終わろうかというとき、兵が電話に呼ばれていると知らせてきた。電話に出てみると相手は師団本部(the Divisional Headquarters)の参謀将校であることが分かった。参謀は少尉に航空偵察(air reconnaissance)の報告では北からのフィドルトンに繋がる道に敵装甲戦闘車両のかなりの動きがあると伝えてくれた。敵装甲車がフィドルトンをおよそ20分前に通過し、山高帽へ向かっている模様とのことだ。最後に不明数の敵装甲車が午前中に木苺川東岸にいることが判明しており、川西岸の機甲部隊と無線通信(wireless communication)で繋がっているとのことであった。

スミス少尉は各班長に警報を送り、教会尖塔の見張り場(look-out post)へと急いだ。

当直の見張りは報告することは何もなかった。少尉は見張りを倍に増やすのが良いと考えた。一人にフィドルトン道を、もう一人に他の道路三本を見張らせるのだ。彼らは長く待つ必要は無かった。少尉が来てからおよそ10分後、見張りの一人が疑いなく装甲車班がフィドルトンの方角から前進してくるのを指さした。二台が残りの800ヤードばかり前を走っている。少尉が時計をみると、見張りが警報を鳴らした。大いなる戦いが始まったのは14時30分のことであった。

先頭二台は橋から500ヤードばかりの曲がり角まで来て、そこで停まった。一分か二分して、そのうちの一台が既に停まっていた後ろ二台のところへと戻った。しばらく置いて後ろの三台全てが曲がり角まで来た。どうやらそこでもう一度話し合っているようで、その後数分間動きは無かった。

突然、先頭二台が角を回り機銃を撃ちながらかなりの速さで前進してきた。同時に後ろ二台が停車したままで射撃し始めた。教会塔からも路上阻塞とその直後を集中的に撃っているのが分かった。路上にはっきりと弾着の衝撃がみえた。先頭車が阻塞からおよそ100ヤードのところまで来たとき守備側が活動の兆しをはじめてみせた。いきなり、対戦車砲の発砲音が機銃の連射音に重なって聞こえた。第一弾はあきらかに逸れ、第二弾も外れたが、第三弾は先頭車が引き返そうとしているところをとらえ致命的損害を与えたようだった。車は停まって動かなくなり、次弾で機銃も沈黙した。二台目は素早く射界から抜け出すと僚車のところへ無事戻り、三台全部はたちどころに急いで後退していった。

"第一ラウンドは疑いようも無く我々の勝ちだな"とスミス少尉は言い、これが第一ラウンドにすぎず最終ラウンドでないとの感を強くもっていた。彼の推測はさほどせずして正しいことが明らかとなった。

最初の敵装甲車が見えなくなるかというとき、別のがケルンの方向から来た。道は高い生垣が連なるため何台か数えるのはごく簡単という訳ではなかったが、少尉は一個班と見積もった。先頭車は路上阻塞が完全に不意打ちだったようだった、というのも阻塞は角を回って初めて眼に入るからである。少尉にとってがっかりしたことには、敵先頭車はなんとか阻塞にぶつかるのを避け、地雷の手前で停まった。いらただしく先頭車は機銃を撃ち放しながら角をバックして回っていった。

"くそっ!" スミス少尉は叫んだ。"対戦車砲がもう一門あれば、あれも仕留められたんだが"

スミス少尉はロブスターブルグの参謀将校が報告を聞きたいだろうと思った、有利におえた遭遇を報告するのは少尉にしても嫌ではなかった。

参謀将校は知らせを聞いて喜び、さらなる航空報告で前の内容が確認され、敵機甲部隊の少なくとも一部がフィドルトン内部および周辺に篭っているとの情報を伝えてくれた。様々な情報源を総合したところでは敵は山高帽にて渡る準備をしている。スミス少尉は師団長(the Divisional Commander)が敵が渡河をせんと本気で押してきたら攻撃させるため、トラクター牽引の砲兵旅団(tractor-drawn brigade of artillery)に装甲車一個中隊の護衛をつけて山高帽の西の高地に送ろうとしていると聞いてほっとした。だが、この旅団は丁度陸揚げを終えたばかりで少なくとも今後三時間内に配置に付くことはできない。

少尉はかくも強力なる支援を受けられると聞いて喜んだものの、彼がこれまで経験してきたよりもさらに過酷な試練にあうかもと気づいた。けれども、彼はここまでは成功しており最善を望むほかない。

郵便局からでると、バス小隊軍曹にあった。軍曹は橋に行っていたことと損害は無かったことを報告した。敵装甲車の乗員は二名が戦死、さらに一名が負傷していたのを捕らえ宿屋に連行しているところであった。

待つほかすることは無い様に思われた、そこでスミス少尉は教会塔へ戻った、かれはここを戦闘本部と決めていた。一時間ほど何事も無く過ぎた。そして15時30分ごろ、西の方遠くから砲声が聞こえた。そしてほどなくして木苺川西岸の湿地に敵弾が鈍い地響きとともに着弾とした。

"大外れだな!"、少尉は感情もあらわに叫んだ。

しかしながら、次射はもっと狙いが良かった。山高帽橋から2,300ヤードほど下流の木立の中に着弾したのである。第三射と第四射は村の家屋に命中した。

"小さな榴弾砲(howitzer)ですね"、バス軍曹が述べた。彼も小隊長(platoon commander)とともに教会塔にいた。"すぐにもっとがんがん来るでしょう、上官殿"

まさに予言であった! 軍曹が言ったかと思うと橋の手前の交差点のあたりで半ダースばかりの砲弾が炸裂した。うち一発か二発は家並みに落ちている。 ほどなく敵の砲撃が橋のごくそばを探っているのが明らかとなった。とりわけ橋に面している家並みと上流側の一帯である。

"見てください、上官殿!"、見張りの一人が呼んだ、"道路をやってくるあの奇妙な見かけのやつを見てください。豆戦車(little tank)に違いありません"

その通り、半ダースばかりの背の低い車両がフィドルトン道を進んでいた。スミス少尉は双眼鏡(glasses)で注意深く眺めた。

"そうだな、まさに軽戦車だ。あきらかに砲撃の援護下で射撃してくる気だろう"

この見通しは外れたことがすぐにはっきりした。道路の曲がりまで近づくと、敵軽戦車は視界から消えうせ、しかし、見えなかったもののすぐに聞こえてきた。橋とその近傍は濃密なる機銃射撃とさらに激しさをました砲撃の的となった。

"さらに装甲車です、上官殿" 見張りが告げた。"二台すごい勢いで走ってきます"

敵装甲車二台がすぐに角を曲がり、橋にまっすぐ来た。先の戦闘で損傷を受けた敵装甲車はいまだに阻塞から50ヤードほど向こう路上にあり、道路幅半分を塞いでいた。

この時点まで守備側には何の活動の兆しも無かった。しかしすぐに全部が死に絶えたわけでないことが分かった。対戦車砲が再び砲声をあげ、そして痛烈な一撃をあたえた。敵装甲車がもう一台、その無鉄砲さの報いを受けた。残念なことに僚車は運が尽きておらず、逃げおおせた。

山高帽橋を押し渡ろうとするこの失敗した試みと同時に、敵装甲車一個班が再びケルン阻塞に近づいてきた、しかし多数の弾薬を撃つほかは何もせずにやがて引き上げた。

"どうしたのかね、古臭いもじゃもじゃ顔よ"、スミス少尉は一人ごちた。"こんなに楽してアウグストゥス・シドニー・スミスを押しのけることはできんぞ。あんたも、何かうまい手をかんがえてこいや"

敵はやがて何かもっと良い手を考えるべきと決したのか、はたまたこの企てをあきらめたのか、突然活動が止んだ。

"バス軍曹"

"はい、上官殿"

"対岸の連中を君が率いていたら、次はどうする?"

"申し訳ありません、分かりませぬ、上官殿。戦車とかそういったことは馴染みがないのです。私は常に一歩兵であり、これからもそうあれかしと願っております。そうですね、もし二個小隊ほど手元にあったら、あの屑鉄どもよか良い働きをしてみせるのですが"

"では、軍曹、二個小隊ほどあったとして、それでどうする?"

"どーするかですって、上官殿? 橋にまっすぐ行かないのは確実ですね。歩兵は道路に縛られません。すぐに沼地を抜ける道をみつけるでしょう。そして工兵少数と筏でさほどかからずに川を渡ります"

"敵に歩兵が居るかな?" スミスは訪ねた。"居たら物事がややこしくなるな。それどころか、事態がひどく不愉快なことになるだろう。こちらの防御は装甲車やその類を締め出すためのものであって、予備は一個班しかない。敵が歩兵やその他の類を使ってきたら大して足しにはならないな"

"私の見たところでは、上官殿。これは我々には少々荷が重いようです。増援(reinforcement)を請うべきです。進言してよろしいでしょうか、上官殿、大隊に乗ってきたバス二両を送って大佐に兵を一杯に乗せてこちらに寄越すように願っては? 敵は歩兵を使う兆しをみせていませんので、手元に使えるのが無いのだと思います、歩兵を連れてくるまでしばらく時間がかかるでしょう"

スミス少尉はこの意見が素晴らしいと思った。今はほぼ午後4時近くで増援があれば午後6時には着くだろう。あと一個小隊あればかなり安心できる。少尉は帳面を取り出して状況を副官宛に記し、懸念と小隊一個の増援を説明した。これをオートバイ伝令に持たせて、副官にバス二両が可能な限りの速さで続いて来ると知らせるように指示して送り出した。

#以下 第四段と結章を最後まで
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都市地形における軽騎兵小隊の運用
出典 armor
URL  Find Articleより 
日時 2005年7月・8月号
原題 Light cavalry platoon-armor team integration procedures
筆者 Jonathan Silk中尉

Iron Saber作戦において、第2機甲騎兵連隊第3大隊K中隊第4小隊はAl Kufa、An Najaf、Diwaniyahにおける2004年4月から7月の作戦中、第37機甲連隊第2大隊(2-37 Armor)に配された。機甲/騎兵中隊戦闘団(armor/cavalry company team)は2-37 ArmorのB中隊、本部中隊、第2機甲騎兵連隊第3大隊K中隊の3個小隊から編成されて、団として戦闘した。

今日の戦場に置いては、軽騎兵(light cavalry)や機甲部隊に配置された小隊長は都市環境において乗車および降車での戦闘に備えねばならない。Iron Saber作戦においては、多数の偵察任務および敵との交戦において筆者の偵察小隊であるK中隊第4小隊(Killer 4)が手順を作成し用いた。これらの手順は機甲/騎兵中隊戦闘団やガントラックを運用する機甲中隊にも有用であり、都市戦闘における任務編成、枢要地形の奪取、都市地形におけるM203擲弾を効果的に用いること、都市戦闘における機甲との調整、敵陣地の戦車への伝え方、降車監視所などが内容である。


都市戦闘での騎兵偵察小隊の編成

優れた任務編成は小隊がいかなる状況にも対応しうる柔軟性をもたらすゆえ重要である。我々の経験により明らかとなったのは都市環境において降車能力を伴わぬ乗車機動は効果がないということであった。小隊に割り当てられたガントラック全てを降車部隊無しに用いても、都市環境における作戦遂行に必要とされる柔軟性を小隊長は得ることが出来ない。

戦闘経験では、ガントラック4両からなる乗車パトロールは都市偵察作戦を遂行できる。仮に小隊が使えるガントラックがそれよりも多い場合、その乗員を用いて降車班を作りガントラック4両に載せるべきである。ガントラック各車の警戒態勢を360度全周に増強することができる。

兵はガントラックの予備の機銃(crew served weapon)と無線を用いて降車活動を行う。小隊の降車班は2個チームからなる。軍曹が率いる3名チームと小隊上級偵察員(the platoon senior scout)が率いる4名チームである。降車チームは支配地形(dominant terrain)を奪取し、建物を掃討し、監視所を占領し、降車M240B(7.62mm機銃)チームとして活動する。

降車チームはそれぞれ背負い式無線機(man-pack radio)を持ち、小隊長の運用によってはM145スコープ付M240B機銃2丁を携行する。M240Bは、現状ではガントラックに交互搭載(cross-load)されているが用いられていないのを充てる。小隊長は降車チームにM203擲弾を降車チームの固有武器に含めるべきである。M203擲弾手は降車チームが奪取した支配地形に配置されれば、小隊陣地付近の路地や横道に遮蔽を求めて集結する敵部隊を攻撃し撃破する能力をたちどころに与えてくれる。

指揮統制目的で、小隊上級偵察員は降車班を統制し、またガントラックの小隊長車に乗るべきである。後者チームが展開する要があるときは小隊長はFBCB2(Force XXI battle command brigade and below)を用いて手早く上級偵察員に任務を与える。

小隊の各指揮官は無線を持つ。指揮官が無線をもたぬと、無線網を通じて流れる重要な情報を得られない。小隊長が降車するときは、背負い式無線機を負った兵が同行し、小隊軍曹が乗車班を統制する。


支配地形の奪取と地形の制圧(Seize a Dominant Position and Control the Terrain)

小隊が敵と接触した場合、交戦し撃破するには敵との接触を保たねばならない。都市戦闘においては敵が都市障害を用いて自らに有利に戦闘し、爾後、再配置し再度攻撃するため離脱するので接触を保つのが困難な場合がある。

接触を保つため絶えず機動する代わりに、小隊は地域の支配地形を奪取すべきである。降車チームは建物を掃討し、敵を発見、拘束できる支配陣地(dominant position)として使える建物を見つける。その間、ガントラックは小隊陣地への接近経路全てを守る(cover)。支配陣地から小隊長は都市地形を観察し小隊戦闘を指揮する(direct)。小隊長はガントラックの小隊射撃を調整し、機甲と調整し敵陣地に対する攻撃と撃破を指示し、敵に支配地形を使わせぬために屋上の敵陣地を制圧すべく降車班の機銃を展開する。


M203の都市地形における効果的な運用(Using the M203 Effectively in Urban Terrain)

今日の都市戦場に置いては、交戦規定により間接射撃支援は遅れ気味となるか禁じられることがある。都市地形を遮蔽および隠蔽として用いる敵部隊を攻撃し撃破できるM203の能力は間接射撃が使えない場合の代替として効がある。M203の40mm擲弾は付随的損害を最小限に抑える。これは敵が無辜の市民のごく近くにいる都市戦闘では重要である。我々がたちどころに学んだのは敵は小隊陣地から数百ヤードの路地や横道に集結して、地上高の射撃陣地或いは上層階の支配陣地へと機動して交戦するということである。横道や路地は都市の死角である。敵がこの地形を使えぬようにするため、我々は横道や路地にいる敵をM203で攻撃する。

小隊が支配陣地を確立するや、擲弾手は小隊の直射兵器で攻撃できぬ死角に集結している敵部隊を攻撃する。擲弾手は標定弾(marking round)を横道や路地の入り口に撃ち、その地域を監視しているガントラックや降車チームから修正を受ける。標定弾が路地に着弾したら、擲弾手は路地に打ち込み始める。40mm擲弾は路地や路地の側面で爆発し、敵を殺傷し遮蔽陣地としては使えなくする。敵は路地に留まり続けて40mm間接射撃を受け続けるか、別の陣地へ機動するかを選ばねばならない。敵が40mmの射撃を逃れて路地や横道から出ようとしたところを、その地域を射程におさめるガントラックが攻撃し撃破する。


都市戦闘における機甲との調整(Coordinating with Armor in the Urban Fight)

支配陣地から、小隊長は戦闘団指揮官(team commander)と調整し機甲が敵陣地と交戦し撃破するよう前進を要請する。小隊長は戦車に路地または横道を、或いはそれらと平行の通りを機動し同軸機銃で交戦するよう指示する。小隊のガントラックは戦車の同軸機銃を逃れて反対側から出てくる敵を攻撃し撃破する。戦車は偵察小隊が支援できないところへは機動すべきでない。戦車が敵陣地を撃破或いは敵に撤退を強いたらば、必要に応じて偵察小隊は前進し新たな陣地を占領し接触を維持し、あるいは再度接触する。


戦車に敵陣地を伝える(Marking Enemy Positions for Tanks)

都市環境において敵陣地を解明するのは難しい。さらに、敵陣地を指示して戦車に伝えることも同じく困難である。小隊が夜間あるいは視界が制約を受ける場合に敵陣地を指示するのに用いた戦技は幾つかある。夜闇時の作戦では、敵陣地を9mm拳銃の握把に付けた9mmレーザーで照射した。これは優れた方法であるが、目標をレーザー照射する兵が疲労するとレーザーが揺れ、戦車の砲手や戦車長が目標を識別するのが難しくなる。

PEQ-2レーザーはレーザー照射モードでもスポットライトモードでも目標を標定するのに優れている。PEQ-2をガントラックの銃座に据えた機銃に付けると、敵陣地をレーザー照射するに安定した台座となる。同時に複数の交戦が発生しPEQ-2で敵陣地を標定する暇がない場合は、指揮官は戦車の砲手が敵位置を識別するまでM4から曳光弾を連続して撃つ。また、指揮官は戦車の上に乗り、戦車長に敵位置を指示する備えもあるべきである。

白昼作戦(daylight operation)では、敵陣地を指示するのに曳光弾を連続して撃ったが、これは効果があった。各兵は敵陣地を標定ために曳光弾のみの弾倉或いは曳光弾と普通弾の混合弾倉を携行することを計画時に考慮すべきである。


降車監視所(Use of Dismounted Observation Posts)

戦闘経験から、敵の前進観測陣地に抗するのには降車監視所の運用が効果的である。各降車チームはガントラックに背負い式無線機、双眼鏡、GPS(地球測位システム)からなる監視所キットを積んでおく。監視所を占領する降車チームはM203とM145スコープ付M240B(7.62mm機銃)を装備する。

マフディ民兵の前進観測員(forward observer)らは携帯電話で迫撃砲陣地と連絡を取り、我が陣地に対する81mm迫や120mm迫の射撃を修正する。敵前進観測員は交戦規定を知っているようで武器を携えないため、敵対意図を判断するのが難しい。降車監視所は敵前進観測員を監視する。敵前進観測員は通常、屋上や建物入り口に位置し携帯電話で砲撃修正をしている。迫撃砲弾が着弾したときも彼らは遮蔽に隠れず開口部に出ていることから、周囲からは目立っている。小隊は監視所の兵のM203擲弾とM240B機銃、ガントラックの機銃、小隊長が調整する戦車主砲(tank cannon)により敵前進観測員を攻撃、撃破した。

降車監視所は地形の制約で適切な監視と遮蔽射撃陣地が得られない場合に極めて効果的である。ときには遮蔽として使えるのは、敵を監視し攻撃するには向いていない瓦礫の山や壁しかないこともある。このような状況では降車監視所を遮蔽陣地の前に位置させて索敵する。敵を発見したら、その情報をガントラックの車長と銃手に伝える。そしてガントラックは遮蔽背後から出て攻撃する。攻撃後、ガントラックは遮蔽陣地へと戻る。


照明使用時における小隊間の調整(Coordinate Between Platoons for Use of Illumination)

Kufaで夜闇時の作戦を遂行中、1個偵察小隊や戦車小隊以上が同時に複数の交戦に入ることが多数回発生した。夜闇時の交戦では星弾(star cluster)やパラシュート付照明弾(parachute flare)といった照明で敵陣地を照らす必要がある。この際、夜闇を遮蔽として使っている自軍のガントラックが照明弾により暴露されてしまう前に遮蔽陣地に入れる様、指揮網で調整する必要がある。指揮網で調整しない場合、照明弾の発光で友軍を敵射撃に暴露してしまうことがある。


機甲への提言(Recommendations for the Armor Community)

機甲中隊には、現在認められているよりも多くM203擲弾が必要である。合州国陸軍機甲センター(U.S> Army Armor Center)と訓練教義集団(U.S. Army Training and Doctrine Command TRADOC)は戦車乗員組あたりM203を1丁へと修正編制および装備定数表を改訂すべきである。都市環境において敵を攻撃、撃破するにはM203が大変有効である。戦闘経験の示すところによれば、戦車長と装填手はハッチからM4カービンやM16小銃で敵を有効に攻撃し撃破することができる。M203擲弾を装備した戦車乗員は必要な場所、時に40mm擲弾を放て、より大なる攻撃力を得る。RPGや小火器で攻撃しようと機動する敵地上部隊と近接交戦し側面を守るにあたってより大なる防御が得られるようになる。戦車中隊が戦車でなくガントラックを運用する場合、本質的には偵察小隊となるのでこれらの手順を用いることができる。

また、機甲小隊および騎兵小隊は現在認められているよりも多く背負い式無線機が必要である。今日の戦場では機甲や騎兵指揮官は降車して戦闘することが求められる。指揮官が降車した場合、報告し情報を受け取るには指揮網を聴取できなくてはならない。

機甲小隊および騎兵小隊は与えられた武器について徹底訓練(in-depth training)が必要である。
徹底的に訓練するにはM16/M4、M203、M240B/G、M2 12.7mm機銃の基礎技能と維持訓練が要求される。訓練弾(training ammunition)とシミュレーターを最大限に生かすことは小隊の技量向上に役立つ。複数の兵が多くの異なる武器を扱えることは小隊が戦闘をうまくこなす鍵となる。徹底的に訓練された小隊は長期間の作戦での戦績を向上させるとともに良好な乗員休息計画を可能とする。

展開中は、指揮官は小隊固有の武器について維持訓練と交差訓練(cross-training)計画を立てるべきである。前方作戦基地でも訓練は行なうことが出来るし、小隊が戦域の射撃場のローテーションの番が来たときは認証も行える。全ての兵が全ての武器について訓練を受けることが必須である。指揮官は損害を受けることを織り込むべきである。ある武器の者が負傷した場合、小隊が全固有武器について交差訓練済みであれば、直ちに訓練を受けた兵士が負傷者に取って代わることができる。


状況想定訓練演習において実効ある手順を導入する(Implementing Effective Procedures During STX Training)

陸軍訓練および評価基準集(ARTEP Army Training and Evaluation Program)17-97F-10MTP
偵察小隊訓練計画(Mission Training Plan for the Reconnaissance Platoon)第四章、
偵察小隊STX 17-97F10-3、地帯偵察(Zone Reconnaissance)の遂行(騎兵小隊)(原注1 2004年4月23日 P.4-41)による状況想定訓練演習(STX situational training exercise)においてこれらの手順を導入することができる。
図2はSTX 17-97F10-3の転載でSTXで訓練する任務を纏めた表である.(原注 STX 17-97F-10-3のp. 4-41参照)

図2 STX 17-97F-10-3における地帯偵察における戦闘訓練(騎兵偵察小隊)

ARTEP 17-97F-10-MTPの第4-12表

任務/訓練 T&EOs and TASK #

戦術運動(tactical movement)の遂行     17-3-1016.17-RECP
超越部隊側として超越(passage of lines)の遂行 17-3-1014.17-RECP
地域/地帯偵察の遂行 17-3-4010.17-RECP
接触時の行動の実施 17-3-1021.17-RECP
間接射撃に対応する訓練 17-3-DRL3.17-RECP
劣る敵(inferior force)に対する攻撃 17-3-0225.17-RECP
障害/制約の偵察(reconnoiter an obstacle/restriction) 17-3-4012.17-RECP
脅威との接触を迂回 17-3-2420.17-RECP
航空攻撃への対応 17-3-DRL5.17-RECP
偵察引継ぎ(reconnaissance handover)の実施 17-3-4025.17-RECP
編合(consolidation)、再編(reorganization)の実行 12-3-C019.17-RECP
武器整備と補給(rearm and resupply) 17-3-1030.17-RECP

図2 終わり


小隊が地帯偵察に熟達したらば、より困難な状況へと漸進することができる。図3は都市環境での地帯偵察の遂行という想定を作るために追加、或いは入れ替える任務の例である。
(原注 3 ARTEP 17-97F-10-MTPの第5章)

図3
ARTEP 17-97F-10-MTPのSTX 17-97F-10-3へ入れ替えて入れるべき任務

任務/訓練                        TASK # 

目標捕捉の遂行 17-3-4017.17-RECP
火力偵察(reconnaissance by fire)の遂行 17-3-0218.17-RECP
都市地域偵察の遂行        17-3-4015.17-RECP
監視所の設置       17-3-1039.17-RECP
建造物の捜索 17-3-1110.17-RECP
戦術運動(降車時)の遂行 07-3-1134.17-RECP
援護(overwatch)の遂行 17-3-3061.17-RECP
火力支援(suppor by fire)の遂行 17-3-3062.17-RECP

図3終わり

STXは武器を徹底的に訓練し都市偵察想定における手順を導入するのに適している。

展開を準備する指揮官は小隊固有の武器について全兵士が交差訓練を受ける様計画すべきである。訓練弾とシミュレーターを最大限に活用することで小隊の技量を向上できる。M203擲弾手は都市環境における軍事作戦演習場(military operations in urban terrain(MOUT) site)で訓練弾を用い、屋上からの路地や横道に対する攻撃を練習できる。もしMOUT演習場を使えない場合は、小隊長は通常外の射撃場(nonstandard range)を用いて同等の技量まで向上させることが可能である。小隊は小隊射撃場で昼間および夜間の交戦における目標の標定を訓練できる。班(section)あたり1両が上記の方法で目標を標定し、もう1両が目標を攻撃する。


経験に学んで戦う(Learn and Fight from Experience)

本稿での手順は軽騎兵/機甲小隊長の都市地形での戦闘作戦遂行を助けるものである。小隊事後検討(platoon after-action revies AAR)や小隊指揮ウォーゲーム可能行動(platoon leadership wargamed courses of action)の計画過程においてこれらは開発されたものである。AARやウォーゲームにより、小隊長は何がうまくいき、何がうまくいかぬかを見極め、戦闘作戦におていは実証済みの手順を用いる。


図1
騎兵偵察小隊編制(Cavalry Scout Platoon Organization)

Killer 4-1

銃手
小隊長
操縦手
降車上級偵察員
降車員


Killer 4-2

銃手
車長
操縦手
降車員
降車員
監視所キット入り袋
M145スコープ付M240B機銃


Killer 4-4

銃手
小隊軍曹
操縦手
衛生兵
降車員


Killer 4-5

銃手
車長
操縦手
降車員
降車員
監視所キット入り袋
M145スコープ付M240B機銃

図1 終わり

筆者紹介
Jonathan Silk中尉は現在、サウスカロライナ州フォートジャクソンの合州国学生分遣隊に属して、ルイジアナ州大学(Louisiana State University)で学位を目指している。A.A.(Associate of Arts 文系準学士)を中央テキサス大(Central Texas College)で取得。

機甲将校基礎課程
士官候補生学校
空挺学校
空中強襲学校
基礎下士官課程
主要指揮開発課程(Primary Leadership Development Course)
北部戦学校(冬季および夏季)(Northern Warfare School (winter and summer))で教育を受ける。

様々な指揮参謀職についており以下が含まれる。
第2機甲騎兵連隊第3大隊K中隊偵察小隊長(イラクの自由作戦)、
第2機甲騎兵連隊第3大隊K中隊対戦戦車小隊長(ルイジアナ州フォートポーク)、
ルイジアナ陸軍州兵上級顧問(ルイジアナ州Camp Cook)(senior enlisted advisor)、
第25歩兵師団第5歩兵連隊第2大隊A中隊小隊軍曹(ハワイ州スコーフィールドバラックス)
海外基地再編に関して議会の独立委員会報告書
出典 下記委員会の2005年5月時点での報告書
URL 筆者でググルこと
筆者 The Commission on Review of the Overseas Military Facility Structure of the United States,
日時 2005年5月9日
筆者 委員
発信地 不明
内容

要約から抜粋
その一方で、基地移転計画のうちには委員会が保留を表明するものもある。例えば、我々は合州国へ中欧の陸軍重戦力の大半を帰還させる意味は認めるものの、様々な理由から1個重旅団を留め置くべきであると信じる。理由には我々のNATOへの関与、コソボおよびバルカン半島のその他の地での決意を示し、東欧に計画されているローテーション部隊にまつわる今後の不確実性への保障などが含まれる。

委員会は合州国の欧州における示威が将来の世界の安定のために枢要であると提言する。
CALL IIR 2004 Dec Mosul SBCT-1
出典 pogo org
URL http://www.pogo.org/
http://pogoblog.typepad.com/pogo/2005/04/tell_us_the_tru.html#trackback
http://pogo.org/p/defense/da-050304-stryker.html
原題 
INITIAL IMPRESSIONS REPORT OPERATIONS IN MOSUL, IRAQ
筆者 Stryker Brigade Combat Team 1 3rd Brigade, 2nd Infantry
日付 2004年12月21日

備考 global security .org
にも保管されています。URLは
http://www.globalsecurity.org/military/ops/oif-lessons-learned.htm


当初所見報告書
イラク、モスルにおける作戦 
第1ストライカー旅団戦闘団、第2歩兵師団第3旅団
2004年12月21日

陸軍戦訓センター
長 Lawrence H. Saul大佐
統括編集 LonSeglie博士
軍事分析担当 David Bialas

Mike Rounds大佐と第2歩兵師団第3旅団(SBCT)の将兵に深謝する。
編者 G. N. Benefield博士
挿絵画家 Mark Osterholm(CALL)

陸軍長官はこの定期物の刊行が省庁法により要請される公務上必要であると判断した。本刊行物の印刷にあたっての資金拠出はIAWAR25-30、1985年により合州国陸軍訓練および教義集団司令官が承認した。この刊行物の情報は世界テロ戦争に従事する部隊にとって非常な価値があると判断されているが、陸軍の方針或いは教義としては必ずしも解釈すべきでない。本刊行物の情報は防衛目的に限って用いられるとの理解により供されており、合州国が供する他の情報と同様の保安措置が講じられるべきであり、陸軍戦訓センターの書面による同意無くして他の国や国際組織に開かされるべきでない。

公務使用に限定

目次

序論

要旨

第1章 指揮統制
A 旅団の主要なデジタル指揮統制システム
B 陸軍戦闘指揮システム(Army Battle Command Systems ABCS)
C 対空および航空空間統制班
D 友軍位置表示装置 Blue Force Tracker(BFT)
E 初期型Ku-バンド衛星システム(Initila Ku-band Satellite System IKSS)
F 戦術指揮所通信

第2章 デジタルシステム
A ネットワーク運用センター車両
B 機密機動抗妨害高信頼性戦術端末 Secure Mobile Anti-Jamming Reliable Tactical Terminal(SMART-T)
C 陸軍戦闘指揮システムの配備
D 戦場状況監視
E 近同期デジタル無線 Near Term Digital Radio(NTDR)
F 戦務支援指揮システム Combat Service Support Command System(CSSCS)
G デジタル共通作戦図
H 通信保全暗号鍵の配布
I デジタル習熟維持訓練
J S6参謀の訓練
K 各操作員の技量と習熟度
L ハードウェアの整備と後送手続き
M フォース21旅団以下戦闘指揮システムの整備

第3章 非致死性作戦
A 非致死性目標選定、攻勢情報作戦
B 成功度測定指標の設定 情報作戦指標
C 目標に対する非致死性効果の配分、情報作戦指標
D 非致死性効果の集中、情報作戦指標
E 通訳の効果
F 通訳支援
G 拘束者作戦
H 拘束施設
I 支援作戦および安定作戦における契約取り扱い訓練
J 契約
K 受け入れ国家重要施設の警護
L 家族グループ
M 戦闘におけるメディア支援
N 戦場における現地国民の使用
O 戦場における契約業者に対する責任
P 従軍契約業者
Q 契約業者と兵の関係
R 契約業者扱いの第Ⅸ類
S 契約業者への業務命令と第Ⅸ類の統合
T 補給支援班管理
U 補給支援班の位置

第4章 ストライカー歩兵輸送車の成績と生残性
A 鳥篭装甲の成績
B ストライカーの鳥篭装甲
C 後部ランプと鳥篭装甲
D 鳥篭装甲による重量増加
E 鳥篭装甲の受領と取り付け
F ストライカーの装甲の改良
G タイヤ圧管理システム(Central Tire Inflation System CTIS)
H 車長ヘッドアップディスプレイ(NOMAD)
I 操縦手視界装置
J フォース21旅団以下戦闘指揮システム(Force XXI Battle Command Brigade and Below FBCB2)
K FBCB2分隊長向け表示ディスプレイ
L ストライカーに搭乗中の状況認識
M 遠隔武器システム(Remote Weapon System)の安定化
N 夜間作戦における遠隔武器システム
O 遠隔武器システムの成績
P 遠隔武器システムの昼間サイトの機能
Q ストライカーにおける射術の基準
R パワーパックの交換
S ストライカーの回収と輸送における必要事項
T ストライカー偵察車の設計上の欠陥
U 燃料ポンプの成績
V ストライカーのJ-boxの位置取り
W ストライカーの兵員室内のスピーカーの配置
X 操縦手として配された新兵の訓練
Y ストライカー操縦手の訓練と技量維持
Z ストライカーの兵員用シートベルトの使用

第5章 情報
A 指揮官の重点情報要求
B 直接支援(Direct Support DS)で配された戦術人間情報チーム(Tacitical HUMINT Teams THT)
C 教義外任務に用いられたTHT
D 修正編制および装備表に則らない編成をされたTHT
E 偵察捜索目標捕捉中隊の小隊における特技97Bの新兵
F 戦術人間情報チームの報告書
G 拘束者尋問報告書
H 展開前対抗敵訓練
I S2参謀に要する経験と経歴
J S2課員
K S2副参謀による高価値目標指定
L パトロール報告と行動後報告書
M 文化の差異

第6章 作戦
A 砲兵大隊による兵力の節用作戦
B 対砲撃作戦
C 安定作戦及び支援作戦
D 対迫撃砲作戦
E 効果の統合
F 包囲訪問における戦術、戦技、手順
G 仕掛け爆弾に対する戦術、戦技、手順
H 都市環境における戦術、戦技、手順と市販カメラ
I 都市作戦における戦術、戦技、手順と内部包囲、外部包囲
J 文民の移動に対する脅威
K 文民車両の移動と交通
L 車列護衛作戦
M 固定翼機による近接航空支援
N 近接航空支援の正確性と効果
O 近接航空支援の調整と統制
P 現地国籍契約業者を使用した補給活動
Q 第Ⅲ類(P)の補給
R 補給におけるFBCB2の使用
S 広大な作戦域における輸送能力
T 旅団支援大隊資産の展開及び運用
V 任務使用不可となった装置の所在追跡
W 地上移動の保全
X 現地国籍者の車列
Y 前方作戦基地への補給活動



序論

本当初所見報告書はイラクの自由作戦における第2歩兵師団第3旅団ストライカー旅団戦闘団(SBCT)の戦闘展開により得られた知見、所見、戦術、戦技、手順を供するものである。2004年9月22日から10月19日までの間、陸軍戦訓センターはイラクのモスルに9名からなる収集分析班を編成、訓練の上で展開した。班の編成は、諸兵科連合センターや合州国陸軍歩兵学校や情報作戦部門や戦闘指揮訓練センターからの当該事項専門家や第172歩兵旅団(SBCT-3)からであった。CALL(陸軍戦訓センター center for army lessons learned)は部隊に余計な目を寛容にも受け入れたばかりか、収集活動を支援してくれた第3旅団の士官、下士官(noncommissiond officers NCOs)、兵らに感謝する。情報の入手やその他の支援はかけがえのないものであり大いに感謝するものである。CALLはこれまで陸軍の変革において部隊のデジタル化につき、1997年の最初の陸軍戦闘実験、2000年の統合緊急事態軍先進戦闘実験、2001年の師団頂点演習Ⅰ、2002年の師団頂点演習Ⅱ、2002年の千年紀挑戦(MC02)、SBCT-1のアローヘッドライトニング、2003年の運用演習、04-05ランサーストームこと統合即応訓練センターにおける演習、SBCT-2の任務事前予行演習、そしてもっとも最近ではイラクのサマラにおける第2歩兵師団第3旅団の作戦において所見を収集し戦訓を作成してきた。本報告書は陸軍の変革について9番目にあたり、新たな知見、所見、戦術戦技手順をおさめている。
CALLは任務を遂行するにあたって、観察、インタビュー、事後検討会合へ出席、洗い出し、事後検討報告書とノートによった。これらの収集活動により、無数の知見、所見、戦術戦技手順が把握されて分析されCALLのデータベースに分類された。またCALLは旅団が本報告書を検討しさらによいものとなるよう貢献してくれたことにつき感謝する。CALLは本当初所見報告書やその他の報告書や情報中の所見についてはCALLの立ち入り制限データベースを利用することを勧める。情報を請求するにはCALLにhttp://call.army.mil.でアクセスすること。CALLのメインページにてCALL製作物の請求を選択すること。



要旨

この当初所見報告書はイラクのモスルにおける第2歩兵師団第Ⅲ旅団のイラクの自由作戦での作戦展開で得られた知見、所見、戦術戦技手順のうち主要なものの要約であり、イラクのサマラにある前方作戦基地PACESETTERにおける第3旅団のアローヘッドブリザード作戦における当初所見報告書に続くものである。本報告書の内容は実際の運用を記述しており、中には刊行されている編制および運用構想計画とはあいいれない部分もある。所見と提言は全て指揮官、兵、契約業者らのインタビューによるものである。所見の多くは大隊以下の階梯のものであり、中には互いに矛盾する情報や見解もあるが、読者におかれては問題を評価したたうえでありうる解釈を思い描くのが良いだろう。CALLの任務は収集分析班を編成し、訓練し展開させて、第2歩兵師団第3旅団の作戦展開から主要な知見、所見、戦術戦技手順を収集することにある。インタビュー、任務説明会合、目標指定会合に出席、事後検討報告文書から情報を収集した。収集した情報はCALLのデータベースや刊行物におさめられており、今後のSBCT(ストライカー旅団戦闘団)や関係する陸軍機関へと配布される。CALLでは所見、所見説明、知見と戦訓、教義編制訓練資材指導人員施設(doctrine, organization, training, materiel, leadership, personnel and facilities DOTMLPF)に関する影響と提言、およびTTPについて以下の章立てに編纂した。
第1章 指揮統制
第2章 デジタルシステム
第3章 非致死性作戦
第4章 ストライカー歩兵輸送車の成績と生残性
第5章 情報
第6章 作戦



主要な知見と所見の要約


イラクのモスルに到着後、第2歩兵師団第3旅団は第101空挺師団(空中強襲)(the 101st Airborne Division (ABN DIV) Assault(AASLT))からその場交替、権限委譲を受け、安定作戦および支援作戦へと移行した。旅団が師団を引き継いだ結果、旅団の担任地域(area of responsibility AOR)は38000平方キロメートルを超えた。旅団のうち1個歩兵大隊が召し上げられたことと広大な担任地域がゆえ、旅団は指揮統制と支援に著しい問題を抱えることとなった。さらには小部隊指揮官の責任の増大と作戦の分散遂行により指揮統制の問題は膨らんだ。旅団の広大な担任地域という問題は以下の章における所見の多くにおいてその背景として度々登場する。
 資質によってか訓練によってか、訓練演習や実際の作戦を観察するにあたっては、軍事指揮官は
うまくいっていることは承知しながらも、改善を必要とすることに集中する傾向にあり、そうすることで部隊が戦闘準備を向上させ、所見と適切な戦術戦技手順を伝えられるようにする。長所もみるように助言はされるのだが、CALLのCAAT(収集及び分析班)の知見および所見の大半は要改善点の範疇に入るものである。(部隊は多くの点でよくやっているのだが。)以下は教義編制訓練資材指導教育人員施設に分類しての主要な知見、所見、戦術戦技手順である。これらの主な所見と所見理由、知見、戦訓と提言については各章にて詳述されている。



教義:

情報
安定作戦における指揮官重点情報要求(commander's Priority Intelligence Requirements PIR)はようやく部分的に満たせたに過ぎなかったことが多かった。恒常的なPIRとその他の現行作戦に関する情報要求は適切だったが、非常にかけ離れた内容であった。安定作戦および支援作戦においては短期と長期のPIRが並存することを教義で認めるべきである。

情報
前方作戦基地に勤める従業員の選別作業に旅団の人間情報資産の大きな割合が費やされた。契約業者、現地国、及び又は戦域支援との編合が旅団には従業員選別の支援に必要であった。旅団の限りある人間情報資産への負担を和らげるため、前方作戦基地従業員選別作業は教義上で軍団階梯の任務とすることを提言する。


編制:

作戦
旅団支援大隊(the Brigade Support Battalion)は旅団に遠征支援を良く供したが、38000平方㌔にわたる旅団担任地域を維持する能力は持っておらず、また戦域で長期間に渡り旅団を維持するだけの装備と人員も有していない。1個軍団支援大隊(Corps Support Battalion)が旅団担任地域において従来の地域支援を行い、また支援軍団部隊もいたが、SBCT(ストライカー旅団戦闘団)に専心しての輸送支援は行わなかった。インタビューしたBSBの補給科の提言するところでは、教義よりも広大な担任地域において作戦する場合、戦域内での期間が6ヶ月を超過する場合にはSBCTを支援するため軍団支援大隊から専任のストライカー支援集団(Stryker Support Group)を作るべきである。


非致死性作戦と情報
旅団に対する通訳(interpreter)と話者支援(linguist support)は適切でなかった。多くの現地通訳が自身や家族に対する反イラク勢力(Anti-Iraqi Forces AIF)の脅迫により辞めた。通訳が生き延びて勤め続けるようにするのは旅団にとって大きな問題であった。通訳の人数に限りがあったので旅団は任務の必要に応じて様々な機能規律分野(例えば、民政、情報、心理作戦など)にわたって通訳を様々な部隊間や担任地域内でで動かさなければならかった。話者選別過程にも限界があり、時として心理作戦や民政班支援といった重要なところに選別を経ていない話者を用いざるをえないことがあった。ときには収集が使える話者の数と機密取り扱い資格(原語はclearances levels)により制約されることもあった。陸軍行動部隊には第2レベル契約業者支援を与えること、契約通訳が部隊が撤収するまで留まり続けること、戦域に展開する通訳には国家-戦域(例えばINSCOM army
intelligence and security command 陸軍情報保安集団による)対情報が選別支援を行うこと、陸軍省は配属の心理作戦班に最低1名の第2レベル話者が確実にいるようにすることを提言する。


情報
旅団の戦術人間情報チームは広大な担任地域を支援するため任務編成された。装備及び編制修正表では旅団固有のTHT(Tactical HUMINT Teams)は5つである。担任地域の規模がゆえ、旅団ではRSTA大隊(Reconnaissance, Surveillance,and Target Acquisition squadron)内の職業特技97Bからさらに4個のTHTを編成した。固有の5つとこれらの新たに編成されたチームとの間で人員を再配分して装備及び編制修正表とは異なる97Eと97Bが混合したチームとした。またこれとは別に戦域階梯THTが4個、旅団へ直接支援として配属(assign)され、さらに別に4個のTHTが旅団担任地域に旅団への支援外で配置(assign)されていた。旅団に配属された戦域階梯直接支援THTにはS2副参謀(S2X)を通じて旅団統制下にあるものもあったが、隷下(subordinate)大隊への直接支援に配されるものもあった。隷下大隊毎には総じて少なくとも2個のTHTが直接支援で配置(assign)された。大隊へ直接支援するTHTは大隊支隊(battalion task-force)から収集の重点を受け取った。旅団の直接支援統制下にあるTHTはS2Xを通じてS2から収集の重点を受け取った。旅団に対して全般支援(General Support)にある戦域階梯THTは収集の重点を戦域J2Xから受け取った。35D軍事情報士官へのTRADOCの諸学校での人間情報任務管理訓練を増加すること、チーム資産を任務編成するにあたり指揮官が柔軟に行えるよう97Eと97Bとの間での交差訓練(cross training)を増加することを提言する。


訓練:
非致死性
旅団の受けついた担任地域では、小部隊指揮官、とりわけ中隊長の重要性が増した。多くの場合、現場の中隊長がイラク人の心の内では連合の声となった。それゆえ、旅団長の情報作戦計画により対応できるように、CA(civil affairs、民政)(基盤事業契約、不必要な損害への補償、伝単頒布、拡声器放送などなど)をどう行うかの訓練が中隊長には必要である。これは中隊長が契約過程において承認権限を白紙委任されるべきであるということでは全く無い。そうではなく中隊長が訓練を受けることで情報作戦全体において非致死性効果が増大することに繋がるということである。


非致死性
大隊長と副大隊長(executive officer XO)は制度的訓練抜きで、資源分配、契約統括、公共事業監督をするはめになった。インタビューを受けた大隊長の一人は文字通り一から新編されたイラク国家警備隊大隊の兵舎を建設しOverseas Humanitarian Disaster Assistance Civic Aid(OHDACA)(海外人道災害援助公共援助)とCommanders Emergency Response Program(指揮官緊急対応計画)の拠出で300万ドル超を扱った。指揮官と副指揮官は彼らが責任を持つこととなるOHDACAやCERPといった様々な資金や契約の扱いの訓練を受けるべきである。指揮官課程にこの訓練を入れることを提言する。


作戦
広大な担任地域がゆえ、旅団では迫撃砲小隊や砲兵中隊といった部隊を任務編成して、教義外の兵力節用任務、例えば仕掛け爆弾掃討(Improvised Explosive Devices sweep)や、車列護衛(convoy escort)、包囲捜索強襲(cordon and search raid)などに用いた。原屯地(home station)や展開前訓練や任務事前予行演習(Mission Rehearsal Exercise)では隷下部隊に教義外任務/状況を与えていない。戦闘訓練センターで教義外訓練を行うよう提言する。なぜならばCTC(Combat Training Center)はこの必要に対処し、戦域で隷下部隊が面する任務に備える上で抜きん出て最良かつ最も現実的な手段であるからである。


ストライカー歩兵輸送車(Stryker Infantry Carrier Vehicle)
鳥篭装甲(slat armor)によりストライカーの全周長と重量が著しく増大しストライカーの動作が変化した。操縦手は戦域で鳥篭装甲が取り付けられるまで、鳥篭装甲を取り付けた状態での操縦訓練を受けていなかった。原屯地で操縦手の訓練のため一定数のストライカーに鳥篭装甲を取り付けることと都市環境で訓練することを提言する。


デジタルシステム
S6要員の多くは旅団が用いるデジタル装置について特に訓練を受けてはいなかったが、士官も兵もこの欠陥にも関わらず賞賛すべき腕前をみせた。旅団内でMTOE(装備及び編制修正表)にある通信システムについて正規の教育訓練を開発することを提言する。可能な行動としては合州国空軍のJob book modelを採用することである。それぞれの技能別に掌砲手(master gunner)が所有者がその技能を持つことを署名で証するのである。FBCB2(Force XXI Battle Command Brigade, Battalion and Below)やManeuver Control System-Light(MCS-L)(機動統制システム-軽)といった分野で部隊は教官を育成することで教官育成技能(train-the-trainer skill)を維持する必要がある。


情報
戦闘訓練センターの対抗敵部隊(the Opposing Force OPFOR)は良く訓練され、非常に有能で武器の扱いが精確であるとされる。が、OPFORはイラクにおける一連の脅威とは一致していない。統合即応訓練センターにおける認証演習/作戦演習では一次元的なOPFORが扱われている。信号情報(the Signal Intelligence SIGINT)環境は主としてFM通信を戦術統制にのみ用いた伝統的な脅威に基づいている(イラクでは通信方法として携帯電話が非常に用いられている。)SIGINTの基本線は戦術統制情報のみでなく関係や接触を示す実際の通信を反映すべきである。OPFORは内乱者の戦術をまねるべきである。OPFORは4から5のそれぞれ動機と影響力を持つ内乱者集団となるべきである。OPFORを撃破するTTP(戦術戦技手順)は見直される必要がある。例えば、迫撃砲の隠匿場所を発見しても迫撃砲攻撃の減少に繋がらないことはありえる。が、目標と距離を決定する偵察細胞を拘束すること、迫撃砲の操作を訓練する細胞を拘束することで攻撃が減少することはある。部隊は固有でない資産、例えば民政や心理作戦チームと訓練する十分な機会がなく、THT(戦術人間情報チーム)は捜索攻撃作戦を支援するのに必要な行動を起こせる情報を供するためにHUMINT(人間情報)網を育成するための時間が十分でない。加えて、MRE(任務事前予行演習)は戦域での交戦規定(the Rule Of Engagement ROE)を用いるべきであり、そうすることで展開部隊がその他の非致死性や致死性手段を開発してOPFORと交戦できるようにすべきである。

注記:旅団のCTC(戦闘訓練センター)演習はMRE(任務事前予行演習)でなく認証演習/作戦演習(Certification Exercise/Operational Exercise)であり、最初のSBCTが配備されるにつきSBCT編制の作戦効力と作戦適合性を確証し陸軍の訓練および資材資源の制約内でSBCTのあらゆる面における能力を評価するものであった。議会の求めたOE(作戦演習)にはSBCTのJRTCでのCERTEXに先立つ展開演習と国家訓練センターでのFTX(2003年3月-4月)が含まれる。本草稿の要旨中の所見および意見はJRTCでは教義外の訓練、交戦訓練、そしてあるいは包囲及び捜索状況訓練場(cordon and search STX lanes STX=situational training exercise)を行っていないという意味ではない。
当初所見報告書では後続の部隊、兵らそして我々陸軍全体の即応と訓練に資する所見/知見/戦訓/TTP(戦術戦技手順)/DOTMLPF(教義編制訓練資材指揮人員施設)への提言に焦点を置いている。今後の展開前訓練では戦域で直面する任務に隷下部隊がより準備できるよう教義外訓練を付け加えるべきであり、展開部隊が戦域で用いることになろうROE(交戦規定)により訓練を近づけることでOPFORと交戦する非致死性や致死性手段の開発を増進させるべきである。CTCはこの必要に対するに抜きん出て最も優れ最も現実的な場であるにせよ、どこで部隊が訓練を追加されるかは問題ではない。


資材:
指揮統制
旅団では陸軍航空指揮統制(Army airspace command and control A2C2)を教義にそった航空統制手段と戦術無線で行った。旅団はSentinel radarの使用を要請したが却下された。旅団はこれを緩和すべく航空交通の監視に自軍位置追跡表示装置(Blue Force Tracker BFT)を用いた。今後展開するSBCTはSentinel radarを持つか、衛星自動追跡-陸軍(Satellite Automatic Tracking Army SAT A)か衛星自動追跡-統合(Satellite Automatic Tracking Joint)への連結能力を持つことでA2C2(陸軍航空指揮統制)のためデジタル航空共通作戦図を受け維持できるようにすべきと提言する。


ストライカー歩兵輸送車両
ストライカーの搭乗員の報告によると鳥篭装甲は成功裡にHEAT弾RPGに耐えたとのことである。対人RPG(Anti-personnel(AP) RPG)は鳥篭装甲では食い止められず弾片が鳥篭を抜けて飛翔し続け、露出した人員に命中した。対戦車RPG(Anti-tank (AT) RPG)は鳥篭装甲に貫通攻撃が直撃しない限り食い止められなかった。脱出ハッチとウィンチ周りでは鳥篭装甲を小改良する必要がある。

ストライカー歩兵輸送車
中央タイヤ圧制御装置(the Central Tire Inflation System CTIS)は80PSI(平方インチあたりポンド)、定められた圧力のみを保つ。けれども鳥篭装甲により、タイヤ圧は95PSIに保つ必要があり、よって兵がタイヤ圧を保たねばならなくなった。気温の変化と運用によってタイヤ圧は75PSIから105PSIまで変化する。乗員は95PSIを保つために一日3回以上タイヤ圧を調べねばならなかったストライカー計画統括者(the Program Manager-Stryker PM-Stryker)もCTISの問題は承知している。


ストライカー歩兵輸送車
非常に高い気温では、ストライカー装甲車内の人員と装備のため空調が必要である。コンピュータは遅くなり華氏120度で過熱する。ストライカー装甲車の空調は承認され拠出待ちである。


ストライカー歩兵輸送車
遠隔武器システム(Remote Weapon System RWS)は兵器および視界装置の安定化とレーザー照射能力が必要である。RWSの改良はストライカー ブロックⅡ性能向上で計画されており、SBCT-5とSBCT-6に配備され、SBCT-1からSBCT-4へも装備されることになっている。


デジタルシステム
向上位置測位報告システム(the Enhanced Position Location and Reporting System EPLRS)とFBCB2は旅団に最上の状況認識をもたらした。EPLRSの通信網制御基地局(net control station)を戦術作戦センターと送信機器から離すことでより鮮明な画像が得られるようになった。


指揮統制とデジタルシステム
初期KUバンド衛星システム(the Initial KU band Satellite System IKSS)は旅団で用いられたうちで最も良い指揮所通信手段であり、旅団戦術指揮所に組み込んで用いる別のIKSSとともにMTOE(装備および編制修正表)に入れられるべきである。接続をより早くするよう各端末にはイリジウム衛星携帯電話も配備することを提言する。機密インターネットプロトコルルーターネット(the Secure Internet Protocl Router Network SIPRNET)と非機密インターネットプロトコルルーターネット(NIPRNET)双方で暗号化するための先進暗号化システム(Advanced Encryption System)か、非機密インターネットプロトコルルーターネットのため、戦術地域ネットワーク暗号技術者(tactical local area network encryption technician)の追加が必要である。


(#訳注 以下は8月17日に下訳作業を再開したもの。これまでと訳語、口調の統一は
されていません。悪しからず)

デジタルシステム
機密機動抗妨害高信頼性戦術端末(the Secure Mobile Anti-Jamming Reliable Tactical Terminal SMART-T)は旅団の通信網基幹となった。戦域衛星管理者は、衛星通信の輻輳を避けるため、軍団より上の階梯のみならす戦域内のあらゆる衛星リンクの優先順位付けの計画を立てる必要がある。これにより、運用者が衛星通信要求処理手順を経ずにリンクを確立することにより、衛星リンクが途絶させられてしまうことを防げる。

デジタルシステム
近同期デジタル無線(tne Near Term Digital Radio NTDR)は最大限活用するべく広帯域モードで運用された。NTDRの至便性と距離は限られたものだった。統合戦術無線システム(the Joint Tactical Radio System JTRS)広域ネットワーク波形(Wideband Network Waveform WNW)を用いる統合システムとの互換性がなく、視程外通信能力もない。

デジタルシステム
戦務支援統制システム(the Combat Service Support Control System CSSCS)と全情報源分析システム(All Source Analysis System)のソフトに欠陥があり、本当の意味での陸軍戦闘指揮システム共通戦況図(Army battle command system ABCS)(common operational picture)を得るにたる機動統制システム(the Maneuver Control System)との相互運用性がない。旅団S-2は敵COPと作戦図表の作成にMCSを用いた。

運用
ある大隊では民生品(commercial off the shelf COTS)のデジタルカメラを購入し、支援の航空大隊に支給。近接目標偵察(close target reconnaissance)の際、目標地域の写真を撮影するのに用いられた。こうして撮られた画像はUAV(unmanned Aerial Vehicle)よりも詳細で、衛星画像よりも適時性があり、市街区を戦闘車両で走り抜けての(偵察)よりも秘密保持に優れる。部隊はFBCB2とFalcon Viewを用いて画像をデジタル化しUSAF(合州国空軍)に渡し、近接航空支援(close air support)の際、必要な中隊階梯にまで作戦画像が行き渡るようにした。

運用
補給品第Ⅲ類のパーツが使用者に到着するのに陸軍の補給体系では40から60日を要した。90日先までの第Ⅲ類(パーツ)の需要を予想するため、部隊では主要部品の更新につき予定外整備の履歴データを分析せねばならなかった。補給に長期の遅延があるのに対応し、備蓄割り当て表(the Assigned Stockage List ASL)(訳注 の内容)を増加する必要がある。

運用
重機動向上戦術トラック(the Heavy Expanded Mobility Tactical Truck HEMTT)レッカー車のクレーンブームでは鳥篭装甲を付けたストライカー装甲車を、接地状態に戻せない。ブームの能力を25tに引き上げる必要がある。深く埋まった鳥篭装甲付きストライカー装甲車を掘り出すためHEMTTは車両後尾に油圧鋤を付ける必要がある。

(訳注 要望箇所優先のため中略)

第4章
ストライカー装甲車の実績と生残性

章目次
論点A:鳥篭装甲の実績
論点B:ストライカー装甲車の鳥篭装甲
論点C:後部ランプと鳥篭装甲
論点D:鳥篭装甲による重量増加
論点E:鳥篭装甲の受領と取り付け
論点F:ストライカー装甲車の装甲強化
論点G:タイヤ圧中央制御システム( Central Tire Inflation System  CTIS)

(訳注 要望箇所優先のため中略)

章概観
鳥篭装甲(論点A-G) ストライカーの乗員らは鳥篭装甲はHEAT(High Explosive Anti-Tank)RPG(Rocket Propelled Grenade)弾頭を無効化したと報告している。対人弾頭と対戦車弾頭(Anti-Tank)は鳥篭を弾片が抜けて露出している人員に命中してしまし、対戦車弾頭の貫通体は多分に鳥篭装甲に直撃しないので鳥篭装甲では対処できない。鳥篭装甲により車体全周長、重量が増し、ストライカー装甲車の挙動が変化し、また、車両の安全と運用に関わる多数の問題が生じている。脱出ハッチとウィンチへの取り付きを改善するため小改造が必要である。鳥篭装甲により重量が5千ポンド増加したことで、タイヤ圧中央制御システム(CTIS)の運用にも大きな影響があった。CTISは80PSIを保つ様設計されている。が、鳥篭装甲を付けたことでタイヤ圧は95PSIで保つ必要が生じ、よって兵らはCTISを停めて手動でタイヤ圧を維持している。タイヤ圧は気温と運用次第で75から105PSIに上下する。乗員は95PSIを保つため日に3回以上タイヤ圧を検査せねばならない。ストライカー計画管理者(Program Manager for Stryker)はCTISの問題を認識している。
 旅団は展開前に中隊あたり鳥篭装甲1セットの配備を受けた。鳥篭装甲の取り付けは主としてクウェートでイラクへの推進(onward movement)に先立って行われた。事故を最小限度に抑えるためには乗員が訓練できるよう展開前に鳥篭装甲を取り付けるべきである。また、輸送体系は鳥篭装甲を取り付けた状態に対応できるようにすべきである。

(訳注 中略)


論点A:鳥篭装甲の実績
(ART 5.3.1.1 Protect Individuals and Systems Indicators)

所見:RPGによる攻撃の大多数は無効化できた。であるが、鳥篭装甲の実績は特定の型のRPG弾頭に対しては期待以下であった。

考察:兵らは鳥篭装甲はRPGによる攻撃のうち11のうち8は防げると説明されていた。実際には兵らによると鳥篭装甲はRPGによる攻撃の半数に有効だったとのことである。これまで遭遇したRPG攻撃は対人、HEAT、対戦車の3種類である。対人RPGによる攻撃は、弾頭が爆発し、車外に出ているストライカー装甲車の車長と見張り要員にとってその弾片が危険である。これは命中箇所が車両であろうと鳥篭装甲であろうと関係ない。HEAT弾頭RPGによる攻撃は、弾頭が鳥篭の間に命中した場合、鳥篭装甲が成形炸薬に影響して適切に動作するのを妨げるので無害化できる。AT弾頭による攻撃は無害化できない、多くの場合、貫徹体は鳥篭装甲に影響されないからである。ある例では、貫通体が鳥篭装甲、ストライカー装甲車の車体装甲、ケブラーの内張り、着ていたボディアーマーを貫通して車長の胸に突き立った。ある任務の際に、鳥篭装甲付きストライカー装甲車にRPG弾頭9発が命中した。車両の命中箇所はばらばらであった。乗員は軽傷のみで難を逃れ、車両は最寄の作戦基地へ検査と修理のため、自力で移動している。この攻撃で用いられたRPGは対人弾頭だったと思われる。乗員が負傷を免れたのは各人のボディアーマーと車外への露出を減らしたためである。

知見・戦訓
・伏撃においては、RPGは仕掛け爆弾(improvised explosive device)および小火器(small arms)とともに用いられる。
・鳥篭装甲はHEAT RPG弾頭による攻撃のおよそ半数に対して有効である。
・鳥篭装甲は対人 RPG弾頭を無害化できないが、兵のボディアーマーと車外への露出を最小限とすることで、多くの著しい負傷の発生を防げている。
・鳥篭装甲は対戦車 RPG弾頭には有効でない。

DOTMLPF(教義、組織、訓練、資材、指揮、人員、施設)への影響・提言
・全ストライカー装甲車に鳥篭装甲を取り付けるのを続行すべきである(資材)

論点B:ストライカー装甲車の鳥篭装甲
(ART 5.3.1.1 Protect Individuals and Systems)
所見:ストライカー装甲車の鳥篭装甲は安全上および車両の運用上様々な問題を引き起こしている。
考察:鳥篭装甲が取り付けられたことにより、多数の設計上および安全上の問題が生じた。燃料缶のノズル、牽引バーが鳥篭装甲を装着していると届かない、兵らの安全上の危険、後部ランプを下げると大きな音がし、作戦の隠密性が損なわれる(ゴム製ストッパーを付けることで騒音問題には対処できる)などである。鳥篭装甲は乾季におけるストライカーの路上および路外での取り回しには大きな影響が無いが、重量増加のため雨季の取り回しと挙動には著しい影響がある。泥はエンジン、ドライブシャフト、ディファレンシャルに過労を与えている。あるストライカー装甲車はタルアファル(Tall Afar)での任務中、泥の中で機動しようとしてドライブシャフト2本とディファレンシャルを壊している。後部ランプに取り付けられた鳥篭装甲のボルトは、通常の使用で後部ランプを上げ下げしているだけで頻繁に折損する。そして、作戦が続くうちに、また事故や転覆などにより鳥篭装甲は折れ曲がって車体の脱出ハッチを覆ったり、後部ランプに組み込まれている後部兵員用ドアを塞いだりする。車体前面の鳥篭装甲は操縦手視界装置(the Driver Vision Enhancer DVE)に熱による眩輝(heat glare)を生じさせる。DVEのセンサーが正面の鳥篭装甲の直後にあり、操縦手は明瞭な視界が得られず、安全上問題がある。ストライカー装甲車に取り付けられた鳥篭装甲は、夜間民間車両の運転手から見え難く、このため民間車両との事故が生じることがある。この問題を解決すべく、鳥篭装甲に反射板(reflector)を取り付けた。

知見・戦訓
・鳥篭装甲が取り付けられていると燃料ノズルが届かない。
・牽引バーは鳥篭装甲が取り付けられていると届かない。牽引バーを持ち接続しようとしている兵にとって鳥篭装甲は邪魔である。
・後部ランプは下ろすときに大きな音を立てる(ゴム製ストッパーの使用を勧める)。
・鳥篭装甲は路上および乾季の行動には良いのだが雨季に路外を行動すると機動上でも整備面でも大きな問題となる。泥のためエンジン、ドライブシャフト、ディファレンシャルが酷使される。
・後部ランプの鳥篭装甲のボルトは折損し鳥篭装甲は曲がり兵員ドアを塞ぐ。事故や転覆で折れ曲がると車体の脱出ハッチを塞いでしまう。
・鳥篭装甲は熱および光を反射し操縦手の視界に干渉するため、上下装置或いは改造キットが必要である。また、センサーを操縦手と同じ側に配置する必要がある。ストライカー装甲車の後部ランプに取り付けられた鳥篭装甲を留めるボルトは通常の使用で折れ曲がったり切断したりする。
・夜間には他車の運転手から鳥篭装甲は見えない。鳥篭装甲に反射板を付ける必要がある。

DOTMLPF上の影響および提言
無し
Peter C. Bayer

出典 USAWC STRATEGY RESEARCH PROJECT
原題 OPTIMIZING THE UNIT OF ACTION BASED MECHANIZED INFANTRY DIVISION
FOR HIGH INTENSITY CONFLICT
筆者 Peter C. Bayer, Jr.中佐 合州国陸軍
日時 2004年5月3日


概要
陸軍参謀総長は陸軍が、遠征に備えた統合志向戦力を目指し、有用かつ即応を保ち続けるよう一連の計画を開始した。彼が主導する主な計画のうちに、より敏捷で、攻撃力があり統合能力のある戦力を規格化旅団規模である”Unit of Action(UA)”という構想で直ちに作り上げるというものがある。CSA(the Chief of Staff)は第3歩兵師団(機械化)に対して、展開し紛争の全様相にわたって戦闘する能力を維持しつつも
2004会計年度中に現行の3個機動旅団戦闘団編制から5個の旅団規模UAに師団内で再編する任務を課した。構想では、再編されるHAは、指揮/統制/通信/コンピューター/情報/偵察/捜索(C4ISR)の増強と統合火力の使用能力を与えられ、第3歩兵師団(機械化)がイラクの自由作戦において大変成功した現行の旅団戦闘団編制と少なくとも同等の攻撃力となる。しかし、再編では新兵器が装備されるのでなく、近いうちに新たなC4ISRシステムが供されるのはかなり困難であるため、師団の戦闘力全体は変わらないままであろう。安定及び支援作戦での運用においては師団が新編制をたちどころに適応させるという見通しは十分であるが、新たに再編される機械化歩兵師団が高烈度紛争環境において成功裡に戦闘できるかは容易に明らかでない。本論文では、戦闘力の機動、火力、情報要素において分析し、UA基盤機械化歩兵師団が今後5-10年間に可能性のある高烈度戦場において成功裡に戦闘しうるかを評価する。

目次
概要
図一覧
UA基盤機械化歩兵師団の高烈度紛争への最適化
第3歩兵師団(機械化)の再編
高烈度戦場における脅威
Ua基盤機械化歩兵師団の再編の分析ならびに評価
・機動
・火力
・情報
・諜報
・指揮統制
結論:高烈度紛争におうじる師団ならびにUAの最適化のため修正が必要である
終章:第3歩兵師団(機械化)再編について、陸軍は修正を指示
脚注
参考文献

図表一覧

図1 陸軍参謀総長の承認した師団編制
図2 現行の師団編制
図3 旅団戦闘団とUAの比較
図4 主要戦闘における砲兵と近接航空支援の比較
図5 機甲旅団UA


UA基盤機械化歩兵師団の高烈度紛争への最適化

戦闘司令官に敏捷、多用途、戦略即応し、統合や官庁間、そして同盟連合のチームに完全に統合され他の成員と調和した戦力を供することで、我々は地上支配を保ち続ける。(中略) 我々陸軍は統合ネットワークに位置付けられ、統合および遠征志向により可能となる規格化基盤かつ能力基盤の部隊編制へと進まねばならない。 陸軍参謀総長 Peter Schoomaker大将 2003年10月7日

陸軍参謀長は、陸軍が統合志向かつ遠征を念頭に置いた戦力を目指し、有用にして即応であり続けるために一連の計画を開始した。彼の主導する主な計画の中には、ますます増加している戦場可能素と統合連接性の向上(注1)により力を得た、より小型で独立して展開でき規格化旅団規模の”Unit of Action”(注2)構想により編制された戦略的により敏捷で、攻撃力があり、統合能力のある戦力を直ちに作るというものがある。より独立して展開可能な機動旅団規模の隊を作ることにより作戦要求に応じつつ、旅団規模の部隊が必要とされる度に師団を展開する必要が無くなると考えられている(注3)。より規格化された統合相互依存戦力という構想は近年刊行された統合作戦構想に位置付けられており、その構想では将来統合戦力は完全に統合され、遠征性、ネットワーク化、非集中化、適応性、意思決定の優越性の確保、攻撃力といった特徴を持つとされる(注4)。

 陸軍参謀総長は第3歩兵師団(機械化)(3rd ID(M))に2004会計年度中に現行の3個機動旅団戦闘団編制から5個もの旅団規模UA(Unit of Action)へ、紛争の全様相において展開し戦闘する能力を維持しつつ師団内で再編せよという任務を課した。構想では再編されるUAは、より向上した指揮/統制/通信/コンピューター/情報/偵察/捜索装備と統合火力の使用能力が与えられれば、現行のBCT(Brigade combat team)旅団戦闘団と少なくとも同等の攻撃力を持つことになる。BCTの戦闘力はイラクの自由作戦において第3歩兵師団(機械化)の極めて成功した戦闘に示されている。UA編制の大前提は、この新たな部隊にはこれまでの合州国の紛争、作戦において与えられてきたよりも同等かより大なる度合いで統合火力の使用能力が与えられることである(注5)。

 現行の計画では、再編される師団は新たな戦闘兵器を装備するとはされていない。またこれから数年のうちに新たなC4ISR(Command,Control, Communications, Computers, Intelligence, Reconnaissance and Surveillance)能力を供するにはかなりの困難が見込まれるから、師団およびUAの戦闘能力の総和は再編当初は変わらず、再編後の1年から5年でもわずかな向上があるのみだろう。師団が新たな編制を安定及び支援作戦においては顕著な問題なく適応できる強い根拠があるものの、再編される機械化歩兵師団或いはその独立展開するUAが高烈度紛争環境においてどの程度戦闘できるかは容易に明らかではない。本論文では戦闘力の機動、火力、情報要素(注6)を分析し、UA基盤機械化歩兵師団が今後5年から10年の高烈度戦場における戦闘において成功しうるかを評価し、高烈度環境において戦闘し勝利する能力を最大とするべく、短期的に陸軍にとって現実的に入手しうる資源及び資産に基づいて提言する。


図1 陸軍参謀総長の承認した師団編制

COA 5z Modified
(#訳注 細部読み取れず省略)



第3歩兵師団(機械化)の再編

2003年9月、陸軍参謀総長はWilliam 第3歩兵師団(機械化)師団長G. Webster少将に2004年1月より師団の再設計と再編を遂行するように指示を与えた。参謀総長の師団再編の指示は主として、スパイラル開発によりBCT(旅団戦闘団)に似た機動部隊を、統合能力を内在し、高烈度紛争に最適化し、戦域において或いは非線形先頭空間においてどの師団本部下でもまた独立でも機能し、戦域補給が整うまで補給上自己完結した基本機動単位として作るということだった(注8)。陸軍参謀総長の指示と高烈度紛争に最適化した部隊再編の強調(注9)により、師団は複数の行動計画案(COA courses of action)を作成した。そして、図1に示す再編可能行動が2003年11月に参謀総長の承認を得た。図2は現行の第3歩兵師団(機械化)、イラクの自由作戦を戦った旅団基盤で師団編制を示す。図3では陸軍参謀総長の承認した行動計画に基づいて主要兵器と兵員について、旅団戦闘団と図2におけるUAとを比較したものである。


図2 現行師団編制(注10)(訳注 図の内容を文字で説明)

師団
・本部及び本部中隊
・機械化歩兵旅団×2 機甲旅団
・航空旅団
・・航空大隊
・・航空大隊
・・機甲偵察大隊
・・・機甲偵察中隊×2
・・・航空偵察中隊×2
・砲兵旅団
・・機甲砲兵大隊×3
・・機甲ロケット砲兵大隊
・師団支援集団
・・本部及び本部中隊
・・支援大隊×3
・・支援大隊
・・・(訳注 兵科記号は対空で不明 規模は中隊)
・・航空支援大隊
・工兵旅団
・・本部及び本部分遣隊(中隊規模)
・・機甲工兵大隊×3
・憲兵中隊
・対空大隊(ラインバッカーおよびアヴェンジャー装備)
・通信大隊
・軍事情報大隊

欄外枠にて
FSGA(ジョージア州フォートスチュアート/HAAF(ハンター陸軍飛行場
#第3歩兵師団の原屯地とその近傍の陸軍飛行場)における師団上階梯資産
支援連隊
工兵大隊
憲兵中隊×2
軍事情報大隊(UAV装備)

(訳注 図2説明終わり)

図3 BCT(旅団戦闘団)とUAの比較(注11)

現行の旅団戦闘団
本部及び本部中隊(81名)
機械化歩兵大隊(各701名)×2
機甲大隊(499名)
機甲砲兵大隊(613名)
支援大隊(430名)
工兵大隊(418名)
偵察中隊(49名)

 配属
対空中隊(94名)
憲兵小隊(21名)
通信小隊(70名)
軍事情報大隊(79名)

UA 1-4 行動計画5
本部及び本部中隊(81名)
機甲大隊(499名)
機械化歩兵大隊(701名)
機甲砲兵大隊(418名)
支援大隊(400名)
工兵大隊(282名)
偵察中隊(49名)
 配属
憲兵小隊(21名)
通信小隊(81名)
軍事情報大隊(79名)
兵科記号が化学の小隊×1 同じく班×1

総員数 BCT 3756名 UA 2611名
戦闘兵器
M1戦車 BCT 44両 UA 44両
M2歩兵戦闘車 BCT 88両 UA 44両
M6ラインバッカー BCT 8両 UA 0両
M7BFIST BCT 9両 UA 8両
M109自走榴弾砲 BCT 18両 UA 12両

(訳注 ラインバッカーはブラッドレーの車体に対空ミサイルと機関砲装備の砲塔を載せたもの)
(訳注 M7BFISTは砲兵観測員用のブラッドレー)

(訳注 図3説明終わり)


当初陸軍参謀総長が師団編制への主な変更として承認したUAの構成はおよそ以下の通り。

・新たに1個機動UAをUA 4として、現在ある工兵旅団本部を中心に創設する。
・伝統的に直接支援してきた砲兵、工兵、前方支援大隊を軍事情報、憲兵、通信中隊と化学小隊と同様にUAに常時配属(permanent assignment)とする。師団は2個小隊編制の憲兵中隊を創設するため資源の追加を要請する。
・現行の機械化歩兵大隊や機甲大隊の代わりに常時任務編成された機動支隊(Task Force)を創設する
・4個UAのそれぞれの機動TFを3個から2個へ削減する。これにより3個機動中隊が純減し、現行の機械化歩兵重旅団戦闘団と比べてUA当りの総員数では1145名、職業特技11系列の歩兵が431名減少する(注12)。
・Ua砲兵大隊は18門から12門編制へと再編され、パラディン155mm自走榴弾砲6両装備の2個射撃中隊、連合役務および本部中隊、直接支援の軍事情報中隊と旅団偵察中隊から成る。UA 4のため4個目の直接支援砲兵大隊本部と本部及び役務中隊、直接支援の軍事情報中隊と旅団偵察中隊が編成されねばならない。
・各UAに、直接支援の通信中隊、化学小隊、憲兵中隊(-)を配属する。資源が与えられた場合は直接支援の工兵大隊を配属する。新たに4個目の工兵大隊本部をUA 4のため創設せねばならない。
・小型の師団砲兵旅団をMLRS(多連装ロケット)大隊を中心につくり、UA 5に師団短距離対空大隊(1個アヴェンジャー中隊欠)を配属する。
・航空基盤のUA 5を創設する。1個機械化歩兵大隊、1個航空支援大隊、2個攻撃航空大隊(各AH-64アパッチ24機)、1個空中強襲輸送大隊(UH-60 30機)、1個全般支援航空大隊(1個チヌーク中隊(CH-47チヌーク12機、1個指揮統制中隊(UH-60 8機)、1個航空救急中隊(UH-60 12機))を同UAは含む。UA 5には1個対空中隊(アヴェンジャー装備)、通信、軍事情報、憲兵中隊そして航空輸送役務中隊とUAV中隊が配属される。UA 5に追加して配属される航空資産は最近承認された陸軍航空再編計画を反映している(注13)。
・主として主支援大隊と戦闘重工兵大隊からなる小型の師団支援集団。


高烈度戦場における脅威

合州国には目下軍事力と戦力投射能力において世界規模での真の意味の対等競争者はいない。が、地域的にまたは国際安全保障において実際に脅威となる国家は幾つかあり、なかんずく朝鮮民主主義人民共和国(DPRK Democtatic People's Republic of Korea)がそうである。北朝鮮(North Korea)は不安定で、予測不可能で、武装しており危険な(注14)であり、体制内部崩壊が発生する可能性がある程度あり、さらに悪いことには大量破壊兵器の保有について合州国に危険な挑発をする可能性があり、いずれの場合でも合州国とその南朝鮮の同盟国を朝鮮半島における高烈度紛争に投げ込みかねない(注15)。金正日体制の戦略上の主要目標は南朝鮮との統一であり続けており、DPRKの軍事戦略は攻勢的な性格であり、奇襲、圧倒的な火力、速度を組み合わせて勝利への方程式を体制に与えるべく設計されている(注16)。

 北朝鮮陸軍は推定で現役およそ90万名、予備役400万名(注17)。DPRKの軍の主要能力には10万名の特殊軍部隊、主力戦闘戦車2950両、近代化された頑健な対空防御体系、戦闘用機500機(注18)、砲および多連装ロケット1万3千門以上、砲およびロケットには射程70kmを超えるものが1100門(注19)。推定では軍のうち平壌=元山線より以南に65%が位置し、明らかに即座の攻勢作戦に備えている(注20)。前方展開した部隊と北朝鮮の軍事的攻勢能力支援目的の多数の地下壕、トンネル、地下施設については無数の情報源からの報告がある。さらに、DPRKは大量破壊兵器能力のみならず、化学剤および生物剤の運搬能力のある長距離ミサイルと砲を有している(注21)。
BRT infantry 2000 Jan-April

出典 Infantry Magazine 2000年Jan April号
原題Establishing and Using The Brigade Reconnaissance Troop
筆者Ross F. Lightsey

旅団偵察中隊(brigade reconnaissance troop(BRT))は現代の戦場においてより多くの情報をという要求により編成された。本稿の場合においては、第1歩兵師団の再編の直接の結果であった。限定改編師団21(Limited Conversion Division XXI(LCD XXI))の構想により旅団長は作戦上の柔軟性をより向上させるとともに、戦場における観測員をより多く持つようになった。開隊から6月を経て、師団の第2旅団BRTはコソボにおける平和維持活動の支援で至便な道具となっている。

BRTの主要任務は旅団長に直接戦場情報を供することであり、旅団長はその参謀と共にあらゆる旅団の作戦任務において中隊の任務を決する。推奨はされていないが、編合された場合、中隊は兵力の節用として、限定的に攻勢、防勢、遅滞作戦を遂行することもできる。戦闘志向任務において、BRTの必須任務は、経路偵察、地域偵察、地帯偵察、遮蔽線作戦、地域警戒の5つである。

BRTの基本任務は、偵察及び捜索の遂行と、近接及び縦深作戦中の旅団戦闘団(brigade combat team(BRT))に対して限定的な警戒を供することである。BRTは旅団戦闘団指揮官が決定的な時点と地点において戦闘力を機動させ、集中し、作用させる能力を助長する。

第1歩兵師団がLCD XXIという新たな構想により改編されたのは1998年12月であった。この改編により歩兵大隊と機甲大隊は各々1個中隊を失い、ブラッドレー戦闘車両14両かエイブラムス戦車14両、また中隊支援車両を手放した。改編の結果、各大隊は3個機動中隊と本部及び本部中隊となった。歩兵大隊長も機甲大隊長も人員のみならず火力を失ったと感じたが、戦闘効力は師団および旅団において他の資産へと移っただけである。旅団階梯ではBRT(旅団偵察中隊)が編成され、師団は1個MLRS(multi-launch rocket system)大隊を手に入れ、やがては無人飛翔体(UAV)資産が配備された。

最初にこのBRT構想を試験した師団はフォートフードの第4歩兵師団だった。第4歩兵師団では別々の大隊からあわせて2個偵察小隊を取り去り、指揮および本部部隊を併せてBRTを編成した。移行はかなり円滑だった。砲兵分遣隊とその他の支援部隊を加えて第4歩兵師団旅団偵察中隊は82名からなる部隊となった。

大隊から偵察小隊をそっくり引き抜くのは第1歩兵師団にとって問題外であった。そっくり引き抜いた場合、大隊は偵察小隊抜きとなり、ほとんどあるいは全く情報収集能力がなくなる。が、各大隊下偵察小隊がハマー4両とその乗員を手放すのであれば、新たに編成される旅団偵察中隊は偵察車両12両となる。まさに旅団偵察中隊の2個偵察小隊を編成するのに必要とされる数である。1999年1月の偵察小隊長課程説明において、機甲学校がやろうとしていたのはこれだった。現行のハマー10両偵察小隊の代わりに大隊階梯では偵察小隊あたりハマー6両とするとされていた。

機甲学校の企図には明らかな利点と明白な欠点があった。利点はBRT(旅団偵察中隊)が迅速かつ滑らかに編成できることである。明白な欠点とは大隊階梯での偵察が限られたものとなることである。第1歩兵師団のBRTでは、大隊は偵察用ハマーを持ち続けるが、兵員を転属することになった。旅団の3個偵察小隊と師団騎兵大隊がBRTに選抜された兵員を出し、BRTのハマーは他師団の部隊でM1025やM1026といった硬い奴を持っているところから出すことになった。BRT本部小隊の車両は旅団が3個小隊を失ったことにより生じた剰余から持ってこられた。

他師団の部隊からM1025やM1026を貰うにあたっては、よく考え抜いて注意する必要がある。資産台帳局ではハマーは付属品一揃い、つまり、無線機器、ワイヤハーネス、アンテナ台座、無線台座、増幅器台座、武器及び弾薬台座、スリーブ軸受け(bearing sleeve)その他などとともに渡されるとみなす。が、ハマーを横同士で受け渡しするときは、何が一緒に含めるか、含めないかを明確にする必要がある。師団が明確に名前をあげて要請しない場合、装備を失う部隊は、引渡し先の部隊に部品を剥ぎ取られたハマーを渡すだろう。引き渡す側の部隊には、必要な装備や物品を余計に譲り渡す義務はない。不揃いの車両で部品を組み合わせるなどしないためには、総ての付属品は同時に引き渡されるようにせねばならない。我々の場合は、付属品を引き渡されないままハマーを受け取ったため、新編されたBRT(旅団偵察中隊)の小隊の訓練、射撃、通信能力はひどく減じたものとなった。


MTOE Strength
修正装備及び編成表での戦力

現行のMTOE(modified tables of organization and equipment)では、BRTは士官4名と兵員45名となっており、合計49名である。この数字には配属されたり、あるいは支援する部隊切片を含めない。BRTは2個機動小隊と本部小隊からなる。各偵察小隊は18名、ハマー6両からなる。M2 偵察小隊あたり12.7mm機関銃3丁、Mk-19 3丁を装備し、隊員は各個がM16かM203を携行する。小隊にはM240B 6丁が割り当てられ、Mk-19に換えて車両に据えたり、降車観測所にて組火力となったりする。本部小隊は13名で、装備はM1025 1両、M998 2両、S-250シェルター搭載(指揮所、CP車両)M1037とM923 1両である。

師団や旅団内から、他の偵察資産が配属されることがある。我々のBRTでは戦闘観測レーザーチーム(combat observation laser teams(COLTs))や歩兵狙撃手、対空班(Avenger装備)、地上捜索レーダー(ground surveilance rader(GSR))と常時ともに訓練してしている。衛生兵は必要とは分かっているが、MTOEには含まれていない。

偵察小隊の任務編成は大変多様である。任務要求を遂行するため配属を受けた場合、小隊長にはかなり弾力的に編成できる。小隊が完全充足している場合、3つの別々の班に分けることもできる。典型的には乗車機動は別々の2個班で行われる。完全充足の配属を受けた場合、小隊長は小隊を別々の4個班に編成することもできる。現行の人員定数における唯一の欠点は降車機動に制限があることである。ハマーには兵3名を配する必要があるが、MTOEではこの3名に加えて別に降車偵察のための人員は認められていない。降車偵察員をえるには、2両か3両のハマーとその乗員を投入点(insertion point)に到達したら編合せねばならない。この編合は”車庫入れ(garage siting)と呼ばれており、役立つが乗員のいないハマーの火力を無駄にしてしまう。狙撃手の追加により多くの問題が解決されるが、企図と使用については留意すべき事項がある。狙撃手にとってはBRTは縦深浸透する手段や再合流や衛生後送時の隠密脱出手段となり、BRT(旅団偵察中隊)では降車偵察能力を得る。狙撃手は捜索の訓練を受けており、優秀な観測員にして射撃手であるが、射撃手という側面は見過ごされがちであり観測任務でのみ用いられることがある。狙撃手は我々BRTとともに訓練し、重要な資産であることが実証されたが、訓練展開や実際の任務において彼らが配属されるとは保障の限りでない。

任務編成はまた入手可能な装備に基づいてもきめられる。多くの点では、現行のMTOEにおいてBRTは満足な装備で運用されるようになっている。が、フォース21(Force XXI)の基準を維持しさらに上回るためにも、MTOEで認められた装備の内容について以下のように変更を提案する。

戦術衛星通信装置(TACSAT)のような装置が、旅団正面という大距離を覆うには必要である。通信は偵察戦闘において小隊長のもっとも攻撃力を有する兵器である。その他M68、Ranger body armor、PAQ-4C、PAS-13などがBRTの様々な緊急事態任務において不可欠である。ハマーの銃手は近接距離交戦に備えてM9 Berettaを持つ必要がある。M997指揮所車両はM1037(S-250シェルター搭載)よりも空間がはるかに広く様々に使え、かつより容易に用いることができる。


機動と情報
Maneuver and Intelligence

既に述べたように、BRT(旅団偵察中隊)の役割は今日の三次元戦場において旅団指揮官に情報を供することである。線形の戦場において、我々は間接および直接火力によりより縦深と攻撃力を得ていた。縦深偵察資産を加わえることで、より間接火力の効果を増すとともにより縦深を作り出しすことができるようになった。また、BRTにより師団あるいは軍団の長距離捜索分遣隊/部隊と大隊偵察との間の情報間隙を埋めることができた。大抵の機械化師団には長距離捜索分遣隊はないから、(BRTができる以前は)軍団の長距離捜索分遣隊と大隊偵察員との間での戦闘受け渡し距離は極めて大だった。一方、限定的ながら、BRTはより制約されている領域でも活動できる。BRTが加わることで縦深が増すこととなったか、それとも縦深は変わらず更に資産を増やしたのみかに関わらず、旅団戦闘団指揮官はかくて、これまで通常持っていたよりも多く確認の目を持つようになった。かつては旅団戦闘団指揮官は彼自身の関心地域の偵察のため大隊下の小隊を誘惑に駆られて引き抜くことがあった。そうして大隊での情報能力が低下してしまうのだった。

旅団戦闘団の攻撃時における旅団偵察中隊(BRT)下小隊の統制手段を別個にするのは容易である。BCT(brigade combat team 旅団戦闘団)が2個大隊並列で攻撃(或いは防御)するときは、その2個大隊を隔てる境界を延ばして、その側方それぞれをBRT小隊の担任地域とする。BRTと大隊偵察との統制手段は情報受け渡し線(information hand-over line IHL)と呼ばれ、その場交代(relief in place)における戦闘受け渡し線とよく似たものである。これにより情報受け渡しは円滑となる。

情報受け渡しは情報過程でも間接火力戦闘でも不可欠である。BRT小隊長は前進してくる敵についての枢要情報を伝達するよう訓練されている。敵活動を中隊指揮所に報告することに加えて、小隊長は受け手部隊にも報告する。ほとんどの場合、受け手部隊は大隊偵察小隊である。前線での活動のある作戦前には小隊長は顔を会わせて調整せねばならない。隣接部隊との左右の調整も同じく難しいものだが、前線と後方の調整は兵の生命のため絶対に必要である。友軍誤射防止は戦場にある全偵察部隊間での状況認識の直接の成果である。

小隊は乗車作戦および降車作戦において様々な戦技を用いる。非常にうまくいった戦技に航空投入(air insertion)がある。これにより隠密運動が大きく自由にできるようになるとともに妥協せざるをえなくなる可能性を減らせた。さりながら、40kmの距離ともなるとSINCGARS(単一チャンネル地上および空中無線装置)によるFM通信は非常に困難である。航空投入されるチームはOE-254アンテナ(訳注 原語はOE-254 feed cone 支柱付き無線アンテナ)およびケーブルを持つ必要がある。通信が確立されれば、降車チームは非常に戦闘に有用で旅団戦闘団指揮官が長距離目標に戦闘倍増素を最大限使えるようになる。

旅団偵察中隊(BRT)指揮所の位置は小隊と通信で結ばれつつも敵から可能な限り離れる必要があるのが鍵となる。高烈度戦闘中は補給パッケージ活動(logistical package(LOGPAC) operations)は困難なので、各小隊は最低でも3日間の第Ⅰ類および第Ⅲ類を持たねばならない。第Ⅴ類(弾薬)は脅威と観測所が関与することととなる交戦数に基づいて考慮する必要がある。明白なことだが、直射交戦は偵察作戦として最も望ましくない。小隊に補給の必要があるときは、小隊軍曹が観測所から抜け出てBRT指揮所の位置にゆくのが望ましい。

一層の戦力倍増素としては配属部隊がある。例えば、COLT(戦闘観測レーザーチーム)はレーザー照射能力を最大に生かす重要関心目標地域(targeted areas of interest)に配置される必要がある。道路や交差点のある開豁関心目標地域はCOLTを伴う偵察班に付与されるのが最も良い。GSR(地上捜索レーダー)直接視界装置とともに用いれば、乗車および降車接近経路を監視するのに最適である。指定関心地域(named areas of interest)が樹木地帯だったりあまり開けていない場合、特定地域や点目標への隠密個人運動においては狙撃手が最もよく訓練されている。これら総ての資産の組み合わせについては、小隊長はMETT-T(任務、敵、地形、自部隊、時候)を深く分析して最も適した配属部隊に任務を付与する必要がある。

本論ではBRT(旅団偵察中隊)を典型的な線形戦場において用いることについてのみ述べてきたが、緊急事態によってはBRTは非線形機動に参加することもありうる。ベトナムやソマリアでは、敵は常に前にいるとは限らず、BRTの任務と目的は大きく変わる。例えば、目標が、友好的な民間人および非友好的な民間人、準軍隊、テロリスト、地域革命党派の居住する町であることもある。任務が、確立した交戦地域への外からの接近経路に多層警戒を巡らして封鎖することや、さらにはそこへ向かう敵の運動を早期警報することであることもある。

安定及び支援作戦
Stability and Support Operations

安定及び支援作戦では、任務とその焦点は環境と様々な作戦に応じて劇的に変化する。戦闘におけるBRT(旅団偵察中隊)の5つの必須任務に加えて、経路啓開、国境警備活動、検問所活動、包囲捜索拘束、車列護衛、村落調査、即応部隊、示威巡察といった任務が加わる。BRTの主な利点はその機動力と即応性にあり、これはコソボのFalcon支隊(Task Force Falcon)でも発揮された。支隊の機動中隊が特定の戦区を付与されると、その部隊はハマーか航空資産無しでは即応するのは困難となる。機械化歩兵や機甲は示威には優れるが、BRTの即応柔軟性のほうがより望ましい。

BRTにCOLT(戦闘観測レーザーチーム)が配される場合(コソボがそうだったが)、COLTが戦闘以外に用いられることがある。BRT指揮官はCOLTを完全に作戦可能な第三の機動小隊として用いることで、(#訳注 訳者の補足語句# 指揮下の)機動小隊(ハマー6両装備)は3個となった。別の選択肢としては、偵察小隊が1個班を手放し、COLT小隊が2個班を偵察小隊に手渡すことで3個小隊を統合するというものもある。これにより偵察員とCOLTの間で普段からの関係が強化される。さらにGSR(地上捜索レーダー)と対空(アヴェンジャー装備)チームを統合することも勧められる。この統合は夜間作戦の捜索において最も効がある。対空アヴェンジャーチームの視察装置は優れており、空を見張るのにもともと設計されているが、遠距離の地上活動の観測にも大変有効である。


戦訓
Lessons Learned

隊員の獲得:BRTが開隊して確立されるまでに、指揮官は定められた人数の兵員を各大隊より受けた。受け取った隊員の中には再任しない者や見かけ倒し(physical imitation)の者がおり、戦闘に問題が生じ交代が必要となった。BRTを確立するにあたっては、指揮官は大隊から19D(#訳注 職業特技の19Dはcavalry scout騎兵偵察員)を選定する自由な権限を与えられるべきである。指揮官がBRTのため積極的に隊員を募集できるようにすべきである。

展開性:BRTは編成されてから6月後に、コソボに展開した。BRTは師団中コソボ入りした最初の部隊であり、よくやった。BRTを立ち上げてから2,3月後に展開するのは賢い選択肢ではないかもしれない、というのは部隊全体が未訓練の状態にあるからである。そうしていたら部隊は困った状況に置かれただろう。

最初の3ヶ月間は、資産と補給問題のみに集中すべきである。次の3ヶ月間は実射訓練2階と最低でも一回、主要訓練センターでの高烈度演習を含めるべきである。部隊は師団か旅団評価演習で認証されるまでは非展開に留め置かれるべきである。

資産の水平移管(lateral transfer):受け取り部隊と手放し部隊での品質管理はあるべきほどには徹底したものでなかった。機能する装備でBRTを確立するのが短期目標となった。部隊を短期間に作戦可能とするためこの過程は手早く進められた。不完全な装備や資産を却下することは認められなかった。主要装備品は様々な第Ⅱ類や第Ⅸ類部品、装備が欠落していたり、欠陥装備がBRTに水平移管されたりした。

(#訳注 訳者補足語句# これに対処するには)旅団の佐官が品質管理士官となる手がある。BRTは資産を受領あるいは却下する期間を3ヶ月与えられるべきであり、手放し部隊は(#訳注 訳者補足語句# 引き渡す資産の)責任を持つべきである。

支援:多くの中隊規模機動部隊は、弾薬、整備、規定携行物品表、衛生その他といった様々な必要についてその親大隊の支援を受けられる。旅団のための支援資産全てと協力するのは、始めのうち時間の掛かる過程だった。支援が劇的に向上したのは外部の支援資産が公的にBRT(旅団偵察中隊)を認めてからのことである。旅団本部中隊はBRTへの支援を確実ならしめるため決まっているよりも多くのことを担うべきである。BRTを機動大隊に配属すると部隊管理と指揮系統の問題に加えて、ある種の所有の問題をまねく。

BRTが確立する前に、戦務支援部隊はBRTおよび支援部隊と事前予行すべきである。旅団は外部支援の要求全てにおいて介助すべきである。

旅団あるいは連隊偵察はまったくもって目新しい構想ではない。旅団階梯における偵察資産は今日の戦闘倍増素の縦深を最大とするには常に必要であリ続ける。BRT(旅団偵察中隊)の編成により、兵士が必要とされる訓練水準、現代の戦場での戦闘に必要とされる新たな装備の登場についても考えるべきである。戦闘においてとりわけ偵察員の間での大量の損害が許容される時代は過ぎ去った。訓練の欠如や最新装備の不足は決定的に我が方の旅団縦深偵察員を予期する以上の危険に晒すことになる。BRTの開隊と始動(activation)は痛みを伴うが必要な過程であった。旅団で3個戦闘中隊を削減したことで訓練予算が節約されるので、BRTを適切に装備するため余分に支出するのは十分以上に正当化できる。

いずれにせよ、BRTはコソボにおけるJoint Guardian作戦という実際の展開においてその価値を証した。Falcon支隊(多国籍旅団、東部)(Multi-National Brigade, East)は支隊任務を遂行するにあたってはBRTに日日課し、BRTに大きく依存した。7000名の支隊はBRTを中央指揮を受ける迅速先制及び反応部隊とした。

他の師団や旅団がLCD XXI(限定改編 師団21)に改編すると、将来の難任務を遂行するにあたって大きく助けとなる資産を手に入れることになるだろう。

筆者 Ross F. Lightsey大尉はコソボ時の第1歩兵師団第2旅団 旅団偵察中隊(第4騎兵E中隊)の偵察小隊長。前職はボスニアでの歩兵小隊長、第1歩兵師団第26歩兵連隊第1大隊中隊副長など。1995年Southwest Texas State University ROTC卒業生で、現在はフォートブラッグのJFK特殊作戦学校に配属されている。



装備      現行定数 提案する定数 増減
AN/PSC-5 TACSAT(#衛星無線) 0 3 + 3
AN/PRC-139(#携帯無線) 0 13 +13
SINCGARS RT (単一チャンネルデジタル無線) 33 45 +12
UAS-11 (#TOWの誘導装置派生の熱線視察装置) 8 2 - 6
AN/PAS-13 (小火器に取り付けられる熱線視察装置) 0 13 +13
M16A2(#自動小銃) 48 0 -48
M4 carbine(#自動小銃) 0 48 +48
M9(#拳銃) 1 15 +14
M68 (#ドットサイト) 0 48 +48
PVS-14 (#単眼式熱線視察装置) 0 24 +24
LRAS3(長距離偵察装置) 0 2 + 2
M1037 (S-250シェルター搭載) 1 0 - 1
M997 (野戦救急車から転用) 0 1 + 1
PAQ-4C (#銃に取り付ける赤外線レーザー照準装置) 0 48 +48
MK-64 (#火器台座) 6 0 - 6
MK-93 (#重火器用ピントル台座) 0 13 +13
Ranger body armor 0 72 +72
AN/PSN-11(PLGR)(精密軽量GPS受信機) 15 0 -15
PLGR-2(精密軽量GPS受信機) 0 15 +15
5K generator(5000ワット発電機) 1 0 - 1
15K generator w/ trailer(15,000ワット発電機 トレーラー搭載) 0 1 + 1
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