SBCT関係論文翻訳
1999年10月AUSAの昼食会にて時の米陸軍参謀長エリック=シンセキ大将は演説を行った。陸軍の変革・再編・革新の道程標となる出来事であった。
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歩兵中隊の自動車化について報告と提案
出典 infantry magazine 2006年1月・2月号
URL find articleより
原題 The need for a new cargo HMMWV
筆者 Timothy F. Wright大尉
筆者略歴
2000年ウェストポイント陸軍士官学校(the United States Military Academy)より任官。ハワイ州Schofield Barracksの第25歩兵師団第27歩兵連隊第2大隊に配属。小銃小隊長、中隊副長、偵察小隊長として勤務。大尉は2004年3月にアフガニスタンのOrgun-Eへ本部および本部中隊副長およびTF 2-27 S-3補(assistant S-3)として派遣される。現在はカンザス州フォートライリーの第1歩兵師団第4旅団戦闘団に配属されている。

内容 全訳
現行の陸軍変革の一環で、軽歩兵旅団全ては任務編制(task organization)および装備を大きく一変させて新たな歩兵旅団戦闘団(Infantry Brigade Combat Team IBCT)となる。歩兵旅団戦闘団は高烈度紛争(high intensity conflict)から安定支援作戦(stability and support operations)に至る作戦の全様相の遂行が可能な戦闘部隊である。IBCTの編制及び装備定数は以前の編制と比較して著しく向上しているが、機動部隊に生残性ある戦術車両を与えていない。このような車両はバグダッドの通りやアフガニスタンの山岳においてその価値を証しているのにも関わらずである。このような戦場では以前よりも歩兵中隊や歩兵小隊が長距離を動き(cover)、本部および支援組織から一層遠くで作戦する必要があることが明らかとなっている。この必要にかなうべく陸軍はM1114装甲ハマー(the M1114 up-armored HMMWV high-mobility multipurpose wheeled vehicle)の派生型として1個分隊およびその装備を輸送でき、かつ分隊が降車し付与された任務を実行するまで防護を与える車両を開発、配備する必要がある。

#以下全訳最後まで

 Task Force 2-27(第27歩兵連隊第2大隊)は第25歩兵師団第3旅団戦闘団のもとで2004年3月にアフガニスタンのPaktika州(Paktika Province)に位置するForward Operating Base(FOB) Orgun-Eへ展開した。Paktika州は東部と南部が山岳地帯でパキスタンとの国境となっており、海抜6000フィートから12000フィートの稜線が聳える。
 人口はおよそ30万名で小さな部族村に住み(small tribal villages)、舗装道路、水道、電力は無く政府機関、警察もほとんど無く最低限の基盤しかない。パキスタンから輸入されたディーゼル発動機(diesel engines)、僅かな衛星電話と基本的な電気製品を除けば、2004年のPaktika州と1004年のPaktika州はほとんど変わりが無い。僻地に位置し、国境(そしてアルカイダの主だった指導者がかつて潜みなおも潜伏すると多くの者が考えるパキスタンの地域)にあり、Time誌でRodney Davis大佐(Colonel)の言にある"地上で最も邪悪な地"という誉れとはいうには疑わしい渾名を頂戴していることなどから、TF 2-27は作戦の重点は丘陵に米兵を殺そうと潜むとされる敵を発見し、捕え、殺害することになると当然の如く思われていた。

 この想定は現実からは程遠かった。TF 2-27が1年にわたってPaktika州で遂行した作戦は、物理的で敵に焦点を合わせた(kinetic, enemy focused)ものから非物理的で住民に焦点をあわせた(non-kinetic, population-focused)ものへと変貌し、通常の軽歩兵戦術および運用から大きく離れて安定および支援作戦へと移ったのである。
 最初の2ヶ月は、多くの者が州にいると思っていたタリバン、アルカイダそのほかの外国戦士を突き止め、拘束すべく地元で集めた情報や上級階梯から降りてきた情報に基づいて3日から4日間の作戦を任務部隊は行っていた。これらの作戦で、任務部隊は住居(compounds)を捜索し、山岳を哨戒(patrol)し、敵が使用している侵透経路(infiltration routes)の経由点と思われる洞窟を発見した。これらは従来からの軽歩兵運用でありTF 2-27の兵らおよび指揮官らが遂行することになると考えていた内容であったが、僅かの特筆すべき例外を除けば、大部分が空振りであった(ineffective)。費やされた時間と資源の割には、不釣合いに僅かな"テロリスト(terrorists)"や外国戦士(foreign fighters)が見つかっただけで、部隊は敵と戦うよりも、捜索した村々との関係を修復するのに時間を費やしていた。

 さて、TF 2-27は新任のGulab Mangal州知事が正当かつ機能する州政府を確立し、2004年10月にある初の民主制による大統領選挙の下地を整えるのを支援することも担任であった。州での最初の二ヶ月、任務部隊指揮官であるWalter Piatt中佐(Lieutenant Colonel)とMangal知事はこれらの目的を支援するための計画を策定した。TF 2-27は州知事と彼の下の州警察(provincial police)とともに、3回の作戦で州の全23地区を廻り、地区(district)の復興需要に対処し、来る選挙を周知し、有権者登録(voter registration)の基盤を敷いた。これらの活動に対する反応は極めて好意的なものであり、住民からの協力も増え、内乱勢力についての情報も向上し、作戦地域(the area of operation AO)での治安も良くなった。
 大隊はこの種の活動を主にして取り組むようになった。州政府と米軍がともに住民の生活に治安と安定をもたらすよう働いていると実地に示すことで、これまで内乱勢力が住民から受けていた支援は衰え、敵が兵站、資金、安全網を失って追い詰められ孤立するということを大隊は悟った。
 この大きな変更は2004年中にアフガニスタン全体で行われ、従来の軽歩兵戦術と任務は復興、政府立ち上げ、国家及び地方警察訓練、アフガニスタン国軍(the Afghan National Army)が職業軍となるのを介助するのを主とする全様相作戦(full-spectrum operation)に取って代わられた。

紛争の性質は変化し、そして我々は内乱勢力との戦闘にはじめて成功したのだった。

 この変更は多々書かれているが、その影響には未だ十分な対処がなされていない。我々の取り組みを住民中心にするには、任務部隊は機動部隊を人々が住んでいるところへ送り込む必要がある。あいにくなことに、軽歩兵部隊にとって徒歩距離内には何も無い。
 Paktika州は面積19,101平方キロメートルでパキスタンとの国境の長さは600km以上に達する。ルイジアナ州Fort Polkにあるthe Joint Readiness Training Centerの演習域(the "box")は陸軍で最上の軽歩兵訓練場であるが、面積はおよそ800平方キロメートル、訓練派遣(rotation)で軽歩兵大隊が使えるのはそのうちの6分の1である。
 MTOE(手直しされた編制及び装備定数表)によると、軽歩兵大隊の主な機動部隊たる小銃中隊(the rifle company)は固有の輸送資材を持たない。軽歩兵大隊が唯一有する車両は本部及び本部中隊(headquarters and headquarters company HHC)に割り振られているおよそ40両の貨物輸送型ハマー(cargo HMMWV)であり、これらは大隊本部、参謀(staff)、専門小隊(specialty platoon)、そして少々の補給を戦場で運ぶのに用いられている。車両が割り当てられていないために任務上大きな問題となっている。時には1週間で何百マイルと小銃中隊や小隊は移動する必要がでてくる。
 この種の問題を派遣前に予期し、大隊は再編して固有のハマーを27両配備した。そして戦域内に入るとすぐに、これまでの部隊派遣(previous rotation)で施設装備(installation equipment)となっていた車両を組み入れた(signed)。これにより我が大隊任務部隊が組み入れたのはM1114装甲ハマー(5人乗り組み型)およそ25両で、エンジン、サスペンション、動力系が改善されており多くは車齢3年以下だった。さらに任務部隊ではM998やM1038などその他の非装甲貨物輸送型をおよそ65両組み入れた。これらの車両は兵員最大11名とそのと武器、装備、補給物資を輸送できるものであった。これらの戦域で組み入れた貨物輸送型とハワイから持ってきた27両は車齢は平均して15年で、主要部品に改善は一切されていなかった。これらの貨物輸送型にケブラー布とケブラー敷布(Kevlar blankets and sheeting)を取り付けて生残性を向上させ、車体上に三脚付きのM240B機関銃を据えて間に合わせの銃座とした。これらの雑多な戦術車両を装備したことでTF 2-27は自動車化された。

Paktikaでの作戦のために車両を揃えTF 2-27を自動車化することはできたものの、理想からは程遠かった。TF 2-27の機動部隊(maneuver elements)の用いる車両の半分以上は貨物輸送型ハマーであり、戦術兵員輸送車両(tactical troop carrier)ではけしてありえない。戦術兵員輸送に用いることで様々な不都合が生じた。
 各中隊に割り当てられた車両数はM1114型ハマーが6両から8両、様々な貨物輸送型が10両から15両であった。各中隊と小隊では貨物輸送型1両につき平均10名を乗せることを強いられ、荷台(cargo space)はさほど広くなく必要な糧食、真水、部品、作戦を継続するに必要な装備を積み込むのは良くいって難題となった。また、狭い荷台ゆえに武器を射撃したり、車両を守ることにも支障があった。

中隊や小隊ではこれを少しでも改善しようとして運転台の上(the top of the vehicle)に自動火器の三脚を据え付けた。しかし正確で制御しての射撃はほぼ不可能であり、車両の構造上射手の動きに制限があり正面以外に向けて撃つことはできなかった。
 後方地域での運用向けであるため、操縦手(operator)、車長(truck commander)と荷台の乗員の生残性に全く配慮していない造りである。ケブラー布、ケブラー敷布(Kevlar sheets)に増加装甲キットで生残性は非常に向上し沢山の命が助かったが、総じて貨物輸送型ハマーは戦術兵員輸送車両の役割をこなすことはできなかった。


ハマーの最大積載重量は、どの型であろうとも2500ポンド(#1133.98kg)である。貨物輸送型に兵員10名とその装備に4日間(任務部隊の哨戒での平均的任務)の作戦物資と最低限のケブラーによる防御こみで積み込むと3830ポンド(#1737.25736kg)となり、これは最大積載重量の153%に及ぶ。さらに増加装甲キットを貨物輸送型に装着している場合には重量4530ポンド(#2054.77176kg)となり、最大積載重量の183%となる。これらの数字は衝撃的であるが、特別な装備、例えば迫撃砲とその弾薬などや、さらに長期間の哨戒のために加わる物資などを含んでいない。

Paktika州は、上記の通り舗装道路は皆無であり、これが重量過大による問題に輪をかける。哨戒部隊(patrols)は平均して1時間およそ15マイル(#24.135km)の速度で移動する。通常速度で少し走っては、岩や穴などの障害を低速ですり抜け乗り越える状況であり、空荷のハマーの限界ぎりぎりまで試される。このような過酷な条件で、作戦は車齢15年の車両にこれまでになく短期間で長距離を走行することを強いている。ハマーの走行距離は月平均1千マイル(#1609km)である。本任務部隊とともに派遣された貨物輸送型ハマーのこれまでの走行距離は1年あたりわずか2000マイル(#3218km)であった。
 このように貨物輸送型を酷使したことで予想通りの結果となった。任務を完遂するに堪えられなくなったのである。平均的な車両使用であった典型的月間で、本任務部隊の整備は差動装置(differential)10個、クロスメンバー(cross member)16個を交換しており、ショックアブソーバー(shock)やコントロールアーム(control arm)、ハーフシャフト(halfshaft)の交換は絶え間なかった。
貨物輸送型の後部ホイールウェル(rear wheel well)や側板(side panel)が戦術車両として使用したための疲労から文字通り脱落したことも一度ならずあった。展開期間を通じて、大隊の平均作戦即応率(average operational readiness rate)はわずか65%であった。この数値は貨物輸送型よりも平均して車齢が13年-15年若くはるかに優るM1114型ハマーを含めてのものである。

本大隊は軽・中級戦術車両(light medium tactical vehicle LMTV)をPaktika州で少数使っていたが、LMTVは本大隊の車両中で最も使われることが少なかったことは特記すべきであろう。
 LMTVはある程度の難地形を安全に踏破できず、あっさりとスタックし重心が高いため転覆する危険性がある。大きな標的となり、荷台を強化するのは可能であるがたいして防護は高まらない。荷台に分隊2個を乗せたLMTVは大きな的であり不釣合いに戦闘力を集中しすぎる。そして、故障した場合に回収できる機材がPaktika州には無い。基地や後方で物資を運ぶにはLMTVは便利だが、それしか使い道が無い。戦術車両としては使いでがない。

TF 2-27をPaktika州に到着後に自動車化大隊(motorized battalion)に改編して生じた別な問題は本任務部隊全体に車両の戦術および技術訓練と経験が欠落していたことである。
 本大隊は訓練良好の歩兵部隊であったが、自動車化部隊(mounted force)として活動するには著しく経験が不足していた。
 本任務部隊には認定運転手、認定M2、Mk19射手が不足しており、車上実射訓練(mounted live-fire exercise)を行ったことのある者はいたとしても僅かだった。歩兵任務の多くと同様に、経験の不足は派遣前に部隊が訓練用に車両を得られれば克服できていた。軽歩兵大隊の車両は僅かであるが、出発するまでに全中隊が自動車化戦術(mounted tactics)を訓練することは不可能ではない。
 Paktika州に着くや戦術の習熟度は急激に上昇したが、運転手が訓練されていない車両を用いたことで最初の一ヶ月は大きな危険を受け入れることとなった。技術の習熟度はさほど急には伸びず、より長期的な効用があった。
 どの装備であれ必要なときに確実に作動するには整備が重要であった。これは特に車両に当てはまり、これまで述べてきたような条件で用いられる場合には一層あてはまった。訓練を受けた車両運転手は毎回運転前に点検し、運転中も調子に注意を払い、停車するごとに調べるようよう教えられる。
 本大隊で運転していた兵らの大多数はハマーに必要な整備の正式訓練を受けておらず、これは車両に大きな影響があった。最初の一ヶ月は運転手のミスから車両が故障することが非常にしばしばあった。運転前にハーフシャフトの緩んだボルトを締め忘れる、違う種類の燃料を給油するといった単純なミスがよくあったが、こういった失敗は派遣前に適切な訓練をすれば防げていたはずである。派遣前に小銃中隊がわずか一ヶ月でも車両の訓練を受けていれば、本任務部隊が経験した問題の多くは避けられたであろう。

TF 2-27が自動車化部隊として作戦するに当たって直面した三つ目の問題はPaktika州のような条件で運用された車両数を支援できるだけの戦務支援態勢が欠如していたことである。本任務部隊がPaktika州に到着したときは編制階梯の車両整備兵4名を伴っていた。当初は彼らは100両近い車両を個人工具箱と作業場のみで担当していた。さらに部隊の携行部品品目(prescribed load list PLL)、つまり手持ちの部品の種類はわずか53品目のみしか認めらていれなかった。Paktika州のような条件のもとでかくも多数の車両を維持するには著しく人員も支援も本任務部隊には不足していた。整備兵(mechanics)は文字通り、夜明けから日没(そしてその後も)まで週7日間働いたが、車両の稼動を保つのは不可能であった。

 問題の一部は上部階梯の機関志向の考え方、部品、整備兵、道具を旅団階梯にそろえておき必要に応じて押し出す、あるいはさらに悪い場合は故障車両は後送して修理するという発想にあった。
 たとえば、あるM1114型ハマーが馬力が不足しているために丘をあがれず車両置き場に並んでいたことがあった(deadline)。整備兵はエンジンの交換が必要と判断した。これは直接支援整備修理(direct support maintenance fix)であるからこのハマーは一つ上の整備支援階梯であるバグラム航空基地(Bagram Airbase)へ後送された。
 このハマーがFOBに戻ってくるのに60日間もかかった。本任務部隊の支援態勢は従来は小銃の故障程度しか問題とならない軽歩兵大隊を支援するのを念頭において設計されており、車行二日間の先に位置する車両100両以上の整備所要に対応できなかった。
 Patrick Soule大尉(Captain)とIsaias Villanueva二等軍曹(Staff Sergeant)が任務部隊の支援態勢の再編に弛むことなく取り組んだのは非常な称賛に値する。両名は任務部隊の所要を支援できる整備計画をその手で作成した。
 帰還直前のもっとも整った時点では、任務部隊には編制および直接支援整備がともにあり、車両置き場(motor pool)二つ、携行部品183品目、完全な整備所(full-service shop)を運営するに足る工具類もあった。
 M1114型ハマーのエンジンを交換するのに60日を要していたのが、48時間で完全任務可能となった。そのほかTF 2-27が面した難題は兵および指揮官が創造的な解決をし任務を達成したが、態勢が整わぬために如何に任務部隊が情報収集、住民との協働、敵発見に成功を収めても稼動維持可能な戦術車両と支援が欠如しているために敵の弱点を突けず、防げていたはずの損害を避けられなかった。

 これらの問題のいくつかを解決する大きな改革がすでに始まっている。陸軍は現在、すべての軽、空中強襲、空挺部隊を歩兵旅団戦闘団(IBCT)へ改編中である。師団中心部隊から旅団中心部隊へのこの陸軍改編は戦闘、戦闘支援、戦務支援資産の任務編制を大きく変えて陸軍をより柔軟性が高く、展開力を高め、今日の戦場への適合性あるものにする取り組みである。
 歩兵大隊は、前方支援中隊(forward support company)1個、武器中隊(weapons company)1個が増えてより大型化する。
 前方支援中隊の指揮官は需品(Quartermaster)、輸送(Transportation)、武器(Ordnance)将校で、それぞれ整備小隊、輸送小隊(主としてLMTVからなる)、回収班(recovery section)を統制する。これらの資産を大隊長の直接統制下におくことで歩兵大隊は安定および支援環境が求める整備所要を捌ける見込みもより大きくなる。Paktika州でのように、これらの資産は前方に位置し大隊で故障を修理して不可欠の装備を戦闘に戻すことができる。
 武器中隊も態勢をよい方向へ変えるものであり、本質的には大隊に固有の自動車化中隊(motorized company)である。武器中隊の兵は原屯地(home station)で安定および支援環境が要求する、たとえば同環境で装備を維持しつつ大距離で戦術作戦を遂行する能力といった作戦を遂行するよう訓練できる。

 IBCTは正しい方向へ進んでいるものの、残念なことには二つ大きく欠けるところがある。第一に、大隊の戦闘力を安定および支援作戦が求める大距離へ投じるのを可能とするだけの戦術車両がMTOE(修正編制および装備定数表)に無いこと。第二にIBCTに割り当てられている車両では任務を達成する能力が無いこと。武器中隊は疑いなく正しい方向への前進であり、少なくとも1個中隊に外部支援無しで大距離を移動する能力を与えているが、列線中隊(rifle company)は貨物輸送型ハマーをわずか2両装備するのみで不足している。

 アフガニスタンでのTF 2-27の経験が明瞭に示すのは列線中隊は安定および支援環境において戦闘力を投射する能力を備えるのが必須ということであり、しかし、MTOEをこの必要に応じて改めない限り、部隊は戦闘環境で用いることとなる装備に備えがなく訓練を受けないという状況が続くということである。
 少なくとも、不慣れなあるいは訓練を受けていない運転手は車両を不必要に疲労、消耗させ、IBCTの作戦即応率を減じる。最悪の場合には、自動車化部隊での車両の運転と兵器の操作に不慣れな兵が訓練で無く戦闘の中で基本を習おうとしているうちに負傷したり戦死したりする。いずれの場合も適切な装備により解決できる。

総じて車両が不足していることに加え、IBCT MTOEの車両は不適切である。ハマーのすべてがM998貨物輸送型の派生型であり、この型はTF 2-27の戦術任務において嘆かわしいほど不適切だと判明している。この型では戦闘哨戒の疲労と消耗に堪えられないのである。自車や、自隊列を守るだけの作りになっていない。素の状態(stock vehicle)では生残性がまったく無い。これらの欠点を改善する改造はできる。しかし、そういった改造による車体への負荷は大きく設計数値を超過し、適切な方法としては受け入れがたい。

 この問題は理論上は是正するのは容易であるが実施するには資源と予算を必要とし、これらは既に不足している。M1114型ハマーは信頼の置ける戦術車両であることを実証した。耐久性、生残性があり、自隊形を警護する武器プラットフォームの能力がある。陸軍はM1114型ハマーの改良、生産、そしてIBCTへの主要な戦術車両としての配備を継続し、かつ、M1114型ハマーをIBCT MTOEに追加して部隊が戦域に行く前にその運用と整備に熟達しむるようにする必要がある。

 M1114型ハマーは有望であるが、弱点も内在している。まず兵員5名のみしか搭乗できない。38名小隊に配属を加えると、全員が乗車するのだけで9両必要となる。降車して歩兵作戦を遂行する段となると、M1114型ハマーに搭乗している小隊は車両警護に最低でも19名の兵士を割くことになる(1両につき運転手1名と銃手1名、そして指揮統制に指揮官1名)。
 これは小隊のおよそ半分を支援任務に縛ることになり指揮官の戦闘力を非常に減じている。仮に車両に残った兵らが降車して戦闘するだけの戦力を持っているとしても、直ちに停車して下車する必要が生じたらば、小隊は数百メートルを隔てて三つの集団に分散してしまう。この状況では、M1114型ハマーの車内からの指揮統制は著しく制約され、これは接敵しているときにはさらにあてはまる。そしてM1114型ハマーからの視界には欠けるところがあるため状況把握は低下し、そうでなくても混乱している状況をさらに悪化させる可能性を秘めている。

 陸軍は備蓄しているM113装甲兵員輸送車を車両所要に応じ用いるべきだとの意見がある。費用のかからない選択肢ではあるが、車両の性能は現在の作戦状況に適さない。最大時速45マイル(#72.405km)では、ハマーのような機動力を欠く。常時行動をともにする機械化部隊から後落という評価がM113には既にある。装甲防護はある程度あるが、M1114型ハマーに生残性はそれでも劣る。M113装備部隊の整備所要はハマー(truck)装備部隊に比べて非常に大きく、M113を回収するのはM113ではほぼ不可能である。最も重要な点は、訓練を受けた分隊であればパンクしたタイヤを5分間で交換できるが、M113の履帯交換には5時間かかる。仮にM113が平坦かつ狭隘な作戦域で十分な整備態勢の部隊に支援を受けるならば、有望な選択肢であろう。残念なことには、今日の戦場においてはそのような環境は稀である。

 陸軍はM1114型ハマーの派生型として、耐久性、生残性があり安全なプラットフォームで長期間にわたり大距離の分隊戦術運動を可能ならしめる貨物輸送型を開発する必要がある。エンジン、サスペンション、走行系を改良することで貨物輸送型ハマーがこなせなかった戦術車両としての要求に応じることができる。ぶざまなLMTVよりも機動力があり回収も容易である。単純であるから運用と整備に熟達でき、これはストライカー装甲車や他国の同様の車両と比較して明らかな利点である。
 現在用いられている米国車両のうちこの要求を満たせるのに近いものは特殊作戦部隊の多くが用いている地上機動車両(the Ground Mobility Vehicle GMV)である。これはM1114型ハマーの向上したエンジン、サスペンション、走行系を持っているものの、素のままでは生残性が欠けている。

 陸軍はIBCT(歩兵旅団戦闘団)の現行の戦術車両をM1114型ハマーの指揮型と貨物輸送型に置き換える必要がある。
 各小銃小隊(rifle platoon)は小隊本部にM1114型ハマー2両と貨物輸送用M1114型ハマー4両(分隊あたり1両)が、迅速に降車軽歩兵作戦へ移行するに必要な指揮統制を保ちつつ戦場に戦力を投射するには必要である。中隊では本部班の車両を含めるとM1114型ハマー7両と貨物輸送用M1114型ハマー14両が必要となる。要求を洗い出すのは簡単であるが、現行の所要に応じてM1114型ハマーを生産しつつも新たにハマーの派生型を開発、大量生産し、配備するのは容易ではない。
 目下のところ、M1114型ハマーの圧倒的多数は直ちにイラクとアフガニスタンに送られ、作戦に従事している部隊の維持に使われている。この態勢はいわゆる槍の穂先が最良で最新の装備を確実に受け取れるようにしているが、良く言って場つなぎである。歩兵と彼らが戦う戦闘を真に支援するには、M1114型ハマーの生産を指数的に増加させ、現在そして今後の任務成功を確かとするために新型の貨物輸送用M1114型ハマーを配備せねばならない。

 現在そして予想される世界情勢を前提とすれば、通常戦で合州国と戦うという考えをもてあそぶ軍のある国はほぼ無く、安定および支援作戦が陸軍が遂行する最も一般的な作戦となろう。アフガニスタンのPaktika州のような場で得られた戦訓が現行の編制および教義に反映されて陸軍が世界で最も有効な戦力たり続けるよう期するのは責務である。


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2006/06/13(火) 06:01:20 | Les reveries ou memoires sur l'art de la guerre
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