SBCT関係論文翻訳
1999年10月AUSAの昼食会にて時の米陸軍参謀長エリック=シンセキ大将は演説を行った。陸軍の変革・再編・革新の道程標となる出来事であった。
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カナダ軍のMGS、MMEV調達計画は中止か?
出典 ottawa citizen
URL http://www.canada.com/ottawacitizen/news/story.html?id=95b4c9e5-de13-4425-bc87-218c1031583c&k=94676&p=5
原題 The return of the Leopard
日時 2006年7月8日
筆者 David Pugliese, The Ottawa Citizen
発信地 不明
内容 
#画像注記
Cplc. Serge Gouin, Citizen Special
かつてカナダ軍で画期的とされたレオパルド戦車が復活するのかもしれない。アルバータ州CFB Wainwrightの訓練演習にて撮影。
#注記終わり
#以下全訳

三年前、カナダは戦車隊の終焉を宣告し、より軽量、高速、機動性に富むストライカー機動砲(Stryker mobile gun system)が戦いに備えた有用な軍には必要だと告げた。しかし、いまや我々のアフガニスタンでの経験が示唆するのはそれと異なり、陸軍は政府に再考を求めている。

#以下全訳最後まで
2003年10月29日、自由党の国防相John McCallumとRick Hillier中将(Lt.-Gen)はオタワに報道陣を集めてカナダの戦車部隊の消滅を告げた。カナダはレオパルド戦車を用いるのを止めて先端技術を取り入れるというのである。

McCallum国防相は政府に米国のストライカー機動砲の調達を求めた。ストライカー機動砲はMGSという名のほうが通りが良い。これは装輪車両であり、米軍が購入しており、戦車よりも装甲は薄いものの速度はあり戦場での機動力はより大である。

Hillier中将によると、陸軍のレオパルド戦車はその目的を達し、近年の1億4500万カナダドル($145-million)かけての改良にも関わらず、用途は限られている。今後の車両となるのはMGSであり、機甲将校たる同中将は、最先端かつ"勝利兵器(war-winner)"と形容した。

”機動砲はカナダ軍にとって適切な車両でありカナダ軍の作戦において優れた能力を供する"とHillier中将は述べた。"我々は長年、思考が停滞しており期を画すことができなかった"とレオパルドについて触れて同中将。

中将は野党政治家からの懸念、この決定はカナダ軍兵士の生命を危険に晒し国をルクセンブルクやアイスランドと同列に置くことになるとの警告を退けた。ルクセンブルクとアイスランドはより重量級の機甲車両の必要を認めていない。

陸軍の計画では代わりにMGSが多任務効果車両(the Multi-Misson Effects Vehicle, MMEV)という先端技術兵器とともに協働するというものだった。MMEVは既存の対空ミサイル兵器であるADATSをもとにしたもので、MMEVの設計および生産はQuebecに所在する航空宇宙企業であるOerlikonが行うこととなっていた。MMEVは航空機を撃墜することも地上目標を撃滅することも可能とされた。

しかし、三年も満たずして計画は大幅な見直しを受け、陸軍は保守党政権にMGSとMMEVの計画二つとも中止とすることを求めている。

MGSはもはや陸軍にとって適切な車両ではなくレオパルドも期を画す存在ではない。同戦車を少なくとも2015年まで用い続けるための方法の研究が現在行われている。

陸軍筋はなぜ陸軍が僅か数年前にはカナダが先端技術兵器を配備する例であると称揚されていたMGSとMMEVの二つの計画を取りやめるのを望んでいる理由について語りたがらない。

MGSとMMEV調達の決定は陸軍が海外に迅速に送られ、同地において迅速に戦場を動く戦力へ自己変革する陸軍の決定の核心であった。戦車は戦争地帯へ運ぶには時間が掛かりすぎるとカナダ軍指導者らは主張し、また履帯の巨獣は機動しにくい、とりわけカブールのような地においてはそうであるとした。実際、カナダがレオパルド戦車を海外に送ったのはそんなに多くは無い。一番最近で国際任務で同戦車が用いられたのは1999年のコソボである。

陸軍の計画では、MGSとMMEV、そしてもう一つ別の対戦車兵器(anti-tank missile system)で"直射兵器(direct fire system)"を構成してレオパルド戦車に代えるというものであった。

MMEVはカナダ軍によると、航空機、無人機(drone)を撃墜し、機甲車両を撃破し丘陵や建造物に潜む敵を撃滅できる。

レオパルドと異なり、MGSは戦いへと素早く乗り込むことができる。陸軍が必要とする火力はまた別なところからも供給されるはずであった。2004年にカナダ軍紙the Maple Leafで当時の地上戦略計画統括であったPaul Fleury中佐(Lt.-Col.)は"我々の戦闘空間はだいぶ変化した"と述べている。"そしていかなる主要紛争においてもB-52までも含めた航空機との連絡が得られ、これらは我々の必要とするどこへでも弾薬を投下できる"

しかし、イラクおよびアフガニスタンで続いている戦争で今後の紛争がどのように戦われるのかについて新たな疑問が浮かんできた。ロケット擲弾で武装し路肩爆弾を用いる内乱勢力は頑強であり、軽装甲車両や戦車すら撃破できることを示して見せた。より防護の高い車両を配備するのが、今後の道であると主張する司令官もいる。

そして同時に、今後の作戦、とりわけアフガニスタンにおいてはカナダ陸軍にとってより緊急に必要とされる装備もある。MGSとMMEVに使われる30億カナダドル($3 billion)、これには車両長期整備契約も含めた価格であるが、は他に良い用途がありえる。

とりわけ、MGSは広範な批判にあっており、とりわけ米国では兵からも批判をうけている。米軍将校の中にはこのような軽量部隊への動きは危険であると主張する者もいる。ストライカーのような装輪車両は路上では良いが、野外戦闘においては機動力に欠けると彼らは話す。

MGSに対する反対論の主な論点のもう一つは同車両が軽装甲でありロケット擲弾に対して脆弱なことである。"ストライカーはRPGを念頭において発注されていない"と米国在の専門家であるVictor O'Reillyはそう記している、同氏はストライカーは軽平和維持任務にはふさわしいが、戦闘には不適とする。

米国の批判者らは他にも米軍の試験でMGSの主武装に一連の問題が明らかになったことを指摘する。砲の爆風が余りにも強力すぎて同装甲車の一部を傷つけたのである。さらには同砲の装填装置には問題があり、MGSを試験した兵らはあまりに狭いと指摘している。また別な者はMGSは多くの戦車が携行している50から55発と比べてわずか18発しか砲弾を持っていないと指摘する。

ストライカー装甲車の各派生型を生産する米国の防衛企業(defence firm)であるGeneral Dynamicsの関係者によると、このような批判はもはやあてはまらない、いずれの問題も改良により対処済みであると反論する。MGSは戦場において十分に生き延びることができる。

同様なしかしより限られた中で議論がカナダ軍内部でもそのおおよそは密室の中で行われた。機甲軍団の者らはMGSの調達を快く思わず、しかし軍には忠誠を保ち公では語らない。1990年代後半にカナダ軍で行われた研究ではレオパルド戦車をMGSと同様の軽量の装甲車で置き換えることについては疑問を呈している。ある図上演習(war game simulation)の結果ではこのような車両はカナダ国民の生命を費やすばかりでなく、"道義的、倫理的に正しくない"とされた。

このような懸念にもかかわらず、カナダ陸軍ではMGSの調達は決定事項であるという認識が広がっていた。

しかし、少数の将校が進み出て内部文書や軍刊行物(professional publication)で調達に疑問を呈した。2003年9月15日、T.W.Melnyk少佐(Major)はMGSとMMEVは陸軍の能力を向上させるが、これは軍の今後の変革においてこれらの車両が必要であることを意味はしないとの報告書を書いている。

"上級指導者らがMGSと公で関与していることを踏まえると、参謀階梯での意見の相違はおおよそが学術的となる"と少佐は報告書で述べている。"MGSは変革に必要であるとは考えられないが、計画は所与として扱わねばならない"

さりながら、MMEVもまた問題である。"陸軍に装輪で8kmの直射能力を与えることが変革に大きく役立つものでないのは明らかである"と同少佐は指摘している。"300万-400万カナダドルかけて、他と隔絶しており(orphan)産業支援基盤もわずかな34両に費やす論理と価値は問いただされねばならない

報告書の結論は調達は再検討されるべきというものであった。陸軍は同少佐のMGSとMMEVに対する評価に同意していないとMelnyk少佐は付言する。

この報告書は論議を呼ぶとして国防相の情報公開部局(the Defence department's Access to Information branch)は一般への公開を16ヶ月も先延ばしした。昨年明らかとなったときは、国防省では計画将校が非公式に行った分析であり軍の公式の立場を示すものではないとした。

2003年遅くになって、MGS調達に対するより鋭い批判が陸軍の専門誌に現れた。The Army Doctrine and Training BulletinでJ.A. Summerfield中佐(Lt.-Col.)はMGS調達はカナダ軍に新たな能力を与えることなく、ほどなく旧式となる車両という枷になりかねないと警告した。

同中佐はストライカーは米軍にとっては2015年ごろにより未来的な装甲車両の体系を配備し始めるまでの応急措置であると指摘した。一旦これらの未来的な装甲車両体系が配備され始まれば、米軍は豊かな予算があるがため、ストライカーを他の用途に回すこともお払い箱とすることもできる。

しかし、予算を気にかけるカナダ軍ではそれは選択肢たりえないとSummerfield中佐は述べる。そして、カナダ軍ではストライカー装甲車を20年以上も運用するはめになり、車両を購入するのに何百万ドルと費やしたあとでは米軍が配備を計画している未来的な体系を購入する予算はもてそうにないと警告する。

"問題の兵器(機動砲)はレオパルド戦車を含めた既存の兵器よりも遥かに上回る能力を供するわけではないため、一層の懸念がある"と同中佐。しかし、陸軍はMGSは技術上の進歩だと反論した。軍はより新しい装備をMGSに施し、レオパルドで可能なよりもさらに多くの情報を送受する能力を向上させる心積もりであった。

加えて、MGSの低輪郭(low profile)砲塔は乗員がより安全な車体内部に位置することを可能としている。"これは新技術であり乗員防護では大きな向上だ"と陸軍の戦略計画統括であるMike Kampman大佐(Col.)は当時のインタビューで語っている。

 しかし、陸軍指導者らがもっとも激しく頑強な反論を呼び起こしたのはある退役将官の発言だった。イラク戦争で戦車が枢要な役割を果たしたとのカナダ軍の報告書を受けて、Jim Hanson退役准将(brigadier general)はMGS調達をこき下ろした。

"米軍は戦車をバグダッド中心地区へ乗り込ませ、RPGを装甲ではじき返した"とHanson准将(Brig.-Gen.) "ストライカーを買うのは、正気の沙汰ではない"

また同准将はカナダ軍のレオパルドはMGSの価格よりも安価に改良可能でありそして来るべき年月、陸軍に装甲防護と火力を与えてくれると論じた。また准将はHillier中将の主張である陸軍はレオパルドを戦争地帯へ持っていけないというのを退け、軍が本当に戦車を任務で用いたいなら問題とはならないと指摘した。MGSもまずは船舶で戦争地帯へ運ばれねばならず、これはレオパルドと同様であると准将は付け加えた。

当時の陸軍司令官であったRick Hillier中将はthe Citizenに1000字の反論をもって応じた。同中将はこのような発言は"歪曲"でありMGSの批判者を"昔の方法を好ん”でいる"安楽椅子の戦略家(armchair strategists)"とみなした。

戦争は変わった。カナダ軍はもはやロシア軍と対峙していないと同中将は述べている。その代わりにカナダ軍は"蛇(snakes)"、これはテロリストや内乱勢力の謂である、に直面している。

"我々が世界中で遂行している作戦には不適であるがゆえ、カナダに座り込んでいる極めて高価な兵器の典型例が戦車である"とHillier中将は書いている。"MGSは他の戦闘兵器とともにカブールで行われているような作戦でより大きな能力を我々に与え、かつ高烈度紛争においても選択肢を与えてくれる"

そして、MGSの装甲はロケット擲弾に対する防御のため改良されると付け加える。

Hillier中将は、カナダ軍のレオパルド戦車は他の西洋諸国の軍の主戦闘戦車(main battle tank)とは比較にならない、というのもそれらの防御と火力を欠いているがためだと指摘する。

中将はまたカナダ軍の今後の変革とMGS調達を直接関連付けて、"蛇に対抗するためのこの変革過程は世界中で行われているが、中には落ち着かない者もいる"と書いている。

"かれらは劇的に異なる脅威にもかかわらず、我々が変革の過程を止めることを望んでいるかのようである"

これは、中将曰く、非論理的である。

Gordon O'Connor国防相にMGSおよびMMEV計画を中止するとの陸軍の要望を受け入れるか否かを提言するのは軍人の最高位であるHillier大将(Gen.)にかかっている。
(# http://www.cds.forces.gc.ca/pubs/bio_e.asp 現任の参謀総長で現在は大将)

O'Connor大臣は元機甲軍団将校で少なくともMGSを中止する決定はたちどころに受け入れられるであろう。かねて、保守党はMGS調達に批判的であり、2004年6月には同党の政策では米国のM1A2やドイツのレオパルド2といったより生残性の高い主戦闘戦車の調達を訴えている。

また、O'Connor大臣の装備顧問(equipment adviser)であるHowie Marsh退役大佐はMGS調達に疑問を呈している。大臣の腹心の頭(cheif of staff)であるAaron GairdnerはMGSに関する長らくの懸念に良く通じており前職である保守党の国防研究者(defence researcher)としては同党が調達を批判する材料となった情報を入手するにあたって役割を果たしている。

国防研究者(defence analyst)のDavid RuddはMGSの調達中止とレオパルドの使用継続により、カナダが新たな戦車を購入することに繋がるとは考えていない。"私が考えるに、陸軍は実験できるだけの能力を維持し、技能を保つことを考えている"とカナダ戦略研究所(the Canadian Institute of Strategic Studies)の副統括(executive director)である同氏。"これは戦車にとっては猶予となるが、新たな人生というわけではない"

MMEVに何が起きるかはまた別問題である。軍の当初の計画では2010年のバンクーバー冬季オリンピックでの警備にMMEVを用いることになっている。警備では防空任務でテロリストが操縦する航空機を打ち落とすのに用いられる予定である。

またQuebecに所在する企業に15億カナダドルにもなりえる契約を取り消すことはStephen Harper首相の保守党政権にとっては受け入れられないかもしれない。同政権は次の選挙でケベック州からかなりの議席を獲得することを望んでいる。

陸軍報道官Daryl Morrell少佐(Maj.)は既存兵器のADATS、これはMMEVの砲塔となるのだが、全く改良されてこなかったと指摘する。"やらねばならないという物事もある"と同少佐。"何らかの地上型防空抜きでゆくことはありえそうにないと私はみている"

二つの数十億カナダドルの計画に関する決断は秋までに下される。

結果はどうであれ、今後の戦場でのカナダ兵の生命が掛かっている。
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レオパルド戦車について

国防省は陸軍のレオパルド戦車全114両のうちおよそ半数を処分または売却済みである。しかし、陸軍がMGS(Mobile Gun System)とMMEV(Multi-Mission Effects Vehicle)計画の中止を要求したことでそれ以上の処分は保留となっている。

陸軍報道官Daryl Morrell少佐によると軍はレオパルド66両を配備し続けている(keep in service)。その他21両は現在、軍の射場で目標として用いられておりさらに別の23両は北米の会社に売却された。ある米国の会社では装備を剥ぎ取られたレオパルドを森林火災消防用に購入している。

そして4両は記念物として取り置かれたり博物館に贈られている。
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