SBCT関係論文翻訳
1999年10月AUSAの昼食会にて時の米陸軍参謀長エリック=シンセキ大将は演説を行った。陸軍の変革・再編・革新の道程標となる出来事であった。
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FM3-21.11 3章
出典 global security org
URL http://www.globalsecurity.org/military/library/policy/army/fm/3-21-11/c03.htm
原題 FM 3-21.11 Chapter 3 Movement
著者 米陸軍歩兵学校
日時 Page last modified: 27-04-2005 12:21:00 Zulu
他掲載媒体 政府刊行物 
発信地 ジョージア州フォートベニング
内容 以下全訳

戦術運動の目的はSBCT部隊を戦場にて運動させること及び接敵に備えることである。本章は運動技(movement techniques)、隊形(formations)、降車点(dismounted transition points)に焦点をおき、これらはあいまってSBCT中隊長に部隊を運動させるに当たっての選択肢を与える。それぞれの技と隊形には各々利点と弱点がある。運動技の中には安全だが鈍足なものもあり、また俊足だがさほど安全でないものもある。隊形の中にはある種の地形や戦術状況では良く機能するが他の状況ではさほど有効でないものもある。SBCT歩兵中隊の能力ゆえに指揮官は、いつ、どこでどのように降車/乗車を切り替えるかを含めた乗車/降車運動計画全体を検討せねばならない。本章中の運動技および隊形を変更の余地の無い、柔軟性の無いものと考えるべきでない。中隊長は眼前の状況に応じてこれらを応用する構えを持たねばならない。



3-1. 戦術運動と接敵(TACTICAL MOVEMENT AND ENEMY CONTACT)

運動(movement)と機動(maneuver)を混同してはならない。機動は火力に支援されて敵に対して有利な位置を占めるための運動と定義される。中隊階梯では、運動と機動はかなり重なる。戦術運動が機動と異なるのは、機動が接敵中の運動であるのに対して、戦術運動は接敵に備えての運動である点である。部隊が戦術運動から機動へ移る過程を接敵行動(actions on contact)と呼ぶ。接敵行動は第4章Ⅳ段で扱う。図3-1は運動技(行軍(traveling)、行軍/援護監視(traveling overwatch)、躍進/援護監視(bounding overwatch))と接敵の可能性、機動への移行の関係を描いたものである。


図3-1.  運動技から機動への移行

行軍 接敵の蓋然性無し
行軍/援護監視 接敵の可能性あり
躍進/援護監視 接敵の蓋然性あり
接敵行動   接敵
戦術任務の遂行

#図終わり


3-2. 運動技(MOVEMENT TECHNIQUES)

SBCT歩兵中隊長は戦場の要素に基づいて3つの運動技から選択する。

接敵の蓋然性
予期される接敵の種類
援護監視隊を使用できるか
運動する隊が通過する地形
運動中に必要とされる速度と安全の釣り合い


中隊要員と諸隊の図記号については図3-2を見よ。

図3-2. 中隊の図記号

中隊長
先任軍曹
副長
迫撃砲班
歩兵戦闘車
機動砲
降車小銃小隊
降車小銃分隊

#終わり


a. 行軍(Traveling) 行軍は中隊の全諸隊が連続して運動するのが特徴である。接敵の蓋然性が無く速度が重要なときに最も適する。図3-3と図3-4は降車、乗車しての行軍技を描く。


図3-3. 降車行軍(#略)

図3-4. 乗車行軍(#略)


b. 行軍/援護監視(Traveling Overwatch) 行軍の警戒を強化した類型であり、速度が求められるが接敵の可能性があるときに用いる。先導隊(lead element)は連続して動く。後尾隊(trail element)は様々な速度で動いては定期的に停車し先導隊を援護監視する。先導隊と後尾隊の間隔は後尾隊が先導隊を視界におさめる能力(視覚上或いはデジタル上で)と先導隊が接敵した場合に直ちに制圧射撃を供する能力に基づかねばならない。意図は縦深を維持し、柔軟性を備え、接敵が生じたときでも機動する能力を保つことである。とはいえ、部隊は行軍/援護監視時ではなく躍進/援護監視で移動中に接敵するほうが望ましい。図3-5と図3-6は降車時と乗車時の行軍/援護監視を描いたものである。

注:

中隊の行軍/援護監視時および躍進/援護監視時の組織は先導隊(躍進/援護監視時には躍進隊とも呼ぶ)と後尾隊(援護監視隊)からなる。指揮官は中隊諸隊を様々に組み合わせてこれらの隊を構成する。指揮官の決断はMETT-TC分析に基づいていなければならない。例えば、先導隊は1個小隊と副長車で、援護監視は残余の2個小隊、中隊長、火力支援将校からなるなど。


図3-5. 降車行軍/援護監視 (#略)

図3-6. 乗車行軍/援護監視 (#略)


c. 躍進/援護監視(Bounding Overwatch) 躍進/援護監視は接敵が予想されるときに用いる。最も安全であるが、最も速度が低い運動技である。躍進/援護監視の目的は接敵前に展開し、敵を直ちに制圧して躍進隊を守る能力を部隊に与えることである。躍進の種類を問わず、援護監視隊は捜索界を割り当てられ、躍進隊は隠掩蔽をえるため地形を利用する。躍進隊は援護監視隊の射線を塞ぐのを避けるべきである。躍進隊は援護監視隊が敵陣地の蓋然性ある地点あるいは疑われる地点を有効に制圧しえる射程を超えてはならない。中隊が用いる躍進方法には交互躍進(alternate bounds)と段階躍進(successive bounds)の二つがある。それぞれ以降の段で説明する。図3-7と図3-8は降車時および乗車時におけるMGS小隊を用いての躍進/援護監視技法を表している。


図3-7. 降車躍進/援護監視

図3-8. 乗車躍進/援護監視


(1) 交互躍進(Alternate Bounds)  後尾隊の援護をうけて、先導隊は前進し、停止、援護監視陣地につく。後尾隊が先導隊を超えて前進し、援護監視陣地につく。この過程を必要に応じて繰り返し、一度に一隊のみが動く。この方法は大抵、段階躍進よりも高速である。

(2) 段階躍進(Successive Bounds) 段階躍進では、先導隊が後尾隊の援護をうけて、前進し、援護監視陣地につく。次いで後尾隊が前進し先導隊とおおよそ並ぶ援護監視陣地に入り、停止する。先導隊が次の陣地へと運動する、これを繰り返す。一度に動くのは一隊のみであり、後尾隊は先導隊よりも先へ進むのは避ける。この方法は統制がより容易であり、交互躍進よりも安全だが、速度は遅い。



3-3. 運動隊形(MOVEMENT FORMATIONS)

SBCT歩兵中隊がもちいる基本運動隊形は縦列(column)、横列(line)、V字(vee)、楔形(wedge)、単縦列(file)、右梯形或いは左梯形(echelon right or left)の6種である。これらの隊形は中隊の各小隊、班の相互位置を表しており、中隊が運動する際の手引きである。それぞれの隊形は統制、警戒、火力の発揮を様々な度合いで助長する。

a. 考慮事項。これらの隊形は中隊の統制に、乗車、降車双方で用いられる。歩兵戦闘車と機動砲(MGS)の制約から、乗車運動の大半は路上か非制約地形で行われる。

(1) 乗車、降車の別に関わらず、用いるべき最適の隊形は以下による。

任務
敵情
地形
天候と視界状況
望ましい運動速度
望ましい柔軟性

(2) 路外を運動するときは、兵、車両、小隊間の距離は地形と状況により様々である。兵は敵陣地の蓋然性あるところを担当する射界(sector)内で観察、接敵の場合に行ける掩蔽を常に探しておくべきである。

(3) 中隊長は中隊隊形内での小隊隊形を指定することがある。中隊長が指定しない場合、各小隊長は小隊の隊形を選択する。例えば、先導小隊長は正面に対する視界と火力集中に秀でる隊形を選択する(V字隊形)。二番目の小隊長は援護監視陣地へ高速に運動でき側面警戒が良好な隊形を選ぶ(楔形隊形)。(分隊及び小隊運動隊形と運動技についてはFM 3-21.9, (FM 7-5)にて記述されている)

(4) 隊形で運動するとき、中隊は通常、統制を容易にするために基準小隊(base platoon)をもうけて導きとする。基準小隊は先導小隊にすべきである。横列隊形やV字隊形の場合、中隊長はどの小隊を基準小隊とするか指名する必要がある。他の小隊は基準小隊の速度と方向を基調とする。これにより迅速に変更するのが可能となり、指揮官は中隊全体の運動を基準小隊のみを統制することで統制できるようになる。基準小隊を導くのに特定の地形・地物(terrain features)が指定されることもある。この技法については段3-5で記述する。中隊長は通常、隊形内で最もよく基準小隊の運動を見、指示できるところに占位する。

(5) 部隊を運動に備えて待機させたり、部隊が運動を行いえる態勢の度合いを報告する技法が即応度(alert status)である。この技法では、即応態勢(readiness condition, REDCON)を用いて部隊が運動開始するまでにかかる時間を示す。

REDCON 1: 直ちに運動開始できる態勢

REDCON 2: 15分以内に運動開始できる態勢

REDCON 3: 1時間以内に運動開始できる態勢

REDCON 4: 2時間以内に運動開始できる態勢


b. 隊形 以下はSBCT歩兵中隊の運動隊形に関する記述である。

(1) 縦列(Column) 縦隊をとると中隊は1個小隊で接敵しつつ残余3個小隊を機動させることが可能となる。これは柔軟性ある隊形であり、他の隊形への転換が容易である。全周警戒は良好であり、高速運動が可能。また分散にもかない機動と統制にも助けとなり、視界限定状況でことに助けとなる。正面および背面に対する火力は限られるが、側面への火力は大である。図3-9と図3-10は中隊縦列隊形を描いたものである。

図3-9 降車中隊縦列 (#略)

図3-10 乗車中隊縦列 (#略)

(2) 中隊横列(Company Line) 中隊横列は全小隊前に出し同一方向へ向けて運動させるもので、正面への火力発揮は最大となるが側面に対する火力は減ずる。最も統制が難しい隊形である。中隊長は他小隊の導きとなる基準小隊(通常は中央の小隊)を指定すべきである。側面および背面警戒は概して貧弱であるが側翼小隊が梯形隊形をとると向上する。図3-11と3-12は中隊横列の例である。

図3-11 降車中隊横列 (#略)

図3-12 乗車中隊横列 (#略)

(3) 中隊楔形(Company Wedge) 中隊楔形では指揮官が一部の小さな隊で接敵をしつつ残余の小隊を機動することを可能である。中隊が側面から攻撃を受けた場合、1個小隊は自由に機動可能である。この隊形は統制が難しいが、中隊V字隊形よりも運動速度は大きい。図3-13と図3-14は中隊楔形の例である。

図3-13 降車中隊楔形

図3-14 乗車中隊楔形

(4) 中隊V字(Company Vee) 中隊V字隊形は2個小隊が前面に出て、接敵した場合直ちに火力を供するか、敵側面を突く(flank the enemy)。中央には1個小隊、後尾に1個小隊が位置する。これらの小隊は先導小隊を援護監視するか後続する。中隊が側面から攻撃を受けた場合、2個小隊が火力を発揮し、少なくとも1個小隊は自由に機動可能である。この隊形は統制が難しく運動は遅い。中隊長は前面の小隊のいずれかを基準小隊に指定する。図3-15と図3-16は全ての小隊の隊形が楔形をとっている中隊V字の例である。

図3-15 降車中隊V字

図3-16 乗車中隊V字

(5) 中隊単縦列(Company File) 中隊単縦列隊形は統制が最も容易である。制約地形や視界限定下において迅速な運動が可能であり、統制と掩蔽も増す。しかしながら、最も安全の低い隊形でありこの隊形からの機動は最も困難である。図3-17と図3-18は全諸隊が単縦列隊形である中隊単縦列の例である。

(a) 中隊長はかなり前方、先導小隊本部或いは先導警戒隊(the lead security element)直後に占位する。中隊長が重要な決断を下せる位置にあることで統制が増す。中隊指揮所(the company command post)はかなり後尾(先導小隊の背後)につき、小隊の運動に干渉するのを避け、他諸隊との通信を介助する。

(b) 先任軍曹(或いは副長)は中隊単縦列の最後尾あるいは最後尾近くに位置し、統率するとともに単縦列が分離するのを防止する。

(c) 中隊単縦列は隊列が分離しやすく、必要なときにのみ短時間用いられるべきである。降車した場合、中隊単縦列は600mを超えて伸び、通過時間は20分間以上となる。

図3-17 降車中隊単縦列

図3-18 乗車中隊単縦列

(6) 右梯形および左梯形(Echelon Right or Left) 右梯形および左梯形は状況が不明確で中隊長が接敵を正面か側翼いずれかに予期しているときに用いられる。通常、友軍部隊か障害が梯形の反対側翼にあり、そちら側での接敵を妨げている。この隊形は梯形側翼に対する火力と防護は良好であるが、反対側翼では減じられる。図3-19と図3-20は右梯形隊形の例である。

図3-19 降車右梯形

図3-20 乗車右梯形


c. 隊形の選択  中隊長は適切な統制、警戒、速度をえられる隊形を選択する。表3-1は運動隊形6種を比較したものである。


表3-1 運動隊形の比較

縦列 
 警戒 分散良好 360度全周警戒良好 
 火力 正面及び背面に良好 側面に秀でる
 統制 統制容易 柔軟性ある隊形
 速度 高速

横列 
 警戒 正面に秀でる 側面及び背面は貧弱
 火力 正面に秀でる 側面及び背面は貧弱
 統制 統制困難 柔軟性を欠く隊形
 速度 遅い

楔形
 警戒  360度全周警戒良好
 火力 正面及び側面に良好
 統制 横隊よりは統制の難度は低い 柔軟性ある隊形
 速度 横隊よりは高速
 
V字
 警戒 正面には良好
 火力 正面には極めて良好
 統制 極めて統制は困難
 速度 遅い

単縦列
 警戒 最も安全を欠く 隠蔽を効果的に用いれる
 火力 貧弱
 統制 統制は容易
 速度 高速

梯形
 警戒 梯形側翼及び正面に良好
 火力 梯形側翼及び正面に良好
 統制 統制は困難
 速度 遅い

#表3-1終わり



3-4. 運動隊形の使用(USE OF MOVEMENT FORMATIONS)

運動は地形、戦力の機動力、敵情が許容する一杯に迅速であるべきである。主導を獲得し維持する能力はしばしば、部隊が探知されずに運動することに掛かっている。運動中に探知された場合、敵は中隊にかなりの戦闘力を用いることが可能であろう。SBCT歩兵中隊は敵火力に対する防護について地形に大きく依存している。中隊長もまた自中隊を運動中、適切な運動隊形と技術を用いることで守る。

a. 基本事項 自身の任務分析とFBCB2を通じて得た情報はSBCT歩兵中隊長がどのように部隊を運動させるのが最も有効であるか決するのを介助する。これには定まった方法は無い。中隊運動を計画するときは、指揮官は機動へ迅速に移行するのを支援する方法で部隊を動かすことに確実を期さねばならない。ひとたび接敵したらば、有効な射撃を被っている分隊及び小隊は適切な戦闘行動(battle drills)を遂行し、指揮官は部隊の機動を開始する。以下の基本事項は中隊運動を有効に計画する上で指針となる。

(1) 偵察の遂行 部隊の全階梯が偵察を遂行すべきである。敵情と使用可能な時間数が部隊偵察を制約するであろうが、全階梯の指揮官は地形と敵に関する情報を積極的に求める必要がある。主として、地形と敵に関する情報はFBCB2を通じて得られる。しかしながら、十分な情報に欠けるときは、先導小隊よりも前方に偵察隊を出すのが有効な技法である。偵察隊が中隊のわずか15分前方にいる場合であっても、なおも中隊長に価値ある情報と対応時間を与えうる。

(2) 地形と天候の活用 SBCT歩兵中隊の長所の一つはほぼいかなる地形、ほぼいかなる天候状況で運動できる能力である。中隊は隠掩蔽された経路を運動するべきである。視界限定下での運動はより良い隠蔽をもたらし、敵はこの時間帯は警戒が緩むであろう。判明せる危険域は避けるよう計画すること。

(3) 分隊及び小隊での運動 中隊を分隊及び小隊毎に運動させる利点には以下が含まれる。

運動がより高速となる
安全の向上 隠掩蔽をさほど必要としないため探知される可能性が減じる
分散の向上 中隊を分隊及び小隊毎に運動させることによる分散がゆえ、敵は中隊に対し火力を集中するのが遥かに困難となる、とりわけ間接火力、近接航空支援、化学剤にあてはまる。又、隷下部隊は機動の余地を得る。戦術インターネットによる情報共有によりこの案は現実的な選択肢となっている。
作戦保全(operational security, OPSEC)の向上 個々の分隊規模の目撃報告(spot report)しか得ていない場合、敵が我が軍の行動を見定めるのは遥かに困難となる。

通常、長所が短所を上回るが、分散運動を計画するときは指揮官は以下の短所をも考慮すべきである。

中隊を再集結(regroup)するのに連接(linkup)が多数必要となる
接敵時に応急攻撃(hasty attack)を支援、あるいは離脱(disengage)するのに戦闘力を集中するのにより時間が掛かりうる

(4) 運動中の警戒維持 部隊をあらゆる時において守るのは中隊長の主たる責任である。この責任は運動中は重大となる。なぜならば中隊は敵の直射および間接火力に極めて脆弱となるゆえである。すでにあげた基本事項に加えて、中隊長は以下を適用することで安全を確保する。

状況に応じた運動隊形と技術を用いる。

状況が許す限りの速度で運動する。敵が我が部隊を探知する能力、探知された場合の火力の効力を減退させるであろう。

隷下部隊が側翼、正面、背面に本隊に対する直射を阻む距離に警戒隊を適切に配置するよう確実に講じる。(通常、中隊隊形と運動技は正面に対する警戒はより大である、側翼と背面はこれらの警戒隊が固めねばならない。中隊標準作戦手順でこれらの警戒隊を供する責任を誰が負うか明文化しておくべきである。

音響および灯火規律(noicse and light discipline)を保つ(とりわけ降車時に)

偽装規律(camouflage discipline)を保つ(兵および装備につき)

状況が不明確なときは、最も小さな隊で接敵せよ。小さな隊(small element)で接敵すれば、中隊長は戦力の大半を機動させる能力を保てる。最初に敵射撃を受けた兵は損害となる蓋然性が最も大きい。また敵に制圧され、拘束される蓋然性も最も大きい。

状況が明らかなときは、中隊長は迅速に戦闘力を集中発揮させて敵を圧倒せねばならない。

b. 主要指揮官と兵器の占位 主要指揮官と兵器の占位は状況、運動隊形、運動技、SBCT歩兵中隊の編組(organization)に依拠する。以下の段は中隊長がどこに資産を占位するか定める上で指針となる。

(1) 中隊指揮所(Company Command Post) 中隊指揮所は通常、中隊長、中隊長付無線手、火力支援組、通信特技兵、NBC軍曹、そしてその他の人員と配された人員(副長、先任軍曹、警護隊)からなる。中隊指揮所は中隊長の支援と、上層階梯および隷下部隊との通信を維持するに最も適したところに占位する。通信を維持するため、乗車指揮所が指揮官と離れて占位する必要があることもある。この場合副長が指揮所(或いはその一部)を統制し上層階梯や隣接部隊との通信を維持し、中隊長は中隊を最も統制できるところに占位する。指揮所は独立して運動することも可能だが、通常は中隊隊形内で他の小隊や班により警護されるところに占位する。

(2) 中隊長 中隊長は中隊を見て統制できるところに占位する。通常、中隊長は指揮所を自身のところに占位させるが、時として中隊長は指揮所とは別個に運動することもある。降車時は中隊網無線手のみを連れて隷下小隊の一つと移動することがある。これにより中隊長は小隊の隊形を乱すことなく運動を共にできる。総じて、中隊長(と指揮所)は先導小隊の直後で活動する。

(3) 中隊火力支援将校( Company Fire Support Officer) 中隊火力支援将校は通常、中隊長とともに運動する。ときとして、中退火力支援将校は間接火力統制や小隊からの火力要請を中継(relay)するため別のところに占位する。

(4) 中隊迫撃砲(Company Mortars) 中隊迫は接敵の場合、即応火力を供する位置に占位する。中隊の他諸隊から警護を得られる位置に占位せねばならない。中隊迫は通常、中隊隊形の最後尾にはならない。なぜならば警戒能力が限定的であり、降車時の兵の担う荷重がゆえに中隊で最も遅い隊となることがしばしばであるためである。

(5) その他配された隊(Other Attachments) その他配された隊の占位はMETT-TCによる。戦闘支援資産、例えば工兵は中隊を最もよく支援しうる位置に占位する。例えば工兵は先導小隊に後続してより即応できるようにする。

(6) 歩兵輸送車(Infantry Carrier Vehicles)、機動砲(Mobile Gun Systems)その他車両 SBCT歩兵中隊の歩兵輸送車、機動砲その他配された車両、例えば野戦救急車や補給車両はSBCT歩兵中隊長にとってある種の問題を課す。歩兵中隊が降車後、通常運動する地形は車両の運動に適さない(may not support)ことがある。中隊がこれらの車両が運動する道路や道の側面の制約地形を運動して警戒することで、その道路や道を確保することもありえる。降車後、車両の位置につき指揮官が選べる選択肢は幾つかある。それらの選択肢として以下がある。

降車歩兵の支援に車両を運用する

野営地(lagger site)に乗員とともに後に連接するまで残置(7章Ⅳ段をみよ)

他の位置へ転換させる

乗員を降車させ、車体を残置する



3-5. 統制技法(CONTROL TECHNIQUES)

適切な隊形と運動技を用いればSBCT歩兵中隊長の中隊統制の助けとなるが、それ以外の統制技法が必要なことがしばしばである。以下の技法は中隊運動を統制する上で助けとなろう。

a. 図表(Graphics) 通常、SBCT大隊はSBCT歩兵中隊の運動を大隊運動或いは機動構想に統合する図表統制手段を指定する。中隊長は部隊を統制するのにさらに統制手段を設ける必要があることがある。例えば、境界(boundary)、経路(route)、チェックポイント(checkpoint)、降車点(release point)、判明せる(蓋然性ある)敵陣地に対する直射火力を統制する目標標定点(target reference point)である。SBCT歩兵中隊長は各図表統制手段がFBCB2にて確実に更新され、地形上で容易に位置が分かるよう講じる。

b. 偵察 事前偵察は運動中の統制の助けとなる。SBCT歩兵中隊長は運動がより困難な箇所や図表統制手段が必要な箇所をより把握しておける。中隊の諸隊がこの偵察をすることもあるが、RSTA(偵察、捜索、目標捕捉)大隊や大隊偵察小隊が偵察を遂行して得た情報を他部隊へFBCB2を通じて供することのほうが蓋然性が高い。

c. 案内役(Guides) 地形を見たことがある案内役が統制に最適である。運動の始終で案内役を立てるのが不可能であるときは、困難な箇所を偵察させてそこを通過するSBCT歩兵中隊を案内させる。

d. 航法補助手段(Navigational Aids) 地球測位装置(global positioning system, GPS)が使用可能であっても、全指揮官はあらゆる運動にてコンパスと歩数計測を行うべきである。可能ならば、指揮官が顕著な地形を方向維持に用いえる経路を選択せよ。

e. 限定視界下降車運動(Limited Visibility Dismounted Movements) 既にあげた手段が限定視界下での運動統制に最適である。以下の手段は限定視界下で降車運動をさらに統制するものである。

(1) 夜間暗視装置(Night Vision Devices, NVD)の使用 全兵士に十分に行き渡る数の夜間暗視装置が無いときでも限定視界下運動を有効裡に行うのは可能である。正面、側翼、背面の警戒に任じられた兵が夜間暗視装置を使用すれば、部隊全体がより高速に運動できる。効率を保つために兵は定期交代(rotate)するべきである。隊形中の主要指揮官もまた夜間暗視装置を用いる必要がある。

(2) 兵および部隊の間隔を縮小する 隊形を詰めると手信号(arm-and-hand signal)が使用でき、隊列が分離する可能性も減退する。しかし、指揮官はあらゆる時においてできる限りの分散を維持するよう努力すべきである。良く訓練された部隊は昼間と同程度に夜間でも活動可能である。 

(3) その他の手段の使用 その他の手段にはヘルメット後部に蛍光テープを貼る、運動速度を緩める、通信や道案内に地上有線(land line)を用いる、指揮官が前面により近いところで運動するなどがある。

f. 限定視界下乗車運動(Limited Visibility Mounted Movement) 全指揮官は各自の地図とコンパスに加えてFBCB2で得る情報を用いて常時、方向を維持すべきである。可能ならば指揮官が方向を維持するのに顕著な地形を用いられる経路を選択せよ。FBCB2の能力に加え、限定視界下乗車運動作戦中は、さらなる統制手段が部隊の車両を全うするのに役立つ。

(1) 夜間暗視装置の使用 隊形内の全ての操縦手と車長が夜間暗視装置を用いれば限定視界下乗車運動を有効裡に行える。

(2) 兵、車両、部隊の間隔を縮小する 隊形を詰めることで手信号が使用でき、隊列が分離する可能性も減退する。しかし、指揮官はFBCB2と夜間暗視装置を用いて常時、車両分散を最大に維持するよう努めるべきである。良く訓練された部隊は昼間と同程度に夜間でも活動可能である。



3-6. 運動中の警戒(SECURITY DURING MOVEMENT)

中隊運動中、各小隊は隊形内の位置に応じて担任界を持つ。降車時は、小隊内の各射撃組と分隊が担任界を持つ。これにより中隊は運動中の全周警戒(all-around security)をおこなう(図3-21)。

図3-21 全周警戒 (#略)

a. 短停止(short halt)時、兵は散開(spread out)し、掩蔽背後に伏射位置をとる。兵は運動中と同じ担任界を監視する。指揮官は機関銃と対機甲兵器を陣地への蓋然性ある敵接近経路へと指向する。兵は警戒を保ち、動きを最小限度に抑える。必要時のみ忍びやかに話す。夜間暗視装置のある兵は視界限定下では敵が潜伏しえる箇所を注視(scan)する。

b. 長停止(long halt)時、SBCT歩兵中隊は円陣防御(perimeter defense)を確立する。中隊長は最も防御に適した地形を選ぶ。この地形は良好な隠掩蔽が備わっている必要がある。中隊標準作戦手順は長停止時の行動について明文にて触れる必要がある。

c. さらに安全を確保するために、短停止後、小規模な伏撃組(ambush team)が隠蔽され陣地に残ることがある。理想的には中央の小隊がこの組を出すべきである。伏撃組はSBCT歩兵中隊を尾行する敵に待ち伏せを仕掛ける。この組との連接(linkup)の調整をしておく必要があり、全員が理解していなければならない。

d. 静止陣地(目標集結点objective rally point、哨戒拠点patorol base、円陣防御perimeter defense)を占位(occupy)する前に、SBCT歩兵中隊長は敵が中隊の位置に確実に気付かぬよう講じるべきである。伏撃組を用いることに加えて、中隊長は中隊が通過時に暫定静止陣地に警戒組を隠蔽する。中隊は運動を可能ならば日没後まで継続し、戻ってきて警戒組と連接する。警戒組は陣地を偵察し中隊を導きいれる。



3-7. 大隊の一部としての運動(MOVEMENT AS PART OF A BATTALION)

SBCT歩兵中隊はしばしば大隊の一部として運動する。大隊長は中隊に大隊隊形内での位置を中隊に付与し、中隊長は接敵の蓋然性と部隊の任務に最も適した運動技と運動隊形を用いる。大隊隊形内の中隊の位置に関わらず、接敵、他のSBCT歩兵中隊を機動あるいは火力のみで支援する備えをもたねばならない。
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